人類の謎や単婚・浮気理由も…生物学・進化論をユル〜く描いた漫画に反響「生きることが楽しくなる」
漫画を通して読者にも“生きることを楽しもう”と思ってほしい
種田さん 私たちホモ・サピエンス(人類を人類学上で分類するとき、現生人類のことをいう)の行動を人類進化学の視点から見ると、新鮮で面白く感じるからです。ヒトは必ずしも同じ行動を取るわけではないのですが、順序立てて行動を解説すると納得できることもありますし、改めて自分のことを知れた気がします。「なぜ人は◯◯するのか?」という問いは、「言われてみれば、なんでだろう?」と興味を持ちますよね。自分のことなのに考えたことがない人、気がつかなかったという人も多いと思ったので題材に選びました。
――生物学や進化論といった難しい題材をわかりやすく伝えるための工夫はありますか?
種田さん なるべく言葉を噛み砕くようにしています。専門書では、難しい単語やフレーズを使っているので、読み慣れていないと読み疲れします。専門用語もあまり使わないようにして、できるだけありふれた言葉を選んで書くように工夫をしています。あとは、内容が複雑で絵も複雑だと目が疲れてしまうので、絵をシンプルにして画面がスッキリして見えるように気をつけています。
――関西弁でのコメントも添えられていますが、なぜ関西弁にしたのでしょうか?
種田さん 方言は親近感が湧き、時に可愛いらしくも見えます。遠く感じる古生物たちに親近感を持たせたくて使っています。おかしな姿形をしていても、見たことがない生物でも、実際に地球上に生きていて、私たちとDNAで繋がっている遠い親戚のように思ってもらいたかった。この漫画では、「みんな繋がっている」ということを描いているので、他人事と思わず自分たちのストーリーだと感じてもらいたい。その為に、方言を使っています。関西弁なのは、私が関西出身ということもあります。
――漫画を通して読者に伝えたいことはありますか?
種田さん 大げさですが、宗教では死に対する恐怖心を和らげる教えがたくさんありますが、私は生物学を学ぶことでも、生きるうえでの悩みや死の恐怖が和らぐと思っています。宇宙のことを考えると自分がちっぽけに思えますが、それと同じです。5億年前に生きていた1匹のアノマロカリス(古生代カンブリア紀の海に棲息していた捕食性動物)の生前のことを誰も知らないように、土に埋もれて「昔生きていたホモ・サピエンス」になるんだなぁと思うと、ちょっと足取りが軽くなるんですよね。「昔生きていたホモ・サピエンス」になるまで、読者にも“生きることを楽しもう”と思ってほしいです。
書籍『ゆるゆる生物日誌 - はるか昔の進化がよくわかる -』
種田ことびさん(@kotobi00)のInstagram(外部サイト)