一緒に飲み、一緒に泣く 『プロ野球戦力外通告』プロデューサーが明かす密着取材の舞台裏
「会社をクビになって、『就活の様子を撮らせてくれ』と言われたら、僕は嫌です」
「番組がきっかけで新たなチャンスが生まれ、新たな道が切り拓けるという事例が出たことが本当にうれしかったです。戦力外通告が出される10月1日、クビになった直後の選手に、ディレクターは初めましての状態で取材を申し込みます。例えば、TBSをクビになって、これから就活しなければいけないとなったときに、カメラでその様子を撮らせてくれと言われたら、僕は嫌です。でもそんな厳しい状況の中、密着取材を受けてくださる選手がいて、そのドラマを視聴者の皆様にお伝えすることができるのと同時に、選手に新たなチャンスをもたらすことができ、この番組を続けてきて本当に良かったと思いました」(菊野氏)
もちろん、新たなチャンスは野球に限らない。最近は、番組を見た一般企業から、採用したいという連絡を受けることもあるのだという。
最近は自分がプロ野球選手だった証を残す意味で取材を快諾する選手も
「『自分がプロ野球選手として過ごしてきた最後の姿を形に遺して、子供が大きくなったときに親父はこうだったと知ってもらいたい』という思いで受けてくださる選手もいます」
「取材対象者は、野球選手を続けるか、夢を諦めて第二の人生を歩むかという人生の選択を突き付けられる。一人一人それぞれ背負っているものが違うなかで、視聴者がより共感してくれるような環境にある人ということで、家族がいたり、奥さんがいたり、お子さんがいたり、いろいろな方の思いを背負っている人に出演交渉しています」(後藤氏)
文/河上いつ子
TBS系 12月30日(月)22:00〜23:30
【プロデューサー】後藤隆二、鈴木栄蔵、大久保徳宏 【総合演出】小杉康夫 【語り】東山紀之