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綾瀬はるかインタビュー『三谷幸喜監督の撮影現場での発見―新しい自分に出逢えた』
女っぽさを出してほしいと言われた
「ノエは素直なひと。ノア君のことがすごく好きなんだなと感じるところもいいですね。ノア君はちょっと気難しいし、最初は『え、こんなキャラなんだ』と思ったんですけど、でも見ていると、けっこうこういう男性って多いんじゃないかと。過去の恋愛に対して『オレは平気』とか言いながら、自分がいちばん気にしている(笑)。でも、あの気難しさが『なんとかしてあげたい』とか思うのかなって。頼りないけど、男らしい人なのかなとも感じられて。(私も)けっこう好きだなと思いました」
「三谷監督からは『女っぽさを出してほしい』と言われました。『女っぽく』と言われるとドキッとしますよね。ちょっと恥ずかしい。迫られて『ダメ』って言うときも、『もっと、いやらしく』って(笑)。ああ私、あまりこういうのやったことないなって気がつきました。(自分としては、完成した映画に)その女っぽさが出せていたかは自分では分からなかったです。ただ、生々しい感じはあったかもしれません(笑)。このひとのことが好きになりそう……もっていかれそう……でも、ダメ……みたいな感じで(笑)。すごく気持ちを入れました」
母性を感じさせるしっかり者のノエは、綾瀬ならではのキャラクター。ひょっとしたら押しに弱いのかも? と思わせる危ういノエは、この女優の新境地と言えそうだ。とはいえ、気負いは一切なし。綾瀬はるか独自の「マイペース」は、本作でも健在だった。
「三谷監督のなかでハッキリした画があるんだなといつも思うんです。監督自身が迷うことってないんですよ。基本的にワンテイクだし、しかも長回しでOKを出す。あそこまで潔い監督を私は見たことがない。監督のなかで見えていらっしゃる画を迷わず撮って、毎日予定通りに(撮影は)終わる。しかも、穏やかに、淡々と。あっという間に終わったというイメージがあります。3日間ぐらいの感覚で終わっていきました。『あれ? もう終わっちゃったの?』って(笑)」
変身願望ですか? ありますよ
「変身願望ですか? ありますよ。普段とは違うことをしてみる。それは気分も変わるし、すごく楽しいです。演技もそうですよね。役によって、メイクも髪型も着るものも喋り方も違うから。これまでとは違う作品に進んでいくというのは楽しいです」
自身の役の可能性が、どんどん広がってきているという。
「むしろ、いまのほうが感じるかもしれない。自分としては、こんなにたくさん役をやってきていても、まだこんなにいろいろな可能性があるんだなあ、こんなふうな新しい自分に出逢えたなあとか、そういうふうに思います。まだやっていない役に、いまたくさん出逢えているような気がします」
「現場で、それぞれの部署の人が集まると、そこではいろいろなことがあるじゃないですか。天候とか、みんなのタイミングとか、すべてが合わないとOKが出ないわけです。それを妥協なくやって、いいものが撮れたときは、すごく達成感があります」
それは、俳優同士の芝居に留まらないことだ。
「そう、全部ですね。なので、毎シーン、毎カット、そのつどそのつど達成感はあります」
綾瀬はるかというひとの根源的なポテンシャルは、ここにあるのかもしれない。
(文:相田冬二/撮り下ろし写真:鈴木一なり)
作品情報
今日も、様々な星から宇宙人たちが「ギャラクシー街道」にやって来る。みんな、それぞれに悩みを抱えた、人間味あふれる異星人だ。
街道の中央にひっそりと佇む、小さなハンバーガーショップ、サンドサンドバーガー・コスモ店を舞台に、そこで働く人々と、客たちが織りなす、宇宙人模様。登場するのは、スペース警備隊、スペースヒーロー、スペース客引き、スペース娼婦、スペースドクター、スペース役人、スペースシンガーに、スペースパートタイムのおばさん……全員、宇宙人――。
脚本と監督:三谷幸喜
キャスト:香取慎吾 綾瀬はるか
小栗旬 優香 西川貴教 遠藤憲一 段田安則
石丸幹二 秋元才加 阿南健治 梶原善 田村梨果 浅野和之 山本耕史
大竹しのぶ 西田敏行
公式サイト:http://galaxy-kaido.com/(外部サイト)
三谷幸喜監督インスタグラム:https://instagram.com/mitanikoki/(外部サイト)
2015年10月24日 全国東宝系にてロードショー
(C)2015フジテレビ 東宝