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認知症の義父との生活を描く漫画に反響「介護の不安をユーモアでほぐしたい」
住職の言葉で漫画化決意、月1デートするほど仲が良かった義父への供養
【三丁目いちこさん】ひろぽが他界したとき、悲しんでいる私たちにお寺のご住職が「故人の事を思い出してあげることが何よりの供養」とおっしゃいました。悲しみの中でひろぽを思えば、晩年認知症を発症してからの面白エピソードばかり。思い出を記録しているうちに、これは何かの形にして残したいという思いが湧き、マンガにしてみようと思いました。
――漫画からひろぽさんの愛らしさが伝わってきます。
【三丁目いちこさん】どう表現したらひろぽの面白さや可愛さが伝わるだろうかと思いながら描いています。実際本当に可愛いおじいちゃんだったのですが、私の表現の仕方でそれが半減してしまってはいけないと思いつつ描いています。
――義父とはいえ、家族愛を感じますね。
【三丁目いちこさん】私とひろぽは出会った頃からとても気が合い、結婚式場を決める時も多忙な夫に代わってひろぽと二人で式場めぐりをしたほどです。始めの頃は“夫の父親”というよりは職場の上司のような感じに思っていました。私の実の父親が亡くなってからは、ひろぽを父親のように思うこともありました。認知症になってからは、実父にしてあげられなかったことを全てしよう、自分がされて嫌なことはするまい、と思い介護していました。
――ひろぽさんとのエピソードで、心に残っていることを教えてください。
【三丁目いちこさん】「月1デート」です。月に一度、大きい病院での診察があったのですが、帰りに二人でショッピングモールで買い物したり、ご飯を食べたり、併設されている図書館に行ったりしました。杖を忘れて、手をつないで歩いたことを思い出します。
――ひろぽさんはどんな方だったのでしょうか。
【三丁目いちこさん】私から見たひろぽは、社交的でとても明るく、ときどき頑固。孫が生まれてからは本当に“孫命”で、優しくて面白い人でもあったのだな思いました。若い頃から「最期は孫二人に手を取られながら逝きたい」と申しておりましたが、希望通りにお別れすることができました。