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“キャラ”杖も登場でシニア向け市場活況、一方で“孫愛”も健在、バンダイに聞くシニア戦略
ステッキ以外にもシニア向け商品は多数 老眼鏡と「ウルトラマン」のコラボも
過去にもバンダイは、シニア向け商品を発売してきた。2007年には、「マルベル堂のプロマイド」として女優・吉永小百合、俳優・渡哲也などの写真セットなど大人の趣味嗜好をくすぐる商品をラインナップ。さらに同年、音楽に合わせてピアニスト、ギタリストなどのフィギュアが動く「LITTLE JAMMER」シリーズから、歌手・美空ひばりが手を動かして歌う様子を再現したフィギュア「美空ひばりジャズを唄う」も発売するなど、多くのシリーズを展開している。
キャラクター商品では、昨年、『ウルトラセブン』放送開始50年を記念したスペシャルアイテムとして、ベネリックより「ウルトラセブン」モデルの老眼鏡、「ウルトラアイシニアグラス」が発売。モロボシ・ダンがウルトラアイを装着して「ウルトラセブン」に変身するシーンを、日常生活の中で自然に再現するというコンセプトから発売された。
シニア向けに作ったわけではない玩具がシニアに受けた例もある。7月発売のメガハウス商品「さけべ!トントンボイス相撲」は「トントン」の声で土俵が揺れたり光ったり、声だけでトントン相撲が楽しめる新たな商品。誰もが気楽にできる“ゆるスポーツ”の一環から、自然発生的にリハビリ商品としても使えるとして話題に。「声だけなので、海外の方でも楽しんでもらえるのは面白いと思います」とのこと。
1999年発売の「プリモプエル」は接し方により、返事をしたり歌をうたったり、次第に性格が変わっていくぬいぐるみとして人気に。「プリモプエルは、元々はファミリー向けだったんですが、一人暮らしのご老人や、子供が独立した後のシニア世代の方々に人気が出たということもありました」と広報担当。
ステッキ発売は、シニア向け商品の出発点であり“文化創造”
一般的には、シニア向け商品は消費が活発になるのは定年後の65歳からと言われているが、バンダイは「シニア商品を開発する専属のチームがあるという訳ではなく、“シニア”の定義は明確にはありません。シニアと呼ばれたくない方もいるでしょうし。そもそも、皆さん元気なんです」と回答。ステッキを発売したものの“シニア”という言葉の取り扱いにはデリケートになっているようだ。
「そのキャラクターに、どの年代が一番親しみを持っているかで、ターゲットの年代が決まってくる」と年齢層を意識して商品を開発。「今回のステッキでは、『鉄人28号』では70代の方も可能性としてはありますが、『マジンガーZ』などに親しんだ世代は、50代〜60代、今はみなさん健康ですから」と意外な回答があった。
その真相は「今後高齢者の方が増えていくのは間違いないことで、良いタイミングと思い、シニア向け商品の出発点としてステッキを作りました。“文化創造”ではないですが、地道にやっていくことが必要だと思っています」と開発担当。利益を追求すること以上に、社会的意義を見出して商品開発を行ったようだ。
オタク層も高齢化 将来的には「プリキュア」のシルバーカーも?
今後の福祉用具の展開について話を聞いていく中で、「将来的に、『プリキュア』などの名作とコラボしたシルバーカーというのも面白いですね」との問いかけに、「シルバーカーも開発出来たら良いなと思います。確かに、そういったシルバーカーは面白いですね」と前向きな回答。
少子化が叫ばれる中で子供向け商品の売上について聞くと、「少子化とはいえ、シックスポケット(両親と各祖父母の6人から子供のために商品を買う)という言葉もありますし、『妖怪ウォッチ』のように大ヒットする商品もあります。良いものを作れば売れると信じています」と開発の信念を告白。
改めてシニア向け戦略について問うと、「まだこれからの事業だと思っている」と回答。今は、シニア向け戦略だけにとらわれず、「バンダイの理念にも通じますが、全年代・全方位に向けて玩具を作っています」と熱意を表明。
リハビリのための玩具については、「将来的にはそういった商品も必要になってくるかもしれない」と新基軸の分野にも取り組む可能性がある様子。少子高齢化のなかで、今後本格的に玩具メーカーは“シニア戦略”を打ち出してくるかもしれない。