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俳優・工藤阿須加、球界2世の新たなポジショニング

ドラマ『アルジャーノンに花束を』(TBS系)で山下智久演じる主人公の同僚を演じた俳優・工藤阿須加。元プロ野球選手・工藤公康の息子としても知られ、俳優としての経験を積み上げてきているが、この先も7月期の連続ドラマ『HEAT』(フジテレビ系)や8月に放送されるTBSテレビ60周年特別企画ドラマ『レッドクロス〜女たちの赤紙〜』に出演。途切れることなく出演作が続く売れっ子ぶりで、注目度が急上昇している。

野球関連のドラマ出演からのブレイク

 工藤のデビューは2012年。ドラマ『理想の息子』(日本テレビ系)に出演したが、話題になったのは、2013年の大河ドラマ『八重の桜』(NHK)だった。同ドラマで工藤は、綾瀬はるか演じる主人公の弟役に抜擢される。当時は、俳優としてよりも、父親が元プロ野球人気選手であり、福岡ソフトバンクホークス監督であることや、いきなりの大抜擢であることのほうが、マスコミにはフィーチャーされがちだった。

 しかし、2014年の『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)では、俳優・工藤阿須加としての注目度が高まった。工藤はこのドラマで、廃部を迫られる野球部を支える元高校球児の社会人野球選手として出演。暗い過去に耐えた後に人生を花開かせるというカタルシスを感じさせる役柄は、どこか彼自身の人生と重なる部分もあってか、これまでとは違うなにかを感じさせる熱量がにじみ出る演技で、役者としての輝きを放った。そんな姿は、TBSの日曜9時枠の視聴者である、サラリーマンたちの心にも刺さった。工藤はこの作品の役作りで、体重移動や脱力についてなど、ピッチャー出身である父からかなり詳細にアドバイスをもらい、その役作りに活かしていたという。

 その後も、野球に関連した役が続く。2015年1月公開の映画『アゲイン 28年目の甲子園』でも、中井貴一演じる主人公の高校時代を演じた。同作品では、サードを演じた工藤は、父から「(サードの役であれば)長嶋茂雄さんをイメージしたら?」とアドバイスを受けながら役作りをしたとのこと。

地道に積み上げた実績から確立した立ち位置

 そんな工藤は、今年に入ってから『永遠の0』(テレビ東京系)『かぶき者 慶次』(NHK)『アルジャーノンに花束を』『3つの街の物語』(TBS系)『HEAT』『レッドクロス〜女たちの赤紙〜』など、途切れることなくドラマ出演が続いている。そんななかでも、ここ最近で人気を急上昇させた作品のひとつが、『アルジャーノンに花束を』だろう。人気と実力を兼ね備える山下智久、窪田正孝との共演で演じた、いつでも善良で頼りがいのある男の役では、ビジュアルや内面から放つ自らのキャラクターを含めて、作品のなかでその存在感をしっかりと示し、確かな爪あとを残した。

 芸能界デビュー当時は、球界2世として色眼鏡で見られていたこともあるかもしれない。しかし、地道に俳優としての実績を積み重ねることで評価を得ていき、いまやそんな枠を突き破って地に足のついた活動を行っている。工藤は、スポーツ選手、モデル、タレントなど並み居る球界2世タレントとは異なる独自のカラー、立ち位置を確立した。

 最近は、バラエティなどでみせる素朴な素顔も好感を持たれている。いまどきの若者の持つチャラさや草食系っぽさがほとんど感じられない短髪と清潔感のある見た目は、硬派で真面目そうな役にもってこいだ。どこか昭和的な趣きのある風貌も工藤の武器だろう。ちょっと影があり、でも誠実で骨太な若者の役を、これから独り占めしていくかもしれない。

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