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関ジャニ∞・渋谷すばる“最後”の日、7人が示した友情と答え

錦戸の涙、大倉の笑顔、渋谷の叫び…最後の曲で示したそれぞれの友情

 続いて、「LIFE〜目の前の向こうへ〜」での魂の演奏へ――。これまでライブなどでほとんど涙を見せることのなかった錦戸が、途中で歌えなくなったこと。反対に、様々なツアーでオーラスのたびに涙を見せていた大倉忠義が満面の笑みで“あの日交わした約束をずっと覚えているから 涙堪えて”と歌い、渋谷に向けて手を伸ばしたこと。渋谷が、最後の最後に、「エイター」と叫んだこと。横山裕もまた、今にも泣き出しそうな顔をしながら、ぐっと涙をこらえていたこと。親友として誰よりも寂しいはずなのに、村上信五が最後まで司会としての役割を全うしたこと。ほんの数分の中に、様々なドラマがあった。渋谷は、最後まで泣かなかった。目を潤ませてはいたけれど、涙は流さなかった。

 “エイター”の名付け親として、ライブ前半のあいさつで、誰よりも激しくファンに向けてその呼び名を叫ぶのは彼だった。どんなことでも全力でやる“アイドル”であることに誇りを持ちつつ、こと音楽に、ことライブに関しては、唯一無二のメインボーカル。エイターは、渋谷が歌う関ジャニ∞の“歌”を愛していたはずだ。彼こそが、関ジャニ∞というバンドのフロントマンであり、カリスマだった。そんな渋谷が、自分の意思でジャニーズ事務所を辞め、アイドルとしてではなく、いちミュージシャンとして生きることを決め、誰もが最終的には、彼の“勇気”をリスペクトした。7人の“友情”にしびれた。だから、リアルタイムでこの演奏を見届けたファンも、寂しかったけれど、悲しくはなかったはずだ。悔しくもなかったはずだ。渋谷すばるが、愛されて送り出されようとしていることが、誇らしくなったはずだ。

 この日の『関ジャム』の演奏には、ファン以外にもたくさんのミュージシャンや音楽関係者が感動のツイートを寄せていた。メインボーカルの脱退という大きな試練に立ち向かうことで、もしかしたら彼らは、あらためて世間に認めさせることができたのかもしれない。関ジャニ∞がミュージシャンとして“本物”であることを――。
★関ジャニ∞、7人体制最後のテレビ出演で完全燃焼

今後の関ジャニ∞を支える決意も、“赤”は途切れることなく

 でも7人でのドラマは、ここで終わらなかった。12日に更新された携帯・スマホ専用サイト『Johnny's web』のブログで渋谷は、最後の文章を『関ジャム』終了直後に綴っている。生放送が終わって最初にメールを送ったのは錦戸で、そこには今後の関ジャニ∞を引っ張る決意が書いてあったそうだ。音楽の要であった渋谷が抜け、演奏の要である安田は、まだ本調子には程遠い。かつては“気まずいコンビ”とも言われていた、関ジャニ∞でも一二を争う照れ屋な2人が、最後に見せた友情。友を失う寂しさを感じられるのも、“出会えた”という幸福あってこそ。あのとき錦戸が流した涙は、裏を返せば、出会えたことが嬉しくて流した涙と、同じ色で同じ輝きで、同じ温度で同じ味だったのではないだろうか。

 関ジャニ∞には、“涙”の歌がとても多い。悔し泣きも、笑い泣きも、嬉し泣きも、慟哭も嗚咽も。様々な場面で、彼らは涙を流してきた。でもだからこそ今、こんな気持ちを、慰め、励まし、労ってくれる関ジャニ∞の音楽が、たくさんある。安田は“赤”は血の色だと。自分たちの中にずっと流れている色だとしている。

 いつか、『ミュージックステーション』で、ソロアーティスト渋谷すばると、6人の関ジャニ∞が共演する日が来るかもしれない。そんなことを夢見た。
(文:菊地陽子)

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