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(更新: ORICON NEWS

中条あやみ、高身長でも出せる”純朴ヒロイン像“ 低身長がもてはやされる時代は終焉?

 映画やCMなどの出演数を伸ばし、モデルから女優へ転身した中条あやみ、22歳。170cm、9頭身という抜群のスタイル、そしてその愛らしいルックスを活かし、昨今は主演級の大役に抜擢され続けている。ヒロインと言えば“可愛らしい”イメージを大事した“低〜普通身長”女優が多かった。だが、中条あやみの醸し出す”ヒロイン感“が、その“定説”にも変化をもたらしているようだ。

ヒロインと言えば、汎用性のある“低身長”を重宝 高身長は難しい立ち位置が続いた

 “ヒロイン”といえば、可愛らしくて誰が見ても好感の抱ける女性像が定番。それを演じる女優にもある程度の汎用性が求められるため、“高身長”という個性はほぼ必要とされなかった。目立ちすぎず周囲に溶け込める、一般的なスタイル(に見えるルックス)…特に少女漫画のような胸キュン作品では“背の高い男子×小柄な女子”という定説は絶対的といってもよかった。

 「かつて映画が“銀幕”と呼ばれていた時代は、片岡千恵蔵のように“高身長でなくとも顔の大きな俳優”がもてはやされていた時期があった」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。時代劇映え、かつら映え、スクリーン映えするという理由からだが、その後、高倉健(180cm)や石原裕次郎(180cm)、松田優作(183cm)のような高身長の俳優がスターに。しかし80年代頃からまた変化し、近藤真彦(173cm)や三上博史(171cm)など、少年のようなスタイルとルックスの俳優に人気が集まった。80年代後半から90年代に入ると吉田栄作(183cm)や江口洋介(185cm)など高身長の俳優に再びスポットが当たったものの、「複数の芸能事務所の話によれば、高すぎる身長は強烈な個性になってしまう。俳優の身長はほどほどが良いとされてきた」と衣輪氏。かつて阿部寛(189cm)が、「相手女優と釣り合わずラブストーリーに不向き」と言われていた話は有名だ。

 とくに女優であれば、なんとなく男性は背が高いほうがいいという固定観念からか、他の役者と並んだ時の違和感をなくすためにも低〜普通身長が重宝されてきた。さらに相手役の俳優への配慮(キャスティング側の配慮)などもプラスされるため、ますます背の高いヒロインは敬遠されがちに。往年の少女漫画のヒロイン像を見れば分かるとおり、低〜普通身長で痩せっぽち、胸は控えめというのが定型だ。巨乳やモデル体型、高身長という個性は“ラブストーリーの王道ヒロイン”にそぐわず、特徴的なスタイルゆえ任せられる役が限られるという現実も強かった。

■高身長女優が切り拓いてきた“生きる道”

 90年代〜00年代にかけて、高身長の女優の主演作品が増えていた時期があった。とくにドラマでは、山口智子(170cm)、松嶋菜々子(172cm)、江角マキコ(170cm)などが人気を博し、モデル出身などすでに同性のファンがついている女優が注目を集めた。その後も小雪(170cm)、天海祐希(171cm)、杏(174cm)、菜々緒(172cm)などが“高身長を活かし”自ら生きる道を切り拓いてきた。持ち前の高身長が“キャリウーマン”や“悪女っぷり”を引き立てる好材料として機能。高身長に付随した長い手足は、走る場面やアクションシーンなどでも映えた。

 だが、高身長の女優の活躍はあったものの、気の強い女性やクセの強い女性、悪女、いじめっ子、キャリア女性などと言ったイメージが濃く出てしまっていた。それらは過去に“高身長女優”たちが、自分たちの生きる道を探してきたおかげであり、「今もそのイメージを利用してオーディションを受ける高身長の女優の卵は多い」と衣輪氏。視聴者が抱く”役柄のイメージ“に、かくも身長は深くかかわっているのだ。

高身長でも純然たる“お姫様”が似合う希少価値

 そんな中、イギリス人の父と日本人の母を持つハーフで、170cm9頭身の日本人離れしたスタイルを持つ中条あやみが躍進中だ。長身を活かしてモデルとしても活躍しながら、女優としても高身長をものともしない“ヒロイン抜擢”の連続。『セトウツミ』『覆面系ノイズ』『3D彼女』『ニセコイ』と、連続で漫画実写のヒロイン役を演じ、胸キュン設定でもぴったりハマっている。さらに現在公開中の映画『雪の華』では、余命宣告をされた薄幸のヒロインを熱演。高身長女優としては稀有な存在といえる。

 「長身ベイビーフェイスの礎を確固たるものにしたのは新垣結衣さん(169cm)と言えるでしょうが、さらに新しい流れをつくっているのが中条あやみさん。中条さんは新垣さんのように声が高いわけでもないし、ハーフで目元がキリッとしており、ベイビーフェイス的な“かわいい”ではなく“キレイ系”の顔立ち。そして“THEモデル体型”で、お人形のような存在感。こういった女優さんはこれまではヒロインというよりも、ヒロインをいじめる役などを演じることが多かった」と衣輪氏。

 さらに「中条さんの持つ柔らかい表情や“お嬢様感”“お姫様感”“純朴な少女感”は唯一無二。170cmという女性にしては高い身長をコンプレックスに感じているわけでもなさそうな、育ちの良い、愛されて育った感のある雰囲気も若い女性たちに“かわいい”とされている理由のようです。小松菜奈さんも似た雰囲気で活躍されていますし、今後こういった女優さんが増える可能性もあるかもしれないですね」(衣輪氏)

 ベイビーフェイスのヒロイン抜擢の続く今、高身長女優に新たな道をつくったとも言える中条あやみ。これまでは“背の高い男子×小柄な女子”という身長差を生かしたシチュエーション(壁ドンや顎クイ、袖クル、ヒロインが背伸びをして彼にキスなど)がお決まりとなっていたが、このまま彼女の躍進が続けば、今後はそれとは異なる、新たな胸キュンシーンの定番が誕生するかもしれない。

(文/西島亨)

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