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長編アニメ映画『ニンジャバットマン』が本場アメリカで“狙い通り”の賛否両論?「卵をぶつけられるかも」

  • 脚本家・中島かずき(左)、監督・水崎淳平(右)

    脚本家・中島かずき(左)、監督・水崎淳平(右)

 アメリカの大人気ヒーロー・バットマンが日本の戦国時代を舞台にタイムスリップし、宿敵・ジョーカーらと戦う長編アニメ映画『ニンジャバットマン』が15日より公開する。脚本は劇団☆新感線やアニメ『天元突破グレンラガン』、『キルラキル』の脚本家・中島かずき。監督はアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングやアニメ『ポプテピピック』を手がけた神風動画の水崎淳平が担当。約80年の歴史を誇る『バットマン』の世界観と、日本伝統のアニメカルチャーの流儀が見事に融合した本作について、バットマンへの愛や、映画作りへのこだわりを二人に聞いた。

過剰な脚本家、過剰な演出家、過剰なキャラデザイナーが集結!「バットマンは日本にはないヒーロー像」

――そもそも企画の経緯は?

中島かずきワーナーさんから「オリジナルでバットマンを」という話をいただいて、アメコミも時代劇も両方好きなので二つ返事で引き受けました。最初から「タイムスリップしたほうがいい」という話はしましたね。

水崎淳平私も同じぐらいの時期に「日本でバットマンをやる」という話を聞きました。バットモービルもすごい好きなんですけど、ティム・バートン版(映画/1989年公開)の流線型のバットモービルの1/6サイズが近所の車のショールームに置いてあったのを見ていて、丁度そのタイミングで話が来たので「これは経費で落とせるぞ」と(笑)。

――これまでの『バットマン』の印象は?

中島かずきアダム・ウェスト版(TVドラマ/1966年放送)からリアルタイムで見ています。なので、『バットマン』はダークヒーローのイメージが強いけど、自分の中ではもっと幅広い印象ですね。でも、30歳ぐらいの時にアメリカで、『バットマン:ダークナイト・リターン』の原書を見つけて衝撃を受けました。バットマンはヴィジランテ(自警団)で反体制的に描かれていて、国家側のスーパーマンと対立するところまで描いているんです。「アメコミはここまで進んでいるんだ」と思っていました。

水崎淳平アダム版はポップでユーモラスで身近なヒーローのイメージ。バットマンはピンチの際には自分で開発したガジェットで乗り越えていくという、超人ではないところが日本にはあまりないヒーロー像です。そういうスタイルに憧れがありました。
――歴代さまざまな作品がある中、今作の位置づけは?

中島かずきクリストファー・ノーラン監督のシリアスなの(映画/05年、08年、12年公開『ダークナイト』3部作)もいいけど、最近はアダム版のようなファンキーなテイストがない。そこで今回はバットマン自身はシリアスなまま、全体的にはポップな活劇にしようと。ジョーカーも最近は哲学的なヴィランになっているけど、陽気な愉快犯のようなジョーカーもいいんじゃないか、って。日本でやるなら振り幅を広げて楽しいことをやりたいと思いました。バットマンを「日本のアニメの世界にようこそ!」と丁重にお迎えして、キャラクター像はそのままに「戦国時代にタイムスリップしたらどうなるか?」を追求しました。

水崎淳平おっしゃる通りです(笑)。

中島かずきそこの意見が一致したので、お互いに突っ走ることができましたね。

水崎淳平ノーラン版のかっこよさも好きだけど、今回は呼ばれたスタッフの顔ぶれを見て、一番得意なところに持ち込めばいいなと察しました。

中島かずき過剰な脚本家と過剰な演出家と過剰なキャラクターデザイナー(『アフロサムライ』の岡崎能士)が集まったので(笑)。

“頭がおかしい”二人の意地の張り合いも!? 「アメリカ人が日本に抱く“勘違い”をあえて拡大した」

――外国人受けを狙いましたか?

