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鈴木亮平インタビュー『まだ自分自身が大きな役を背負えるだけの男だとは思えない』

実在の人物を演じた経験があまりない。でもやることは変わらない

――実在の人物を演じるという点では、主人公・西郷隆盛役を務める2018年度NHK大河ドラマ『西郷どん』にも通じるところですが、とくに心がけることはありますか?
鈴木亮平ご覧になる方が持っている(既存の)イメージを損なわないようにしたいと思います。そこで余りにも大きな違和感を持たれてしまうと、ストーリーに入り込んでもらえなくなるんじゃないかと。役者が新しい像を生み出したいと思い過ぎることは、エゴに走ってしまい、危険だと思うので。もちろんコアの部分さえ押さえていれば、そこから違うイメージを作り上げていっても、お客さんは柔軟性をもって観てくださるでしょうし、新しいものを観たいとも思ってくれているはずなので。どこを崩して、いかに新しい像を作っていくかというバランスを、慎重に考えていきたいと思います。
――例えば『HK 変態仮面』シリーズのような、完全なフィクション作品とはアプローチは変わりますか?
鈴木亮平実在の人物を演じた経験があまりないので『西郷どん』に関しては、そこがいちばん楽しみなところでもあるんです。でも基本的には、やることは変わらない気がします。とくに漫画原作の場合は、歴史上の人物以上にしっかりした像があるので、ファンの方のイメージを裏切らないという意味では、むしろ似ているのかもしれません。決してその人物そっくりになることを信条にしているわけではありませんが、その人物をやる以上は、漫画原作なら原作ファン以上に、まず自分がその漫画のファンになることが礼儀というのか。ちょうどいま『銭形警部』(主演の銭形幸一役/2017年放送予定)を撮影しているんですけど、原作とちょっと違っても、こういう銭形は観たいか、観たくないのかを判断するためにも、まず自分がいちばんのファンにならなきゃいけない。それは歴史上の人物をやるときも同じように思いますね。世の中に西郷隆盛ファンってたくさんいるでしょうけど、その人たちと同じか、それ以上に愛するというのか。それは今回の武知役でも同じでしたね。

――『西郷どん』の撮影も始まる、2017年のテーマはもう決まっていますか?
鈴木亮平毎年、その年のテーマを決めているんですけど、だいたい元旦の思いつきなんですよ。

――ちなみに2016年のテーマは?
鈴木亮平“吸収”でした。芝居以外にも、恐れずいろいろな経験ができるように挑戦して、それを芝居に還元したり、自分の人間性の糧にしたいと思っていました。前年、前々年とアウトプットばかりになっていたので、インプットしたいなって。なかなか仕事ばかりしていましたが(苦笑)。

撮影が始まるまでに人間としてもっともっと大きくなっていたい

――今年いちばん大きな“吸収”は何でしたか?
鈴木亮平ユネスコの世界遺産暫定リストにも登録されている、福岡県宗像市の“神宿る島”といわれる沖の島に、特別に参拝させていただいたことは、すばらしい経験でした。しきたりとして、島でのことは口外できないんですが、古代、国家的な祭祀が行われていた歴史ある場所に立つと、千年以上も前から積み重なってきた人々の想いが感じられて……。スピリチュアルなことに疎い僕でも、荘厳な気分になれました。今年のハイライトですね。

――それは貴重な体験でしたね!
鈴木亮平今年の夏初めて、音楽フェス(『宗像フェス〜World Heritage Munakata〜』)の司会のお仕事をさせていただいたご縁で。これも、いままでに経験したことのないような高揚感のある、新しい吸収でした。大雨と強風のなか、アーティストの方たちがびしょ濡れになりながら歌って。でも悪天候だからこそ、会場が一体化するんですよね! その場に一緒にいられたことで、音楽の力や人が集まることで出てくるエネルギーを強烈に感じました。音楽ってすごい! って。

――そういえば、本作のエンドロールで流れる国岡商店の社歌は、クランクアップ時にキャストのみなさんが揃って、レコーディングされたのだとか?
鈴木亮平社歌、いいですよねぇ。大好きです。最後にみんなで並んで、一人ひとりの前にマイクが置かれて。歌を歌う機会ってあまりないので、ひとりだったら恥ずかしいし、緊張するだろうけど、仲間がいるので。男だらけで、野太い声で歌うと、本当に自分たちの力で荒波を越えて行けるぞ! って勇気が湧いてくる。あれも音楽の力ですね。仕事でもいろいろなことを吸収しているんだなあ。

――来年もますますお忙しくなりそうですが、どんな1年にしたいですか?
鈴木亮平この映画と繋げるわけではないのですが、大河ドラマの撮影に入るという点では、(14年度大河ドラマ『軍師官兵衛』で主演を務めた)岡田さんを非常に意識します。まだ僕のなかで(自分自身を)大きな役を背負えるだけの男だとは思えないので、撮影が始まるまでに、人間としてもっともっと大きくなっていたいですね。幸運にも僕の周りには、岡田さんをはじめ、カッコいい男たちがいるので、いろいろな人に会って勉強したいです。『西郷どん』での“体作り”についても聞かれますが、(ビジュアル面も含めた)役作りに関しては、台本もまだなので焦っていないんですけど(笑)。これからじっくりと時間をかけていければと思います。いろいろな人に会いに行って、学びたいですね。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:草刈雅之)

海賊とよばれた男

 主要燃料が石炭だった時代から、石油の将来性を予感していた若き日の国岡鐡造(岡田准一)は、北九州・門司で石油業に乗り出す。やがて、国内の販売業者や欧米の石油会社(石油メジャー)など常に様々な壁が立ち塞がり、行く手を阻まれるが、鐡造はどんなに絶望的な状況でも決して諦めず、型破りの行動力で新たな道を切り拓いていく。

監督・脚本・VFX:山崎貴
出演:岡田准一、吉岡秀隆、染谷将太、野間口徹、鈴木亮平、ピエール瀧、綾瀬はるか、堤真一、近藤正臣、國村隼、小林薫
12月10日(土)全国東宝系にて公開
(C)2016「海賊とよばれた男」製作委員会 (C)百田尚樹/講談社
【公式サイト】(外部サイト)

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