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『映画 妖怪ウォッチ』興収の着地は70億円台か 『ポケモン』との類似点とは?
◆多メディア展開を経た劇場版の興行が爆発
とはいえ、とてつもない数字であるのは間違いない。親と子どもを主たる観客にした、他の大ヒットアニメと比較してみるのが一番わかりやすいだろう。まず『ドラえもん』。2000年以降では、だいたい20〜30億円台で推移している。では『ポケモン』はどうかというと、こちらも30〜40億円台がほとんどを占める。早い話、2000年以降(興収発表)で、この2シリーズが50億円を超えたのは、2007年の『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ディアルガVSパルキアVSダーク』の1回しかなかったのである。
ただ『ポケモン』の第1作(1998年)は、配収41億5000万円(※)を記録していた。興収換算すれば、優に70億円近い成績となる。第2作(1999年)は配収35億5000万円。こちらは、興収なら60億円あたりである。
こうした点から、『妖怪ウォッチ』第1作は、『ポケモン』第1作と現時点では極めて近い興行展開になっているのがわかる。ゲームソフトから火がつき、多メディア展開を経て劇場版が公開されたという共通点をもつこの両作品はともに、初発のブームのただなかで、興行が爆発したようにみえる。
◆3週目で早くも当初の勢いに陰り
劇場版は、なかなかおもしろかった。密やかな異物が住む『となりのトトロ』的な田舎の情景に度肝を抜かれ、『ドラえもん』の秘密道具的な設定にニヤリとした。主人公が言う「世界はともだち。全部守るぜ」の「ともだち」には、『20世紀少年』を思い出したりした。有名アニメなどへの描写的な“言及”は、『妖怪ウォッチ』の大切な隠し味になるだろう。これからもどんどん続けていってほしい。
おそらく、子どもたちは今の時点では、そのようなニュアンスはわからないにしても、“言及”の数々の片鱗は、映画を観た確かな記憶のなかに、強烈な何かとして残るに違いない。その何かが、子どもたちの将来にとって、映画を観る、アニメを観る楽しさの発見につながっていくのではないかと思う。
(文:映画ジャーナリスト・大高宏雄)
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※配収:興行収入から劇場など興行側の取り分を差し引いた、配給会社の収益。1999年まで映画興行成績は配収で発表されていた。
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