水崎淳平ハリウッド映画で描かれる日本のイメージって、ちょっと間違えているのが面白い。それをあえて拡大して、僕らが発信することで、さらに日本が“誤解”されたら面白いなって。最近は、作品を見て世界中でSNSで意見を交わしていく時代。なので、ちゃんと解説してくれる英語圏の人もいると見越して、観客にツッコんでもらって、何回も見てもらおうと。

中島かずき「過剰さが我々の武器」ですね。有名なヴィランを戦国大名に置き換えて、上杉謙信は女性説があるから、ポイズン・アイビーに。片眼の伊達政宗は同じく片眼のデスストロークにしようとアイデアがハマっていきました。

水崎淳平お互いにどんどんアイデアが出てきて。人の意見を否定するんじゃなくて、みんなが乗っかっていくスタイル。ワーナー・ブラザースの人がDCコミックスに説得しに行くのが大変だったんじないかな(笑)。

中島かずきさらに、ガジェットを出すなら全部出しちゃおうと最初に一気に出し切りました。バットモービルからバットウィング(飛行機)、バッドポッド(バイク)とマトリョーシカのように出てきて、最後はアーマード・バットマン(パワードスーツ)に変形する。そこはメカニックデザイナー・荒牧伸志さん(『APPLESEED』監督)にお願いして、日本のアニメの英知を結集しました。

――初タッグで一緒に仕事をしてお互いに感じた相手のすごさは?

中島かずき(水崎は)頭がおかしいなって(笑)。神風動画として注目されていて、「(アニメのオープニングに多い)90秒も90分も一緒」って、90秒と同じ密度で90分の作品を作った。まさに神風動画の社訓「妥協は死」を体現している。

水崎淳平いやいや、「頭がおかしい」って、こちらこそ、あなたに言われたくない(笑)! 最初の打ち合わせで、中島さんからどんどんアイデアが出てきて、完全に置いて行かれました。自分が「何一つアイデアを出せてない」って。トイレに行っている間に話がどんどん進んで「中島さんとの打ち合わせ前はお茶を飲まない。トイレに行ったら負ける」って決めたぐらい。引き出しの豊富さとそこから出てくる早さ、そして理由付けの正確さは本当にすごいです。

「アレを切るんだったら、俺は降りる!」二人がこだわった挑戦的なシーンとは?

水崎淳平それから、人のアイデアを否定しないのもすごい。尺の都合でカットしなきゃいけない部分も許容してくださった。今回、キャットウーマンの「女の気の迷いを許せる男は素敵よ」ってセリフがあるけど、その通りの方ですね。

中島かずき脚本の内容と脚本家は同一ではないから(笑)

――(笑)。先程、お話にあったように神風動画は90秒の作品が多くて、長くても『ポプテピピック』の15分でしたが、『神風動画』としては挑戦だったのでは?

水崎淳平「無理なんじゃないか」と思ったときもありました。途中で降りるケースもあるのかもしれないけど、社会人なので保険をかけないといけない。なので、バットマンがガジェット全部失ってしまう最初の20分ぐらいまででできたら、後はギブアップしないだろう、と。結局、そこまで仕上がったので無事にやり遂げられました。

中島かずき映像面では、途中で大きく雰囲気が変わるシーンがすごい! 僕もあのシーンが1番やりたくて、「アレを切るんだったら、俺は降りる」って言ったぐらい。すごく挑戦的なことをやってもらったと思います。

水崎淳平(日本を象徴するような)「土は、いい」というセリフが最初の頃からあって、「ここは切っちゃいけない」と鉄壁の守りをしました。そういうバランスの歪さが個性になると思いました。

中島かずきそのシーンも含め、DCコミックスから怒られるかと思ったら、何も言われませんでした。

水崎淳平直しが入ることにドキドキしてたら「完成はまだか?」って。
――海外のコミッションでの観客の反応は?

水崎淳平アナハイムで初めてお客さんに見せて、(ブーイングで)卵が飛んできた場合用に「フライパンを用意しようか」って(笑)。

中島かずきアーノルド・シュワルツェネッガーが(03年にカリフォルニア州の知事選で)遊説をしていて、卵をぶつけられて「ベーコン持って来い」って言ったから。なので、我々はもしそうなったら、「ご飯を持って来い」って言おうって。

水崎淳平日本人らしく「卵かけご飯にして、食べよう」って言いましたね(笑)。

中島かずき結局、(10点満点で)5点は少なくて、10点と1点が多いという狙い通りの結果になってよかったです。卵も飛んでこなくて、安心しました。
■『ニンジャバットマン』
■2018年6月15日(金)新宿ピカデリー他ロードショー
■配給:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社
■Batman and all related characters and elements are trademarks of and (C) DC Comics. (C) Warner Bros. Japan LLC

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