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実はおいしいポジション? いびり役俳優の好印象
ドラマヒットの矢面には立たずともインパクトを残す
主演ならば、ドラマがヒットしなかった場合はマイナスのイメージがついてしまうところだが、矢面に立たずに済む立ち位置のいびり役なら、そんなリスクも低い。いびり役とは案外、役にも、俳優にとっても、おいしいポジションなのかもしれない。
例えば、近年の朝ドラで印象的だったいびり役といえば、『マッサン』でヒロイン・エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)の夫・マッサンこと亀山政春(玉山鉄二)の母・早苗を演じた泉ピン子、マッサンが勤めていた住吉酒造の社長令嬢・優子役の相武紗季。『花子とアン』で、ヒロイン・はな(吉高由里子)の女学校時代先輩の白鳥かをる子役の近藤春菜(ハリセンボン)。『ごちそうさん』で、ヒロイン・め以子(杏)の夫・悠太郎(東出昌大)の姉・和枝を演じたキムラ緑子。『純と愛』で、ヒロイン純(夏菜)と同期のホテルウーマン・千香を演じた黒木華などがいた。
真のいびり役に求められる懐の深い芝居
甲府訛りの激しかったヒロインに「ごきげんよう」を叩き込んだ『花子とアン』の猛者・かをる子は、役への注目が高まるにつれ、近藤の芸人としての資質を買われて、シリアスな状況下でも、かをる子が登場するだけでホッとひと息つけるような、清涼剤的なポジションへと飛躍。女学校卒業後もずっと、はなを見守り続けたかをる子は、最終回でも再登場を遂げ、主役級の人気キャラとなった。また、それまで舞台を中心に活躍していた、キムラの名前を世に広めたのも、国民的ドラマ『ごちそうさん』での鮮烈な恐姉ぶりの賜物だ。
しかし、ただインパクトを残すだけでは、いびり役は務まらない。『ごちそうさん』のキムラ然り、『マッサン』での泉然り。最初のうちはいびり役に徹して、ヒロインのけなげな魅力を輝かせることで、視聴者の胸を打ち、視聴率アップに貢献する。しかし、それが話題になってからは、ヒロインへの厳しい態度に至った、それぞれの女性の半生をにじませた人物像をしっかり造形しつつ、最後には嫁(小)姑という軋轢を乗り越えて、感動の涙を誘うという、物語上の大事な役割を担った。真のいびり役には、懐の深い芝居が求められるのだ。
いよいよスタートする夏ドラでも、いびり役で名を挙げる俳優は出現するだろうか? 7月から舞台が女の園・大奥に移るNHK大河ドラマ『花燃ゆ』で、ヒロイン・文改め美和(井上真央)の邪魔をする日出役の江口のり子、TBS木曜ドラマ劇場のラストを飾る『37.5℃の涙』で、ヒロイン桃子(蓮佛美沙子)の職場の先輩・めぐみ役の水野美紀あたりに期待したいところだ。