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任天堂の本気がスクリーンでも? マリオの本格CG映画にかかる期待 

  • 28年前のマリオの実写化映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』。製作25周年を機に2017年12月にリマスター版が発売された。

    28年前のマリオの実写化映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』。製作25周年を機に2017年12月にリマスター版が発売された。

 先ごろ、任天堂を代表するゲームキャラクター「マリオ」を扱った映画の企画開発開始が発表され話題を呼んだ。世界の人気者であるスーパーマリオのCG映画は初の試みであり、『ミニオンズ』などを手掛けたスタジオが制作することから期待値も膨らんでいる。だが一方で、“ゲーム映画”のヒット作は過去を振り返ってみてもほんの一部。そこで、任天堂の本気度と、マリオ映画の可能性について考えてみよう。

36年間ずっと現役! ギネス公認の世界でもっと認知されるゲームキャラ

 マリオは言わずと知れた任天堂のゲーム『スーパーマリオブラザーズ』のキャラクター。1982年にアーケードゲーム『ドンキーコング』内で“マリオ”として正式に登場して以来、コンピューターゲーム黎明期から現在まで活躍が続き、正確な数を把握するのが困難なくらい、数多くのゲームに登場している。『マリオゴルフ』『マリオテニス』など多種多様なスポーツゲーム、『マリオのピクロス』『Dr.マリオ』などのパズルゲーム、『マリオカート』シリーズのレースゲーム、『スーパーマリオRPG』のロールプレイング、『大乱闘スマッシュブラザーズ』といった対戦ゲーム、『マリオペイント』『マリオメーカー』などのツール・クラフト系ゲーム、さらには『役満DS』では麻雀プレイヤーとしても登場する。そしてその多くがシリーズ化され、海外でも親しまれている。

 ファミコン時代から、任天堂のゲーム機の進化と共に常にマリオが存在し、最新作は大ヒット中のNintendo Switchの『スーパーマリオ オデッセイ』(2017年10月発売)。つまり、80年代に子供時代を送ったおじさん世代から現在の子供まで、幅広い世代で36年間“リアルタイム”で親しまれている稀有なキャラクターといえる。マリオは、ディズニーのミッキーマウスにも劣らぬ知名度を誇る、日本が生んだ世界的スーパースターの1人なのだ。事実、マリオは「ゲーム史上、世界で最も知られているゲームキャラクター」として、ギネス世界記録にもその名を連ねている。そんなマリオがスクリーンで動く姿を見られることは、やはり世界的なニュースなのである。

 『スーパーマリオ』のCG映画は、アメリカのアニメーションスタジオ・イルミネーションが制作すると報道された。イルミネーションは、ユニバーサルスタジオの子会社であり、米国で主に3DCGアニメを制作。『怪盗グルーの月泥棒』や『ミニオンズ』『SING/シング』などのヒットCG映画を手掛けてきた実力と実績を兼ね備えたスタジオだ。日本でも『ミニオンズ』人気は絶大であり、おのずとマリオのCG映画への期待度は高まる。

ゲーム原作の実写映画は、ヒット作品希少? 会社が傾く事態に陥った作品も

 テレビゲームの映画化作品は実は珍しいものではない。『ダブルドラゴン』(1994年公開)や『ときめきメモリアル』(1997年公開)といった懐かしいものもあれば、2016年にはPS3で人気を博した『アサシン クリード』も映画化されている。邦画としてもサウンドノベルゲームの実写化で奥菜恵が出演した『弟切草』(2001年公開)、ホラーゲームの実写化で市川由衣が主演した『SIREN』(2006年公開)、『ひぐらしのなく頃に』も映画2作とドラマ化の展開もされたように、ヒットゲームの映画化事例は多い。

 しかしながら、アニメにおいては『ポケットモンスター』『妖怪ウォッチ』といった成功例もあるが、実写・CG作品においてヒット作は希少。アンジェリーナ・ジョリー主演の『トゥームレイダー』、ミラ・ジョボヴィッチ主演の『バイオハザード』のようにシリーズ化されるヒット作は稀であり、多くは『ストリートファイター』のようにB級映画と評される。

 世界的人気ゲームのCG映画『ファイナルファンタジー』(2001年公開)では、莫大な予算を投入するも興行収入は不振に終わった。この映画がスクウェア(当時)の経営を圧迫し、エニックスと合併するきっかけになったと言われている。『ファイナルファンタジー』は極端な例とはいえ、ゲームの映画化には、ブランドイメージを損なうようなリスクの高い一面もある。そんな“ゲームの映画化”だが、実は任天堂が元祖。28年前にマリオは映画化されているのである。

 1993年に公開されたハリウッド映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』がゲーム映画の元祖であり、マリオ映画化の第1弾だった。製作費50億円を投じられた大作であり、映画のキャッチコピーは「マリオが、ハリウッドを本気にさせちゃった。」。しかしながらその内容は、もはや黒歴史ともいえるほど、トンデモ設定の宝庫だった。

