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お笑い界から3人以上の多人数グループが大成しなくなってしまったワケとは?

  • トリオまでのグループはいるものの、なぜ多人数グループは絶滅にひんしているのか?

    トリオまでのグループはいるものの、なぜ多人数グループは絶滅にひんしているのか?

 今やあらゆるテレビ番組に登場するお笑い芸人たち。その姿はテレビ放映時間内から消えることがないと言ってもいいくらいだが、ふと気づけば、芸人たちはいずれもピンかコンビか、せいぜい多くてもダチョウ倶楽部やネプチューンなどの3人トリオという状況だ。いつから、テレビから多人数のお笑いグループが消えてしまったのだろうか?なぜトリオ以上のグループが大成しなくなってしまったのか?

かつて一世風靡したお笑い界の多人数グループ

 5人組のザ・ドリフターズや6人組のハナ肇とクレージーキャッツ。この2グループは、かつて超人気を博したお笑いグループで、コミックバンドとしての一面があったことも共通している。1955年に結成されたクレージーは、『シャボン玉ホリデー』(日本テレビ系)などのコント番組で一世を風靡し、クレージーと同じ事務所の後輩にあたるドリフの『8時だョ!全員集合』(TBS系)は、超高視聴率のお化け番組と言われたのである。

 両者ともコントを中心としたギャグで人気を得たが、演奏技術などの音楽的なレベルも高く、昭和の時代には文字どおり、鳴り物入りのお笑いエンタテインメントとして認知されていた。テレビでも多人数のお笑いグループの冠コント番組が成立しており、ドリフで言えば、ノッポ(いかりや長介)、デブ(高木ブー)、メガネ(仲本工事)、ハゲ(荒井注)、チビ(加藤茶)というコントにおける役割分担、フォーマットがすでに出来上がっていた。

多人数グループによるコント番組の衰退が最大の要因

 現在のお笑いを見ると、コンビのボケとツッコミ、トリオのボケ・小ボケ・大ボケといった形式は定着しているが、それ以上の多人数のお笑いとなるとほとんど見あたらない。90年代に入ると、コントを主体としたジョビジョバ(現在活動中止中)が人気を博し、現在も超新塾などの多人数グループは存在しているが、それぞれがピンとして活動しているため、多人数グループとしての印象は薄い。前述したドリフ内の役割分担的なものは、番組でコントを行なう上で必要不可欠な要素だったが、かつてのコント中心のバラエティ番組が絶滅しかけている現状を考えると、多人数グループが生まれてこないのも仕方がないのかもしれない。

 このまま多人数グループによるコント番組が復活することはないのだろうか?制作会社スタッフは今のテレビ業界の予算から考えると、大道具やかぶり物などの制作費がかかるコントは難しいと語る。「あえて言えば、ひな壇芸人を中心としたトークバラエティが、かつての“コントっぽい”ものかもしれません。あの形式なら、コントに必要な役割分担、キャラ分けも、それぞれの特徴を持った芸人を連れてくれば済みますし。まあ、多人数グループによるコント番組に一番近いのは、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)ぐらいなのかもしれないですね」(制作会社スタッフ)

 確かにスマスマは、かつての歌あり笑いありの王道バラエティ番組と言えなくもない。SMAPのメンバー自体がドリフを見て育った世代のせいなのか、ときおりベタなコントも見せる今や貴重な番組とも言えるのだ。しかしあくまでもSMAPは歌手であり、アイドルグループ。お笑い芸人でないところが寂しいと言えば寂しい。

予定調和なお笑い界に求められる“風雲児”の存在

 また、お笑い世界の業界側、たとえば芸人養成学校などでも、多人数のお笑いグループを育成するといった話はあまり聞かない。多人数グループにとっては需要もなければ供給もないという、決していい状況とは言えないのが実情のようだ。しかし、年末の特番『エンタの神様2015 大爆笑の大大連発SP』(日本テレビ系)では、人気お笑いコンビの共演、たとえばアンジャッシュのネタに、お笑いコンビの地球が参加していたり、リズムネタ芸人が4人で共演している姿なども見られ、なかなか賑やかで楽しい雰囲気を演出していた。昨年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)でも、かつての多人数お笑いグループの形に近いとも言える「吉本印天然素材」(ナインティナインや雨上がり決死隊、FUJIWARAなどが参加)が復活してダンスを披露していたが、久しぶりのせいか、新鮮でけっこう面白いとの意見も多かったようだ。

 ある意味でお笑いの“型”のようなものが出来上がってしまった現在、よく言えば完成されたということだろうが、そのぶん予定調和的なマンネリもあって、突き抜けるような面白さがなくなってしまった。「型にハマッた今のお笑いを壊してくれるような風雲児は、誰もが期待してる。制作側もスピンサーももっと冒険する必要がありますね。多人数のお笑いグループがミニシアター的に騒ぐバラエティがあってもいい」(前出・スタッフ)という声もある。今後はお笑いコンビ同士のコラボや、ドリフやクレージーキャッツのような、かつての大人数のグループの再登場が新たな起爆剤となりうるかもしれない。

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