総合武器見本市『DSEI Japan 2019』に見る日本の現実 「平和提唱」と「戦争エンタメ人気」の二面性
アジアは世界から取りこぼされていた。日本で『DSEI』が開催されたわけ
2013年以降、日本企業も出展していたが多くても10社程度だった。それが今回は61社へ。日本企業側からは「日本にはこの手の専門的な展示会がなかった。こういった専門的な企業間のネットワークや、政府ときちんと対話のできる場所が初めてできたのは大きな意義がある」などの声が寄せられたという。
日本の防衛装備はガラパゴス化。一方で危機管理や災害対策では世界の最先端
「日本は戦後、とても平和な国になりました。世界的にはいくつかの紛争がありましたが、ありがたいことに日本は戦争の経験をしなくて済んでいます。そのため、世界の現状を知ることがなく、過去の経験と自国の環境だけから“自分たちの装備品”という観点でものを考えていたことが遅れをとった理由のひとつになっています。つまり、世界中の国々とその分野の交流ができておらず、政府や防衛省の要望だけで作ってきましたが、それが正しかったのかという議論が生まれ、見直す時期に入っているのです」(浅利氏)
「ですが、そのガラパゴス化にはメリットもあったのです」と浅利氏。「例えば今回注目を浴びたのが“お風呂”。世界的にないもので、防衛というより、より大きな危機管理や災害対策という観点で評価されました。また、災害大国がゆえ、自衛隊や日本の警察が災害時にどのような活動をしているかも、世界の同じような機関から関心を集めています。“人の命を守るという意味では、活動は一緒”であり、災害でどのような機材や活動が必要かなど、その点で日本は最先端なのです」