カメの甲羅はあばら骨? シュールすぎる動物図鑑の制作秘話 子どもに人気も「トラウマにならないこと祈る」

Twitterをざわつかせた「カメ人間」イラスト(「カメの甲羅はあばら骨」より)

Twitterをざわつかせた「カメ人間」イラスト(「カメの甲羅はあばら骨」より)

 「これ、ヤバイ本だ!!」「めちゃくちゃクセが強い。じっと眺めてるとだんだん精神崩壊してきそう。(※褒めてる)」と、Twitter上で多くの反響を得ている新書「カメの甲羅はあばら骨」(SBクリエイティブ)。現在4刷まで重版しており、動物の体の構造を人間に置き換えたらどうなるのか、そして人間に置き換えることでわかる動物の仕組みを説明するシュールなイラストにSNSで反響が集まっている。一体どういった流れでこのような本が完成したのか。作者と編集者に話を聞いた。

面白いと同時にわかりやすい 「動物の体をベースにした人体を描けば誤解が解ける」

 本では、“カメ人間の作り方”“フラミンゴ人間の作り方”と題して、もし人間がその動物の構造を持っていたら…と仮定したイラストが、新書ながら多数描かれている。動物図鑑や動物園での解説などで、子どもの頃になんとなく見て記憶している動物の体のしくみ。それを一度人間に置き換えることで、「えっ! カメの甲羅って人間のあばらなの?」「フラミンゴの逆に曲がった膝の部分は人間でいう足首!?」と新たな発見が得られるつくりとなっているのだ。

 SNSでは「絵はショッキングだけど、分かりやすくて面白い」「絵が面白すぎて子供に受けまくってる」「カメ人間のビジュアルのインパクトがすごい」などと大きな反響を呼んでいる。

 編集を担当したSBクリエイティブの北村耕太郎さんは、「日頃からSNSなどで面白いビジュアル素材を探していた中で、Twitterで川崎先生の“カメ人間”のイラストを目にし、動物の骨格を人体変形させて表したイラストは面白いと同時にわかりやすい、と衝撃を受けました。このイラストを入り口に、動物のことが学べる新書ができれば面白いのではないかと考えたのが発端です」と出版の経緯を語る。

 作者の川崎悟司さんは、絶滅動物、古生物、恐竜などのイラストを描く仕事をしており「人間のあばら骨がカメのあばら骨だったら」をビジュアル化したイラストを自身のTwitterにも投稿して話題を集めていた。

「本にするという話をいただく前に、動物の体を人体で表したイラストを描いてTwitterでよく発信していたのですが、「気持ち悪いけどわかりやすい」というコメントが多くありました。イラストを描くようになったきっかけは、たとえばイヌやネコ、フラミンゴの足首が人間でいう“膝”だと思っている人が多くて(本当は“足首”にあたる)、この誤解を解くには動物の体、骨格をベースにした人体を描いてしまえば一目でわかるのではないかと思い立ったことですね」(川崎さん)

「丁寧に説明することに徹底的にこだわった」シュールな絵と内容の深さにギャップ

 あまりにも絵にインパクトがありすぎるため、「「変な本」「面白いだけの本」にならないよう、きちんと動物のことが学べるものにしようと考えました」と編集者の北村さん。著者の川崎さんも、「丁寧に説明することに徹底的にこだわった」と語る。

「解説文などは、「バカなりに丁寧に説明する」ということにこだわっています。本書は動物の体の構造や、動物がなぜこのような形になったのかを説明するのに、生物の進化の話などを盛り込んでいます。一般とは馴染みのない専門的な分野の話になってしまうので、専門的な言葉も多くなります。となると、勉強感が強く出てしまうので、専門的な言葉を極力避けて、なるべく日常で使うような言葉で説明するようにしています。ただそうすると、回りくどい言い方や誤解を招く言い方になってしまうこともあって、そこがいつも難しいなと思っています」(川崎さん)

 本は現在4刷まで重版している。読者にウケている理由としては、シュールで面白い絵と、詳しくわかりやすい説明文、このギャップが挙げられるのかもしれない。

「日本のマンガやアニメが好きな外国人の方からの反響も大きく、Twitterでも「海外版はどこで手に入りますか?」と何度も問い合わせがありました。子どもには少し怖いかなと思っていたのですが、小学生でも好んでくれている子が多いと聞き、クリスマスプレゼントにこの本を送ったという感想も頂きました。トラウマにならないことを願っています(笑)」(北村さん)

 動物の体を人体で表すと、どれも奇妙な生き物に見えてしまうが、「それは逆に言うと、動物の中でもヒトの体が異端であるからだ」と川崎さんは言う。そして、それこそがヒトと動物の体のしくみの違いの面白い部分でもあるという。

「ヤギの赤ちゃんは生まれてすぐに立ち上がることができ、イルカの赤ちゃんは生まれてすぐに泳ぐことができる。でもヒトの赤ちゃんは生まれてすぐには何もできません。私たちが何気にやっている直立二足歩行は、実は高度な運動神経が求められ、ヒトの赤ちゃんが自分で歩くことができるまでには1年くらいかかってしまう。また、重たい頭が体の一番上にあるため、とても不安定で、直立姿勢で縦になった背骨が体の大黒柱になる分、背骨にかかる負担も大きく、肩こりや腰痛を引き起こすとも言われています。そんな効率が良いとはいえない体をしているヒトが大繁栄しているのですから、「わからないものだな」といつも感じています」

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