実は28年前にもあったマリオ実写映画、トンデモ設定の“黒歴史”に学ぶ

 元祖マリオ映画は、マリオと恐竜帝国の闘いを描いた内容。絶滅したと思われていた恐竜は地下世界で独自に進化を遂げる。そして、恐竜の国にさらわれた恋人を助けるために、マリオとルイージの配管工兄弟が奮闘する。

 マリオとルイージは血のつながりがなく、年齢も大幅に離れた兄弟。クッパ大魔王は、映画では恐竜帝国のクッパ大統領。敵は亀ではなく恐竜族であり、ノコノコなどの敵キャラもやはり恐竜。映画のヒロインはゲームボーイ版『マリオランド』のヒロインであったデイジーを名乗り、物語の中で実は恐竜帝国の王女ピーチであることが判明する。マリオの恋人は映画オリジナルキャラのダニエラで、ピーチ(デイジー)はルイージとの恋仲に発展する。マリオの冒険の相棒であるはずのヨッシーはクッパのペット。武器はファイアボールではなく、生物を退化させる光線を放つ「逆進化銃」だった。実写化となればゲーム通りの設定とはいかないことを鑑みても、「スーパーマリオ」とはかけ離れたトンデモ設定の宝庫であった。

 ちなみに、マリオの公式サイト「マリオポータル」では「昔、配管工の仕事をしていたこともあるらしい」とあり、マリオの正式な職業は明かされていない。マリオの職業が配管工であるというイメージが浸透しているが、実写映画でマリオとルイージの2人が配管工として描かれていたことで間違ったイメージが浸透したのでは、という説もある。

 多額の製作費が投じられた大作だったが、結果ヒットには至らず。マリオ役で主演したボブ・ホスキンスは、監督を辛辣に批判し、「僕の生涯で最悪な作品だった」「金のために出演したが、それでもギャラを投げ返したいぐらい」と酷評したという話も知られている。『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は“伝説のカルトムービー”とも言われ、マリオ映画として見なければ面白いという見方もあるが、“マリオ”を期待する側にとっては、慣れ親しんだ設定とはかけ離れすぎると残念な気持ちになるのは致し方ないのだろう。

“生みの親”宮本茂が動く任天堂の本気、“ゲーム映画”の縮図が変化するか?

 このように28年前のマリオ映画の評価は散々たるものだったが、実は任天堂はゲームコンテンツ管理には厳しいことで有名だ。過去、ゲームの権利を巡る裁判が度々あり、類似ソフトの制作会社を提訴したり、ニンテンドーDS用「マジコン」の輸入販売について勝訴したりと、ゲームメーカーの権利を守るべく戦ってきた。その厳しさは、ネットユーザーの間では“任天堂法務部最強伝説”もささやかれているほどだ(実際には任天堂に法務部は存在しない)。各社から出版されているゲーム攻略本においても「公式」が付くのは小学館の「任天堂公式ガイドブック」のみであり、ゲーム内に出てきた表現を重んじて制作される。そのほか、コミカライズも多数刊行されているが、『ポケモン』『ゼルダの伝説』の連載漫画も監修に入るなど、ゲームの世界観を守ることについてもしっかり管理をしているのだ。そう考えると、28年前の“黒歴史”に学ぶ反省は、任天堂が制作の主導権を握らなかったことではないか。任天堂が本来のクオリティーコントロールを発揮していれば、違った作品になっていたのは間違いない。

 その点、今回の『スーパーマリオ』のCG映画化は、代表取締役フェローでありマリオの生みの親である宮本茂氏が任天堂側の責任者となっていることからも、“本気”がうかがえる。任天堂は、マリオ映画化の理由を次のように発表している。「このプロジェクトを通じて、ゲーム以外の形においても任天堂IP(知的財産)を積極的に活用し、世界中で一人でも多くの皆様を笑顔にするための努力を続けていく」。つまり、マリオのCG映画が今後の試金石となる可能性が高い。これを機にゲーム映画の縮図が変化することも十分にありえるだろう。

 “マリオ”以外にも世界的に人気のゲームタイトルは多数ストックがあり、任天堂だけでも映画化向けのコンテンツは豊富だ。世界観やストーリー展開が評価されている『ゼルダの伝説』や『ファイヤーエムブレム』シリーズは『ロード・オブ・ザ・リング』のような壮大な本格ファンタジー作品になりえるし、かわいらしいキャラクターの『星のカービィ』は『ミニオンズ』のように子供向け映画になるだろう。『メトロイド』は『エイリアン』のような本格SF映画に、『F-ZERO』は『ワイルドスピード』を超越するハイスピードカーレース映画に…と夢は膨らむ。いずれもゲーマーとって垂涎のタイトルであり、人気ゲームは良質な映画のコンテンツになるはずだ。

 今回のマリオのCG映画のタイトルやストーリーなど詳細は現在明かされていないが、、今作の成功いかんで、他メーカーも含めた“ゲーム原作”に、映画業界が熱視線を送ることは間違いない。いずれにせよ“任天堂らしく”大人も子ども胸躍るマリオの世界が存分に堪能できる作品であることを期待したい。
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