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佐藤信介監督、新作『デスノート』撮影現場で明かした手応えとプレッシャー
原作や前作に対する畏怖の念はあるが怖気づかずチャレンジした
佐藤信介「もちろん、『デスノート』の続編を作るというのは、それを聞くだけでものすごくトライアルなことだと思うのですが、今回は大場つぐみ先生ともディスカッションしながら、ストーリーを作っています。物語が終わってスピンオフ『L change the WorLd』があったり、10年という長い歳月が経ってテレビドラマが制作されたりと、『デスノート』の世界はいろいろと角度を変えながら楽しまれています。原作を中心に世界が広がっているなと思っていて、そのさらに先を作るという行動は誰もやってきていないので、「どうなるんだろう」という想像をして観るとおもしろいと思います。原作を読み込んでいたからこそ、細かいところが際立っておもしろいと思っていただけると思います」
佐藤信介「今作は前作のテイストも踏まえながら、そこに似せようということではなく、そこでは向かっていなかった部分も付け加えたいなと思っています。前作のリメイクではないので、全く違った方向の『デスノート』のテイストも植え付けていこうとして作りました。原作や前作に対する畏怖の念というのもありますが、怖気つかずにチャレンジしています。もちろん原作や前作のファンの方々に対して、この作品を届けたいという思いはありますが、『デスノート』について全く知らずにこの映画を観た人も同じように楽しめるものにしようと長い時間をかけ脚本を作ってきました」
前作のリメイクではなく別の魅力を投じたい「ファンタジックな世界にリアルを描く」
佐藤信介「原作があると、原作の世界感にどんどん引き込まれるのは当たり前のことです。漫画に関していうと、画があって目で見れてしまうので、どうしてもそれに引っ張られてしまうところはあります。ただ、描かれた画をそのまま映像化するのではなくて、きちんと映画に焼き直す必要があるので、“こういう感じの映画をみたい”というところを先に見つけるようにいつも気をつけています。なので、原作のおもしろさにプラスしなければならないところを大前提に、原作を知らない人には「映画としておもしろいな」「この映画、原作があるんだ」と思ってもらえるものを作れたらと努力しています」
佐藤信介「今作も原作、前作ファンの方々にきちんと「なるほど」と思ってもらえるものを作りたいと思っていますが、メディアとしてのおもしろさが漫画、小説、映画とそれぞれにあるので、映画として、映画流のおもしろさを一番中心に持ってくることを意識しながら制作しています。今回はとくに原作にはあれど、誰も読んだことのないストーリーなので、その点を注意して作らなければと思っています。ルールには鉄則があるので、それは壊さずに物語を展開させています」
先の池松のコメントにもあるが、今作のオリジナルという部分に対して、原作ファンの間では期待とともに不安も高まっているのが現状だ。『デスノート』の評価が高かったことも今作のハードルを高くしている。
佐藤信介「前作『デスノート』はそのなかで確固とした世界感があり、僕らはそれをリメイクするわけではないので、マネではなく、その向かいにもうひとつの別の魅力を投じたいなと思ってやっています。表現としては、映画としてのリアリティを追求したいなと。『デスノート』の物語は死神が出てきて、死神のノートがあって……と非常にファンタジックな世界なのですが、そこにリアリティを見出して作りたい。人物像に関しても、なにか今の時代のリアルが見えることを目指しています。ファンタジックで起こりえない事件が起きる物語に、ザラっとした“さもあるかのように感じる”リアルを描くことを目指しています」
あえて逆転して考えた結果から出た魅力を映し出したい
