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“女性装の大学教授”安冨歩、独自の人生観とは

 『アウト×デラックス』(フジテレビ系)や『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)、『行列のできる相談所』(日本テレビ系)に出演し、話題になっている“女性装の大学教授”安冨歩氏。東京大学の教授であり経済学者でもある超エリート人生を歩むなかで、気づいた“本来の自分”はトランスジェンダーであり、女性の格好をすることだった……。それまでの人生をひっくり返す“想定外”の経験でわかった独自の人生観を語った。

女性の格好をすると安定し自然になれる、ストレスも感じないってことがわかった

――まず、女装に目覚めたきっかけを教えてください。
安冨 まず、私は「女装」しているのではありません。「女装」というのは性認識が男性である人がすることです。私は、私にとって自然な格好をしていて、それがたまたま女性の装いだ、ということなのです。そこで「女性装」と呼んでいます。そこに至るまではいくつかの段階がありました。私は40歳頃に東大の助教授になったんですが、そこでそれまでの自分の目標を達成してしまって、次の目標を設定できなくなってしまったんです。当時はさらにアメリカのハーバード大学やスタンフォード大学、イギリスのオックスフォード大学などの教授を目指そうかと思ったんですが、やる気がしなくて。

――なんか、違うぞ、と。
安冨 そう、なんだかなあって(笑)。要はエネルギーが枯渇しちゃったんですよ。当時は結婚して子供もいたんですが、家庭生活がそもそもおかしかったことに気づき、離婚するプロセスの中で自分の両親とも関係を切りました。そんななかで、自分が本当にやりたいこと、本当に感じていることを“悪いこと”と思い込み、他人や社会が決めた“やらないといけないこと”を“正しいこと”と信じて生きてきたことに気づきました。

――つまり、それまでは本来の自分自身として生きていなかったんですね。
安冨 そうなると人は、自分の感覚の抑圧から生じる負のエネルギーで「目的」を達成しようとします。でも、それは本来、やりたいことではない“偽の満足”だから、いくらやっても満たされない。でもいまさら止められないから、もっともっとと満足を追い求め強度を上げていきます。しかしそれはさらなるストレスを生み、その解消のためにまた別の何かを求める。資本主義経済は、究極的にそういうエネルギーを使うシステムで、それゆえ毎年何%かの経済成長を必要とします。しかしそれは、ストレスの拡大に過ぎない……。という研究を当時やりました(笑)。そのプロセスのなかで学問的な真理と共に、自分自身のことも見えてきたんです。自分が何を求め、何を苦しんでいたのかわかってきて、そこから女性の格好をすると満足するとわかった。それで、さらに踏み込んで、実は自分の性を“女性”として認識しているんじゃないかってことに気づいたんです。

――“トランスジェンダー”に気づくきっかけが女性装だったと。
安冨 2〜3年前、ダイエットして10キロ以上痩せまして。それまでの着ていた“男物”の服が合わなくなったので、新しい服を買いに行ったんですが、ウエストがくびれた体型で男物のパンツが似合わないんですよ。それで、女物のパンツを履いたらピッタリで、上に着る服も女物を着てみたら、“あれ? すごく気持ちがいいぞ”と。そこで私はどうやら女性の格好をすると安定し自然になれる。ストレスも感じないってことがわかったんです。

――そこで心も女性だと気づいた?
安冨 自分の心の中に果たして明確な“性別”があるかというと、これが結構、微妙な問題。性別って身体の性器の形状で判断されているけど、心には性器はついていません。じゃあ、どうやって心の性を判定するかっていったら、男性が好きか女性が好きかってことになるんだけど、トランスジェンダーの人って私のように体が男性、好きなのは女性という人が半分、逆に恋愛対象も男性という人が半分で、実は半々なんです。女性のトランスジェンダーもその割合は同じだそうで。なので判定のしようがない。

何年も一緒にいるつれあい(女性)は、受け入れてくれています

――安冨さんの場合は女性の心で、女性を好きになるということ?
安冨 正確に言うと、体は男性だけど女性の格好をする心を持ち、好きになるのは女性っていうことですかね。

――男性に恋愛感情は湧かない?
安冨 男性は恋愛対象としてありえないし、友だちとしても好きじゃない。だから、私の中で男性の必要性ってほぼゼロに近いんです(笑)。それなのに子供の頃は男の集団に入れられていたから、どれだけ苦痛だったか。20代の頃に務めていた銀行も、男女の立場がハッキリ分かれていたので、すごく気持ち悪くて嫌でした。

――でも、女性装をするときは勇気がいりませんでしたか?
安冨 女性の格好をすればするほど心が安定したので、勇気というよりむしろ急速にそっちに惹き付けられていった感じです。しかもこの格好をすると、女性との関係が楽になるのがいい。私は以前からずっと女性とは友だちとしても仲良くしたいと思っていて、でも男性の格好のままだと、なかなかそういう関係は築けないじゃないですか。

――警戒しますよね、女性は。
安冨 その警戒心も女性の格好をしているとなくなるから、仲良くなりやすい。だから私の中ではわざわざ男性の格好をして、女の子との間に壁を作ることは、むしろすごく不愉快なんですよ。

――身近な人の反応はいかがでした?
安冨 何年も一緒にいるつれあい(女性)がいるんですが、彼女は“猫式子育て”を実践している人で、人に無理強いはしない、それをするほうが暴力的で危険だって思っている人なので受け入れてくれています。ただ、私がこの格好でウロウロしてるのを見て近所の人が何を思っているか考えると、気が狂いそうになるって言ってました(笑)。そういうとこでは迷惑をかけてましたね。でもテレビに出るようになったら、皆さん受け入れて下さったようです。

――お子さんたちは?
安冨 反対はしなかったです。娘は大学に行ってから忙しいみたいで全然来なくなっちゃったけど、息子はたまに家に来ます。彼らが子供のときに離婚をしてしまったので一緒に暮らしてはいなかったんだけど、息子は息子なりに10代の頃は縛られることに苦痛を感じていたようで。だからこそ私のことを理解してくれるのかもしれない。

【動画】スタイルの良さをアピール!かなりイケてると思う(笑)

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