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都市部ではなぜ苦戦? “ご当地ナンバー”の今後の課題を担当者に聞いた
“ご当地ナンバー”だけじゃない ラグビーW杯、東京オリンピックデザインも
実は、ご当地ナンバープレートの歴史は意外と古い。もともとナンバープレートは自動車登録事務所の設置場所に基づいたものなので、実際に住んでいる地域との地理的距離やイメージのギャップがあったところを、“沼津・山梨”から“富士山”、“土浦”から“つくば”のように06年からより親しみのある地域名(ご当地ナンバー)が導入されてきた背景がある。
そして昨年、「“走る広告塔”としてのナンバープレートの機能に着目し、大会開催機運の盛り上げに貢献すべく、ラグビーW杯、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様ナンバープレートの交付を開始しました」(国土交通省の担当者)とのことで、今年の10月からは、地方版図柄入りナンバープレートの交付をスタートさせたわけである。
“ご当地ナンバー”は“町おこし”の一環 都市部と地方ではテンションに差が
たしかに地域色は豊かなのだが、ナンバープレートに対するユーザーの意識は地域によってかなりの温度差があるようで、交付数の地域順位でいうと、1位福山、2位熊本、3位仙台、39位越谷、40位杉並、最下位の41位は世田谷となり、上位の地方と下位の首都圏との間では明らかな差が見られる。
理由として、地方はご当地ナンバープレートを“町おこし”の一環とする意識が強いことが挙げられる。実際、国土交通省の担当者も「申込みの多い地域は導入自治体が率先し、積極的なPR活動を展開していると思われます」と語り、「都心部においてはラグビーナンバー・オリパラナンバーをすでに多くのユーザーが取り付けられているため、交換需要が低いのではないかと考えられます」と分析。
先のベスト3とワースト3のナンバープレートのデザインを見ても、上位から「広島東洋カープ」、「くまモン」、「伊達政宗」と地元で愛されるキャラクターを使用したわかりやすいデザインであるのに対して、越谷は「ガーヤちゃん」、杉並は区のアニメキャラクター「なみすけ」と「ナミー」、世田谷は「多摩川とサギソウ」をイメージしたデザインと、上位に比べるとややインパクトが薄いことは否めない。いずれにせよ、地域住民・自治体によって“テンション”に差があるのは間違いないようだ。
自動車とは違い、原付きバイクでは自由度の高い“ご当地ナンバー”
たとえば、司馬遼太郎氏の小説『坂の上の雲』を軸とした町づくりを進める松山市では、平成19年7月から全国初となる“雲”をイメージしたオリジナルデザインのナンバープレートを導入。また、神奈川県箱根町では、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』とコラボしたデザインが登場した。千葉県佐倉市は『ルパン三世」の姿をデザインし(作者のモンキー・パンチは佐倉市在住)、千葉市は千葉ロッテマリーンズのキャラ「マーくん」と野球ボールがモチーフだ。
その他、しゅうニャン市の愛称で知られる山口県周南市はネコがモチーフのナンバープレートを400枚限定で発行、高知県須崎市は市のマスコットキャラクター「しんじょう君」を表現、滋賀県彦根市は人気のゆるキャラ「ひこにゃん」をデザイン等々、2018年9月時点において、全国47都道府県509市区町村で原付ナンバープレートの“自由化”が進められているのである(一般財団法人日本経済研究所調べ)。
こうした原付のナンバープレートのように、自動車でも自由度が高くて面白いナンバープレートが多く出てくれば、図柄入りナンバープレート先行で地元愛が深まり、都市部でも図柄入りナンバープレートが普及、全国的に町に活気が出てくる、という流れになることも考えられる。
今後、自動車の地方版図柄入りナンバープレートの対応地域を増やしていく予定はありますかとの質問には、「平成32年度に新たな地域名表示の追加にあわせて図柄入りナンバープレートの導入が予定されておりますが、その後の予定については未定となっております」(国土交通省の担当者)との回答だった。自動車の地方版図柄入りナンバープレートを通じて、地域から都市、そして“日本おこし”が進むように期待したいところである。