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(更新: ORICON NEWS

My job , my heart 「すべてのサッカー少年へ」

サッカーのワクワクを人に伝えたい

ワールドサッカーの記者は、サバイバル能力が必要ということが分かった。好きなだけでは続けられないハードな仕事と想像するが、激務の中でもこの仕事のやりがいがどこにあるか、改めて問いかけてみた。

「やっぱり大変なことも多いですが、僕は仕事でつらい時は雑誌の読者アンケートを見たりするんです。サッカーキッズもたくさん書いてくれるんですよ。ハガキいっぱいに選手の似顔絵を描いていたりとか、『いつもおこづかいで買っています!』『メッシが大好きです!』て書いてあったりするんです。単純にかわいくて癒やされますし、そういうふうに楽しみにしてくれている人が日本のどこかいることに、仕事のやりがいを感じますね」

「このくらいの年齢になると、「サッカーが好き」「編集の仕事が好き」というだけではやっていけないこともあります。でも、さっき言ったように、自分自身がこれ(雑誌の『ワールドサッカーダイジェスト』)にときめいていたんですよね。だから、『サッカーってすごいんだよ』ってことを伝えたいという思いは持ち続けています。自分が受けた感動を誰かに与えたい。メディアの仕事って、自分が知らない誰かに影響を与えている仕事だと思うんです。今の子どもには難しいかもしれないけれど、雑誌やWEB、いろいろな形でサッカーファンに豊かな情報を伝えたいと思っています」

影響を受けた人は?

まさに叩き上げのサッカー媒体編集者という印象の白鳥氏。これまで仕事観に影響を受けた人はいたのだろうか。

「音楽ジャーナリストの鹿野淳さんですね。最初に入った会社のボスであり、『ROCKIN’ON JAPAN』の編集長だった方。とにかく人間としてのバイタリティがすごいんですよ。当時『STAR SOCCER』という雑誌の立ち上げメンバーを経験させてもらいました。『ワールドサッカーダイジェスト』とは真逆の方向性で(笑)、サッカーを中心に音楽、ファッションなどカルチャーに焦点を当てた媒体でした。音楽で登りつめた人がそれを捨ててサッカーをテーマにした雑誌に挑戦すること、自分の思い描いたことをなんとしても実現するパワー、形のないものを形にする力を目の当たりにしました。”伝説の編集者”と仕事できた経験は大きかったですね」

創刊時にスタッフだったという、『STAR SOCCER』第一号表紙

創刊時にスタッフだったという、『STAR SOCCER』第一号表紙

仕事人に5つの質問

Q.サッカー媒体の編集者ってどんな仕事?
A.「好きなことを好きな人に届ける仕事」

「好きなことを仕事にしていますって答えます。想定外のトラブルに遭遇することもありますけれど(笑)、自分の好きなことをやるために我慢していることも、逆に好きなことだから我慢できるって面もあります。もちろん楽しいことも同じくらいいっぱいあります」

白鳥氏がヨーロッパで一番好きな街・イギリスのロンドンの街並

白鳥氏がヨーロッパで一番好きな街・イギリスのロンドンの街並

Q.この仕事のいいところ・悪いところは?

GOOD!
A.「ヨーロッパにいってもまったく時差ボケがない(笑)」

「自分の好きなことでご飯が食べられるようになったこと」はもちろんですが、日本にいても実質的にヨーロッパ時間で生活しているので海外に行ってもまったく時差ボケがない〜身体になりました(笑)」

BAD
A.「朝も夜もなくなる」

「日本で生活しているのに、試合や情報のリアルタイムチェックが入るから、実質ヨーロッパ時間で生きなきゃいけないこと」

Q.サッカー媒体の編集者にはどんな能力が必要?
A.「It’s my Job」好きと仕事の切り分け

「純粋に好きを突き詰めたいならファンでいたほうが楽しい。サッカーでめっちゃくちゃ興奮するかといえば、今はそうではないですからね。スター選手に会って舞い上がっていたら仕事にならない。そういう意味ではもう中学生のような気持ちではサッカーと付き合えないですね」

クリスチアーノ・ロナウド選手の取材時の様子(後姿)

クリスチアーノ・ロナウド選手の取材時の様子(後姿)

「試合を見ながら、『あのネタを書こうかな』とか原稿のことを考えないといけない。僕はイタリアの熱狂的なファンなので、EUROのイタリアの試合ではさすがに燃えましたが…『ゴーーール! ウォーーーー!! ……さてどう書くかな』みたいな。これはすごい不健全ですよ(笑)」

「この世界の入るきっかけはみんな一緒、“サッカーが大好き”。ただ、それを続けるためにはビジネスとして割り切る必要があります。『It’s my Job(これは仕事なんだ)』って思い聞かせて、それを面白がれるかどうか。情報に変換したり、人を感動させたいっていう思いがないと続かないと思います」
現バルセロナのスーパースター・ネイマールをオリジナル撮影で雑誌の表紙に起用

白鳥氏はどんなスーパースターに会えたとしても「絶対に一緒に記念写真は撮らない」と決めているそう。理由は、「それをやってしまうと仕事じゃなくなる」から。
Q.仕事の相棒は?
A.「ノートPCとポケットWi−Fi」

「雑誌編集部の時代は、手帳とペンが仕事の相棒でした。今はポケットWi-Fiとノートパソコン。自宅で試合を見ながら原稿を書いたりするし、これがあれば日本でもヨーロッパでも通信できれば世界のどこでも原稿が書けます。スケジューリングもWEB上でやっている」

Q.この仕事をやっていなかったら何になっていたか?
A.「正直想像がつかない」

「正直考えたことがないですね。過去にちょっとだけ音楽やファッションの仕事もやりましたけれど…しいて言うなら、女性誌とか作ってみたいですね(笑)」

マルセイユ駅の美しい朝日

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(取材・文 / 加藤由盛)

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