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堂本光一主演『Endless SHOCK』、“日本一チケットの取れない舞台”であり続ける理由

堂本光一により年々ブラッシュアップ、進化する舞台

 とくに、2017年の『Endless SHOCK』は、前半の対立の構図から、 終盤の「Higher」からの流れで、カンパニーが心を一つにするという物語のテーマ性がより際立つような構成へと、細部までブラッシュアップされていた。言葉で語られたわけではないのに、「あぁ、今みんなの心が一つになっている」ということが、演者の表情や気迫によって、リアルに胸に迫ってきて本当に感動的だった。

 観客にリピーターが多いことは『Endless SHOCK』の特徴だけれど、毎年、「最高のものを観た」と思っても、翌年はさらに修正が加えられてより良いものになっていて、その都度驚かされる。それこそが、“進化する舞台”と呼ばれる所以なのだろう。今年は、思わず手拍子したくなるような新曲が盛り込まれたり、オーケストラピットをこれまで以上に活用し、ステージと客席が近く感じられるような工夫がなされていたり、オーケストラの生演奏や回想部分のナレーションにより臨場感が感じられたり、大きなことから微細なことまで、観客がより引き込まれるような演出が加えられていた。一方で、胸が締め付けられるようなハードな殺陣からの階段落ちやフライングの軽やかで緻密な美しさなど、定番の見せ場は、さらに安定感を増している。一つのミュージカルの中に、伝統と革新とを共存させることができるのは、オリジナルならではの自由度である。『Endless SHOCK』のファンは、その伝統と革新の両方を感じたくて、充実の公演を堪能した後も、この作品が続いてくことを、心待ちにするのである。

世界的にも類を見ない、“生命の燃焼”を美しく具現化した娯楽作品

 仕事の一環であっても、毎年『Endless SHOCK』を観るたびに、必ず感動している自分がいる。そして、その感動の度合いが、毎年更新されていることにも我ながら驚嘆してしまう。初めて観たときより2度目のほうが、5年前より去年のほうが、去年より今年のほうが、心が揺さぶられる。誰かに感情移入するようなストーリーではないし、主人公のコウイチは死んでしまうけれど、そのこと自体がセンチメンタルに描かれているわけではない。『Endless SHOCK』から受けるのは、生命の燃焼を目の当たりにしたときの衝撃だ。これをやり遂げたら、もう肉体は死んでしまうかもしれない。でも、幕が終わるまでは、死ねない。劇中でコウイチは、幽霊となっても魂を燃やし続け、執念で最後のショーをやり遂げる。それはまさに、堂本光一オリジナルの、彼にしか演じられない役なのだ。

 全力とか命がけとか全身全霊とか、“命の燃焼”を意味する言葉を、何かに挑戦するとき人は口にする。でも、『Endless SHOCK』ほど“生命の燃焼”をミュージカルという形で美しく華やかに具現化した娯楽作品は、世界的にも類を見ない。表現の世界に取り憑かれ、最高のものを追求し、ボロボロになる。そうやってまた新しい表現を見つける。ショーという“生(ライブ)”を、ひたすらに極めようともがき続けて18年。“SHOCK”の進化は、即ち堂本光一という人間の進化である。
(文:菊地陽子)

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