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独立から4年の赤西仁の今、世界進出を視野に「気づいたら365日仕事」

 日本ばかりか、中国ほかアジア圏でも活躍する赤西仁が、10月にユニバーサルミュージックと業務提携することを発表した。洋邦多数のビッグアーティストを抱える同社とのタッグは、赤西が今後もグルーバルな活動を目指していくことを意味する。独立して4年、「若い頃から雇っていただく方の立場だった」という赤西が、現在のように「とにかく楽しむこと」を実践できるようになった道のりとは? 自身の経験や成長を語った。

独立してからの4年間、日本のみならずアジア圏で実績を積む

 赤西仁主宰のレーベル、Go Good Recordsとユニバーサルミュージックが業務提携を結び、本格的な世界進出を目指すことになった。2013年、JIN AKANISHI名義での全米デビューから6年近くが経過し、その間に、個人レーベルGo Good Recordsを立ち上げ、地道に活動を続けてきた。Go Good Recordsを立ち上げてからの4年間、中国の音楽アワードで賞を授賞したり、上海やマカオでライブを開催したり、日本〜アジア圏での人気はこれまで以上に高まっている。

 そんなタイミングでリリースされる通算7枚目のフルアルバム『Blessed』。2017年5月5日、6日の2日間にわたって東京・国立代々木第一体育館で開催された『JIN AKANISHI LIVE 2017 in YOYOGI〜Resume〜』で初披露され、ファンの間でも反響が大きかった新曲「Fill Me Up」「Yesterday」含む全10曲が収録されている。ジャスティン・ビーバー、リアーナ、ブルーノ・マーズ等でも有名なプロデューサーチーム、ステレオタイプスが先述の2曲を提供したほか、それ以外の外部クリエイターも多数参加。もちろん、赤西自身の作詞・作曲のナンバーも多数収録されている。

会社の仕組み、お金のこと…「今まで見えなかった部分が見えるようになった」

 2015年のアルバム『Me』の時に「独立後、ファンの方達と交流する場がSNSなども含めて増えたので、距離は自然と縮まったと思いますし、SNSのタイムリーになんでもシェアできる便利さに驚いています」と話していた赤西。

 独立してからの4年間、そこで得た経験は赤西にとってかけがえのないものになった。

 「若い頃から雇っていただく方の立場だったので、会社の仕組みだったり、今まで見えなかった部分が見えるようになったことは勉強になりました。ただ、独立してよかったと感じるのは、それこそお金のことも含めて、ゼロから作品づくりに関われるところです。可能な限り自分たちだけでできますし、キチンと自分が作ろうとしているところにお金をかけられる。たまに(お金を)かけすぎて怒られますが(笑)」

「ファンの方の声は大事」、絆があるからこそ冒険ができる

 ライブだけでなく、アルバム制作、映像制作など、自分のペースで活動を続けてこられる背景には、昔から彼を応援してくれるファンの存在が大きい。「自分のやりたいように、自分の好きなことをする」ということを体現する赤西の生き様が、多くの人を惹きつけるのだろう。そのことについて以前、「自分に正直に、言いたいことはなるべく言う。家族・友人を大切にする。信念を持つ、説得力のある行動をとれるように心がけるということが大事です。あとは行動力!」と語ってくれたことがあるが、彼の考え方は今も変わってない。視野を広く持ち、シンプルに生きること。それが赤西の信念であり、アーティストとしてのスタイルなのだ。

 今回のアルバム『Blessed』のタイトルには、「楽しく音楽をできる喜びと感謝の気持ち」という意味がこめられている。喜びを分かち合いたい人、感謝したい人は?と聞くと「ファンの皆さん」だという。
 「ファンの方の声は大事です。ライブ会場で直接コミュニケーションをとることも多いですが、厳しいことや文句を言われたりした時は真摯に受け止めます。ただあまりにショッキングなことを言われたら、反論します」
 
 ファンとの特別な絆があるからこそ、いろんな冒険ができる。2016年、山田孝之とのユニット「JINTAKA」を突如結成し、デビュー曲発表〜解散ライブを行ったのもその一例だろう。仲間や自分のファンを楽しませることが好きなのだ。作品を楽しんでもらうために、毎回アートワークに凝るのも特徴である。『Me』の時は、専用のアプリをダウンロードし、スマホをジャケットにかざすと動画が絵本のように飛び出してくる…という、VRを活用したものだった。同じように今回、『Blessed』のファンクラブ限定盤にはVRで撮影した映像が楽しめるキットが付属している。「なるべく面白いと思ったものは、自分の作品に取り入れていきたいです」。最近はVRのほかにAIスピーカーなどが注目されているが、「最新のデジタルガジェットに関心はあります。AIスピーカーも今度試してみたいです」という。

楽しく忙しい毎日、「気づいたら“365日仕事してんじゃん?”」

 これまで「自分自身を含め、とにかく楽しむこと」を実践してきた赤西。「今はクラブに行きたいです。本当に休みがなくて、気づいたら“365日仕事してんじゃん?”って思います。家でよく聴く音楽は、昔から変わってないです。US TOP 50のチャート音楽をメインに聴いていて、このところはジャズが好きです。映画やドラマもそうですね。SF、アクション、ホラー、洋物だったらジャンル関係なく好きです」

 最近は忙しすぎてあまり遊びに行けていないというクラブの現場感や日々チェックしている海外の音楽・映画・ドラマなど、彼が表現したいのは世界中の人が楽しめるポップミュージックの世界であり、そのために必要なものは何なのか感覚的にわかっている。

 「メジャーレーベルのグローバルなネットワークから刺激を受け、自分の音楽のレベルを上げていき、日本だけではなく、海外にももっと発信していければと思っています」
 ユニバーサルミュージックとの業務提携にあたって赤西が寄せたコメントにもあるように、彼の音楽が今後どのように広がっていくのか注目していきたい。
(文:上野拓朗)

※アルバム名『Blessed』の正式表記は2つ目のeにアキュート・アクセント。
※ツアー名『〜Resume〜』の正式表記は2つのeにアキュート・アクセント。

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