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まるでピカチュウ”?海の生物“ウミウシ”にダイバーも夢中…専門研究所に聞く魅力

 色とりどりで美しく、インスタ映えするとダイバーから話題になった『ウミウシ』。ピカチュウに似ているものやパンダやウサギにも似ている種類もあるとSNSで話題になったことも。よく見るとナメクジに似ているともいわれているが、その生態は一体どんなものなのだろうか。小さいので一般に見ることは少ないが、そんなウミウシを常に数十種類見ることができる“うみうし研究所”がある『いおワールドかごしま水族館』の西田和記さんに話を聞いた。

同じウミウシでも、種類によって餌が異なる

――“海の宝石”とも呼ばれる美しさがウミウシの人気のポイントだと思いますが、ウミウシはどんな生物なのでしょうか?

【西田さん】ウミウシは巻貝の仲間です。赤ちゃん時代にはみんな貝殻を持っており、変態のときにそれを脱いで大人のウシウミとなります。本来、貝の仲間は身を守るために貝殻を持っています。しかし、大人のウミウシは、貝殻を脱いでしまったことで、毒のある生物を餌にします。それを食べることで毒成分を体に取り込み、自らを毒化することで身を守るのです。ウミウシの派手な色模様は外敵に対する警告色です。有毒であることをアピールしています。このほかに、見た目が地味なウミウシもいます。それは周囲の環境に体の形や質感、色模様などを似せ、外敵から見つかりにくくすることで身を守っています。

――生態がナメクジに似ているとも言われていますが本当ですか?

【西田さん】貝殻がなく、形がナメクジ状なので、英名はSea slug(海のナメクジ)とされていますが、生態はナメクジには似ていません。

――どんなところで生活しているのですか?

【西田さん】ウミウシは、潮間帯から深海まで、海の中のあらゆるところで生活しています。例外的に陸上や淡水産のものもいますが、ほぼ海産です。

――どんなものを食べているのでしょうか?

【西田さん】カイメン、ホヤ、コケムシ、ヒドロ虫、イソギンチャク、サンゴ、海藻といった付着生物がメインの餌ですが、クモヒトデやゴカイ、クラゲなど、動く生きものも食べます。ウミウシは、限られた種類の餌を食べる専食性が極めて高い生物です。種によって食べる餌種が異なるのが大きな特徴です。

――何種類くらいいるのでしょうか?

【西田さん】現在、日本では1400種類以上が確認されています。しかし、未記載種も多数あり、今後も増え続けると思います。全世界では、推定で6000種類のウミウシがいると見積もられています。

――注目され始めたのはいつごろですか?

【西田さん】個人的な注目時期は、大学の研究室配属時からですので、かれこれもう10年になります。ウミウシは、以前からダイバーには人気の生物でした。その美しさや愛らしさ、近年、水中カメラの普及もあり、図鑑や写真集が多数出版されたことで、1990年代後半頃からダイバーでない方々からも注目されるようになりました。

人気の種は、シンデレラウミウシやシモフリカメサンウミウシ…人気の理由は?

――どうして、いおワールドかごしま水族館に、“うみうし研究所”を作ろうと思ったのでしょうか? ウミウシに特化した施設を作った理由を教えてください。

【西田さん】ウミウシは、特殊な生態ゆえに飼育が難しく、水族館ですら飼育や安定的な展示はうまくいかず、ダイバーではない一般の方が生体を気軽に見ることができる場所がありませんでした。私は、大学の研究でウミウシを対象としていたこともあり、ウミウシを一般の方にも見ていただけるような展示をつくることが目標だったのです。

――なるほど。

【西田さん】展示にあたっては、ウミウシは、多くが体長数cmと小型であるため、「見つけにくい」「岩の隙間に隠れて出てこない」「管理が行き届かない」などの理由で、他の生物と共に常設水槽で展示しても注目されないことを考慮しました。そのため、ウミウシ専用水槽をつくりたいと思いました。

――さきほど、特殊な生態と言われていましたが、個人で飼育はできますか?

【西田さん】不可能ではありませんが、難易度は高いです。というのも、ウミウシを飼育するより前に、そのウミウシが食べる餌を特定し、この餌生物を採取し、健康な状態で飼育(維持)しておくことが大前提。この点でハードルが高い生き物ですね。飼育しやすいのは、アメフラシ類などの市販の乾燥ワカメなどを餌にしている種ですね。

――毒やトゲなど、人間に外などはない生物なのでしょうか? 直接手で触れても大丈夫? 

【西田さん】ウミウシは、ほとんどの種が、毒または忌避物質を持っています。しかし、直接触っても問題ありません。私も素手で扱います。一部にフグ毒を蓄積することがあるとされる種や猛毒のクラゲの毒針を体内に取り込んでいる種もいます。これらはむやみに触らない方が良いでしょう。基本的に有毒な生きものですので食用という点にはまったく向いていません。

――“うみうし研究所”では何種類くらい飼育されているのですか? とくに人気があるウミウシは? 人気の理由も教えてください。

【西田さん】少ない時で約35種類、多い時で約50種類ほど展示しています。人気があるのは、シンデレラウミウシ、ウデフリツノザヤウミウシ(愛称:ピカチュウウミウシ)、オトヒメウミウシ、シモフリカメサンウミウシなどです。ユニークな名前を持つ種はそれだけで驚きや発見につながります。さらに、美しい色だったり、かわいいなど、愛着のわく見た目であれば人気につながるのではないでしょうか。

――ウミウシの目当てのファンもいらっしゃるのでしょうか? 

【西田さん】遠方から“うみうし研究所”を目当てに来館される方や、直接私にお手製のウミウシグッズをプレゼントしてくださる方はいらっしゃいます。SNSなどで注目されたことで、ウミウシに興味を持ってくれる方は少しずつ増えているように感じます。ウミウシの専用水槽を常設展示で持っている水族館は日本ではごくわずかですので、ウミウシファンの中では多少なりとも話題にしていただいているようです。また、インスタ映えすると話題になったこともあり、当館の生き物の中ではウミウシが最もSNSの素材として使われていると聞いたことがあります。

――“うみうし研究所”のここがすごい! ということがあれば教えてください。

【西田さん】すべて自家採集で展示を継続していることがポイントです。長期飼育には餌の調査が必要不可欠です。どの種類のウミウシがどのような場所にあるどの餌を食べるかは、ほとんどの種類においてわかっていないため、フィールドで観察し、これを調べる必要があります。こうした活動を継続することで飼育研究が進み、長期飼育や継代飼育への道が開けていきます。“うみうし研究所”という名前は研究・調査が前提となっている展示であることを示しています。

――最後に、ウミウシ以外で、いおワールドかごしま水族館のオススメの生物を教えてください。

【西田さん】サツマハオリムシですね。これは、錦江湾で初めて見つかった生き物です。深海生物特有の生態系である「化学合成生態系」に属する極めて特殊な生物群の1つで生物学的に大変重要な生き物です。当館では、開館当初から鹿児島の深海の代表として、サツマハオリムシの展示を続けていますが、私たちの期待とは裏腹に大変地味な生き物であるため、特段の人気も出ていません。でも、錦江湾や当館に来たら見て、知って欲しい重要な存在です。ぜひチェックしてください。

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