『ジョブチューン』人気の“ジャッジ企画” 人間ドラマ見せるドキュメント風演出テクとは
画面の端々で見られる“愛あるダメ出し”感
さらに番組エンディングの画面の端々で、ダメ出しをした料理人が企業担当者にアドバイスを送る姿もよく見られる。これは、もともとはカメラが止まった後によく見られた光景だったが、そうしたシーンも極力収録して編集に加えているという。こうした“愛あるダメ出し”感も端々から伝わることで、放送翌日には、合格商品に行列ができるのは当然ながら、不合格商品の売上げも大幅に伸びているという。
「コーナー開始当初は企業側から出演を断られる場合が多かったのですが、最近は企業側から出演したいと言ってくださるケースも増えました。商品に不合格を出されるリスクはありますが、それ以上にメリットが大きいと考えてくださっているようで、企業、料理人、そして我々製作側との3者の間でWin-Winな関係を築けているのだと思います」
「弊社では“ファミリーコア層”と呼んでいますが、13〜59歳の購買層を意識した番組作りに力を入れています。他局も含めてテレビ界全体が2年ほど前から同じような動きをしていて、ひと昔前よりも身近なものをテーマとしたバラエティ番組が支持されていると感じています。逆に言えば、日常生活とあまり乖離したテーマは、よほど見せ方を考えないと、なかなか見てもらえないとも言えます」
そういう観点から言っても、視聴者は放送を見た翌日に合格メニューを食べにいったり、不合格商品の味を確認できたりする。そんな“身近な親近感”と、真剣勝負が生むドキュメンタリー性が、今の視聴者の心を掴んでいるのだろう。
このジャッジ・コーナーはさらなる派生企画を生み出し、12月7日には「ミツカン“鍋つゆ”TOP10」のジャッジと、高速道路サービスエリアでの出張ジャッジの放送を予定。飲食チェーン店やコンビニ商品といった枠を超えた分野にも進出しようとしている。その企画の軸には、「“食”をどうやってエンターテインメントにみせるか」という同番組のコンセプトがしっかりと根づいており、同番組のジャッジ企画はより一層の広がりをみせていきそうだ。