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(更新: ORICON NEWS

冬の美しさを感じる本・映画

<CINEMA>

雪景色とネオンあふれるフィルム・ノワールの傑作

ポニーキャニオン DVD税抜3800円、Blu-ray税抜4700円 (C)2014 Jiangsu Omnijoi Movie Co., Ltd. / Boneyard Entertainment China (BEC) Ltd. (Hong Kong). All rights reserved.

ポニーキャニオン DVD税抜3800円、Blu-ray税抜4700円 (C)2014 Jiangsu Omnijoi Movie Co., Ltd. / Boneyard Entertainment China (BEC) Ltd. (Hong Kong). All rights reserved.

CINEMA1
『薄氷の殺人』(2015年)

「第64回ベルリン国際映画祭のグランプリである金熊賞と男優賞を受賞した中国・香港映画。全編、寒々とした中国の地方都市を舞台に、サスペンスとも、不器用なラブ・ストーリーとも言える作品です。真っ白な雪景色や人々が吐く白い息と対照的に、夜の闇が深い中に輝くネオンが、フィルム・ノワールを色濃く醸し出している傑作です。映画の中で描かれる猟奇殺人の捜査が行き詰まる中、一人の女性が浮上して、ある男が真相に迫っていきます。特に、何度も描かれるアイススケートリンクで、ヒロインがその男を緩やかに誘うように、説明過多の映画が多い中、ぶっきらぼうな演出ながら、グイグイと見る者を惹きつける演出が素晴らしいです。美しい冬の悲しいラブ・ストーリーをぜひご堪能ください」

白い吐息に登場人物たちの生きざまを感じる

NBCユニバーサル・エンターテイメント DVD税抜1429円

NBCユニバーサル・エンターテイメント DVD税抜1429円

CINEMA2
『華氏451』(1967年)

「フランソワ・トリュフォー監督がレイ・ブラッドベリの同名SF小説を映画化。タイトルは、紙が燃え始める温度を意味しています。撮影は『アラビアのロレンス』なども撮ったニコラス・ローグ。本を読むことが禁じられ、テレビで情報統制が取られている近未来の世界。本を焼く側の主人公の男が、妻そっくりの女性に出会い、本を読む楽しさを覚えてしまい、遂に犯罪者として追われてしまうストーリー。ラストで犯罪者として追われた主人公が逃げる先で見る雪降る湖が、二重の意味で美しいです。白い冬景色としての美しさと、本が焼かれてしまう世界で、それに反抗する人々が、行き交う中、白い息を吐き、いかにして後世に本の内容を残そうとしたのかが美しいのです」

時の流れに思いを馳せる、厳しくも美しいダブリンの冬景色

CINEMA3
『ザ・デッド 「ダブリン市民より」』(1988年)

「ジェイムズ・ジョイスの短編集『ダブリン市民』の中の一編の映画化。女優のアンジェリカ・ヒューストンの父親でも名高い名匠ジョン・ヒューストン監督の一本。彼の息子が脚本を担当し、娘のアンジェリカも出演しています。20世紀初頭のダブリンで、上品な老姉妹が主催する毎年恒例のクリスマス・パーティに参加する大学教授の夫妻の目を通して描かれる、歌や踊りや議論。やがて誰もがもう若くないと、思い出話に耽っていきます。そして、雪が降る中、部屋に戻った大学教授は、妻のある悲しい恋の物語を聞かさることになります。「雪は最期の時のように ひそやかに 天空から降りそそぐ 生者と死者に 平等に」と、大学教授は妻の話を聞き終わり、舞い上がるような雪を眺めながら、時の流れに思いを馳せます。そして、町を死の影が覆うように雪が降り続いていく厳しくも美しい映画です。どこまでも洗練され、静謐な90分足らずの演出で描かれる遺作にして、ヒューストン監督の最高傑作ですので、ぜひご覧ください」

どの画面を切り取っても、美しい日本画のよう

株式会社KADOKAWA 税抜2800円

株式会社KADOKAWA 税抜2800円

CINEMA4
『薄桜記』(1959年)

「市川雷蔵と勝新太郎という当時の大映の二枚看板スターの数少ない夢の共演作。監督は森一生、脚本は伊藤大輔、撮影は本田省三。『忠臣蔵』の外伝的な作品で、中山安兵衛を勝新太郎が扮し、主人公の丹下典膳は市川雷蔵が演じます。森一生監督の演出が冴えわたり、どの画面を取っても美しい日本画のようです。吉良邸にまさに討ち入りへと向かう中山安兵衛の回想から始まる本作は、妻の不貞という疑惑を晴らすために、あえて別れを選択して復讐しようとする丹下典膳の物語です。クライマックスでの片腕を失いながらも何人もの男を相手に、白い雪の中で、斬りまくる市川雷蔵の凄み。そして、妻も相手の銃弾に倒れながら、いつの間にか雪が止んだ中で、典膳の手を取ろうとにじり寄り、ようやく二人が手と手を取り合い、想いが通じ合う悲恋がどこまでも美しい作品です」
recommendation
代官山 蔦屋書店
シネマコンシェルジュ
上村敬さん

『代官山 蔦屋書店』は「次世代のTSUTAYA」をコンセプトに、本・映画・音楽を取り扱うだけでなく、文房具、トラベルカウンターなど、人生を楽しむためのコンテンツを豊富にそろえる。ライフスタイル提案型の店舗の草分け的存在として、新たな読書体験を創造。周辺には『代官山 蔦屋書店』を中核としていくつもの小さな専門店が集結する。「コンシェルジュ」は、豊富な知識を持ち、顧客ひとりひとりに対応できるプロのスタッフ。上村氏は特にカメラワークが面白い映画に精通している。
http://real.tsite.jp/daikanyama/

<紹介作品の詳細はこちら>
薄氷の殺人
華氏451
ザ・デッド 「ダブリン市民より」
薄桜記

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