『ジョブチューン』人気の“ジャッジ企画” 人間ドラマ見せるドキュメント風演出テクとは
顔アップを多用し表情の変化を伝える
「元々は、“価格に見合った美味しいものが食べたい。じゃあそれは何だろう?”という、誰もが抱く素朴な疑問から、約3年前にこの企画を初めて放送しました。初回はスシローさんの人気メニューの中から1、2、3位を決めるという内容で、そこから今のジャッジ企画へ発展していったんです」
“食”という普遍的かつ身近なテーマを取り上げながらも、注目すべきはその切り口だ。各企業が努力の末に開発した商品を、大胆に「合格」あるいは「不合格」とジャッジする尖った企画性が、視聴者の興味につながった。しかし、もちろんそこに拒否反応を示す企業も当初は多かったという。ではなぜ、ジャッジ企画はここまで人気を得ることができたのだろうか。
「このコーナーを何回か繰り返す中で、これは“人間ドキュメンタリー”だと気づいたんです。企業の方は、会社を背負って出演している。だからこそ、料理人の判定に一喜一憂し、涙までする。一方の料理人も、安易に不合格の札は挙げられないし、この番組に出ることで自身のハードルも上がってしまう。そんなガチンコ対決の中から生まれるドキュメンタリー性にも、視聴者は面白味を感じてくれたんだと思います。そこで途中から編集方針も変えていきました」
「物語には主人公がいた方が視聴者に伝わりやすいですし、たとえば料理人が顔をしかめた時、視聴者が“大丈夫かな?”と感じるタイミングで主人公の不安げな表情を映す。そうした視聴者の生理に合った編集を丁寧に行うことで、よりドキュメント性を高めていけるんです」