「自分の才能は信じていない」 大作で主演する危険と幸せとは？

――国岡鐡造とその社員の物語は、ある種、日本の男たちの意地とプライドを描いた物語。そして、それを最新のVFXで描いたこの超大作は岡田さんを含む“山崎組”の意地とプライドによって完成したと思うのですが？
岡田准一僕は、「共に戦おう！」と言ってくださった監督に着いていっただけです。難しい題材であり、経済の要素も含んだ伝記物語であり、興行的にも難しいジャンルに果敢に挑んだ監督の志ですよね。監督がこだわり抜いて完成した作品だから、きっと誰かの胸に届く作品になっていると思います。

――無理難題を言っても周囲が着いてくる国岡鐡造のカリスマ性と、大作の主役として真ん中に立っている岡田さんのカリスマ性がリンクしているように思いましたが？
岡田准一大作と言われる作品は、ヒットしなかったら全否定されるかもしれないという危険を伴いますが、でも大作に主演できる幸せもあるんです。長く仕事をさせていただいて、いちばん思うことは“自分に飽きたくない”ということなので、こういう作品でチャレンジさせてもらえるのがすごく幸せなことだと思っています。でも、やっぱり“人”です。監督やスタッフの方々に役者として一緒に仕事がしたいと思っていただけるかどうかだと思います。僕は、自分の才能をあまり信じていないので、才能ある方々と仕事をするのがいちばんだと思っています。

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勝新太郎のような破天荒タイプに憧れも 俳優・岡田准一を分析

――日本アカデミー賞W受賞の岡田さんが“自分の才能を信じていない”のは、意外です。
岡田准一僕は、勝新太郎さんみたいに豪快で型破りなタイプではないので。勝新さんは、撮影で国宝級のキセルを手にして、それを芝居中にバーンと叩き付けたりしちゃうというお話があるような方ですから（笑）。でも、それは僕にはできない。だから僕としては、本当に才能のある方々に「一緒に仕事がしたい」と思っていただける自分でいようと思っているだけです。僕は、器を用意されたら、その器を一杯に埋めることはできても、それ以上はみ出ることはできない。だからこそ、できるだけ大きな器を用意してくれる人と仕事がしたいと思っています。そういう意味では、今まで優れたスタッフ、良い現場に恵まれて、徐々に大きな器にチャレンジできてきた気がします。もちろん、新しい作品に入る前は「これで最後かもしれない」「大作に呼ばれなくなるかもしれない」という思いと覚悟はずっとありますけどね。

――勝新太郎さんのように、「俺が、岡田准一だ！」という感じで、破天荒にやりたいと思うことは？
岡田准一それは、ありますよ。そう思うんですけど……。僕は、国宝級のキセルを手袋はめた人が持って来たら、それを「すごい！」って言いながら大切に扱ってしまうタイプ。芝居だからといって、「こらぁ〜っ！」とか言って叩き付けてポキンと折ったりはできない。それは、もう、性格上の問題だからどうにもならないでしょうね（笑）。でも、もちろん憧れはありますよ。アーティストとしては、そういう風に枠にハマらない方が面白いので。ただし、自分はなかなかそういうことを性格的にできるタイプではないと思っているんですよ。

――それでも、いつか弾けるかもしれませんよね？
岡田准一そうですね。いつか「岡田、国宝を叩き割ったらしいよ」って言われて、伝説になりたいですけどね。たぶん、できないでしょうね（笑）。
（文／金子裕子）

映画『海賊とよばれた男』

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　主要燃料が石炭だった時代から、石油の将来性を予感していた若き日の国岡鐡造（岡田准一）は、北九州・門司で石油業に乗り出す。やがて、国内の販売業者や欧米の石油会社（石油メジャー）など常に様々な壁が立ち塞がり、行く手を阻まれるが、鐡造はどんなに絶望的な状況でも決して諦めず、型破りの行動力で新たな道を切り拓いていく。

監督：山崎貴
出演：岡田准一　吉岡秀隆　染谷将太　綾瀬はるか　堤 真一　近藤正臣　國村 隼　小林 薫 ほか
12月10日より全国ロードショー
（Ｃ）2016「海賊とよばれた男」製作委員会　（Ｃ）百田尚樹／講談社
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