佐藤信介「全く違うキャラクターでそれぞれがぶつかっているなと思っています。前作はふたつの戦いでしたが、今回は3人のキャラクターのぶつかり合う、まさに三つ巴の戦いで、シーンを撮っていくごとにキャラクターが活き活きとしてきていて、楽しんでやっているなと感じています。3人のキャラクターを分析して役を作っているというよりも、ストーリーとしてこういうのを作りたいというのを話し合って、各キャストを起用しているのですが、3人とも僕らが思っている“こうしたい”“ああしたい”を拡大解釈してくれていて、こんなアイディアはどうかと持ってきてくれています。それぞれすごく役にはまっていて、話し合いながら作れているな思っています。僕はいつも新しいアイディアにはトライしたいので、シーンを作っていくときにとりあえずやってみます。そのアイディアに刺激されて、“もっと、もっと”と進んでいくと希にシーンが壊れてしまうこともありますが(笑)」
そんな3人のキャラクターのなかでも気になるのが、Lの遺伝子を継ぐ竜崎。松山が怪演した人気キャラクターの後継者を池松はどう演じたのだろうか。
佐藤信介「Lの逆をいきたいと思って話し合いました。全てに関して言えますが、前作をマネするのではなく新しくして、あえて逆転して考えた結果から出た魅力を映し出したいと思っていたので、すごくおもしろいキャラクターができました。昔、池松くんは僕が監督した『砂時計』に出演してくれていて、すごく純朴な少年の役を演じたんですけれど、今回は当時と何もかも違うなと(笑)。竜崎は、存在としてはLの正反対をいっている感じです。松山さんのLは孤高の存在ですから、金子修介監督の『デスノート』と対峙できる映画になれるんじゃないかと」
佐藤信介「デスノートを巡って推理をしていくある種の密室劇に、よりスピード感や激しさなど、前作とちょっと違ったようにできればと思っています。こういう『デスノート』もいいなと思ってもらえる新しい部分を見出そうと思い、アクションシーンも投入しています。CGに関しては、より手応えのあるリアルな雰囲気を求め、死神は生な感じの皮膚感を出したいと思って、デザインも作り直しています。死神をアニメチックに描いているところは前作の魅力のひとつだと思いますが、リュークに関しては、今作ではより緻密にリアルに計算しデザインしています」
話を聞いていると『デスノート』ならではのよさがありながら、新たな試みが多く取り込まれていることがわかる。前作ともこれまでのシリーズともまったくことなる新たな『デスノート』になっているのかもしれない。
佐藤信介「非常に人間味のあるドラマになっています。結局、いつも死神は人間の浮き沈みを見ながら楽しんでいる。共感しているように見えていても「退屈だから、人間にデスノートを与えているだけなんだもん」というどうしようもない虚無感みたいなものがあって、でもそれで翻弄されている人間の姿というのが映画としてはおもしろいのかなと思っています。ある意味、リアルな雰囲気のなかで展開できているなと。ファンタジックな物語だけれども、実は色濃い人間ドラマ。普通では見られないような人間ドラマがある気がしています」
デスノート Light up the NEW world
夜神総一郎が立ち上げた<デスノート対策本部>は存続していた。すでに亡くなった夜神総一郎の跡を継ぐべく、キラ事件に精通した三島を筆頭に、10年前のキラ事件を経験したメンバー含む5人の対策特別チームの捜査官たちを中心に警視庁内に本部を構えていたのだ。
ロシア、ウォール街そして渋谷でのデスノートによる大量殺人が行われる中、世界的私立探偵にして、“Lの正統な後継者” 竜崎が加わり事件解明に当たり、地上には6冊のデスノートが存在する事が判明する。その矢先にキラウィルスと呼ばれるコンピューターウィルスが世界中に拡散された。そのメッセージとは「他の所有者に次ぐ。速やかに私に差し出せ」とデスノートの提出を呼びかけていた。
6冊のデスノートを全て手にした者が地上を制する。キラ復活を望む者、それを阻止する者たちとの究極の争奪戦の幕が切って落とされた!
原作:『デスノート』大場つぐみ・小畑健 集英社ジャンプコミックス刊
監督:佐藤信介 / 脚本:真野勝成
出演:東出昌大 池松壮亮 菅田将暉 川栄李奈/戸田恵梨香/中村獅童 船越英一郎ほか
10月29日(土)公開
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社(C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
【公式サイト】(外部サイト)