飼育スタッフの観察眼は「掃除の時間」に養われる

　ペンギンは、おなかがすいた、眠いなど、欲求をアピールするだけでなく、好き嫌いがはっきりしていて、好きなものには甘え、嫌いなものには怒りと、表情も豊かだという。そんなペンギンたちの様子を細かく観察し、相関図にまとめた飼育スタッフたちに対して、SNSでは、「これだけの関係を把握しているスタッフさんが素晴らしい」という称賛の声が多数寄せられている。

「飼育スタッフの仕事は、調餌、1日3回の給餌、掃除の大きく3つです。中でももっとも時間を割いているのが掃除で、基本的に1日中、掃除をしていると言っても過言ではありません。衛生的に保つことで病気を防げたり、便の様子を見ることで体調の変化にすぐに気づいたりすることができます。また、常にペンギンのそばにいるので、各々の関係性を把握することができているんだと思います」

　では私たちが、すみだ水族館のペンギンたちに会いに行ったときは、どんな点に注目したらいいのだろう。

「実際に会いに来ていただくと、独身の子がアピールのために鳴いていたり、カップル同士が好きだよって会話をしていたり、水中デートをしていたりしていますよ。相関図を見ただけではわからないリアルな表情や行動が楽しめます。さらに、相関図を制作したのは8月なので、それから実は恋愛模様もだいぶ変わっていて、『相関図とは相手が違うけど、どういうこと？』ということも多いです(笑)。その変化も楽しんでいただきたいですね」

　本能や欲求をむき出しに、全力で生きるペンギンたち。その姿を見て「自分もがんばろう」と励まされる人も多いと言う。ディープなペンギンの世界は、まだまだ奥が深そうだ。
（文：河上いつ子）

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