ディズニー実写『アラジン』大ヒットの背景に「映画魔法の現代化」
■イノベーションと温故知新の双方向からブランド価値を編み上げていくディズニー
翌年の『アラジン』は、同じくロマンスが底辺にあるとはいえ、アニメというイメージの革新そのものだった『美女と野獣』に較べると、アニメ本来の原動力であり存在証明である活劇性に回帰した快作だった。ディズニーのすごさは、同じアプローチでブランドを補強・推進するのではなく、イノベーションと温故知新の双方向からブランドの価値を編み上げていくことにあるのだと、1990年代初頭に思い知らされた記憶がいまもまざまざとよみがえる。
これまでとこれからの変化を見据えた上での「現代性」が渦巻く
まず結論を述べよう。実写版『アラジン』は、1992年のアニメ版『アラジン』の単なるリメイクではない。これは実写化ではなく「現代化」である。これまでの変化、これからの変化を見据えた上での「現代性」がここには渦巻いており、そのことに圧倒される。この要素は、かつての『アラジン』にはなかったものだ。そして、このファクターは、2019年の「いま」だからこそ、多くのひとびとに必要とされ、また受け入れられるものになっている。なによりも、そのことに感動する。
ディズニーはここ数年、『シンデレラ』『美女と野獣』『ジャングル・ブック』など、かつての名作アニメの実写化プロジェクトを継続している。もちろん、その都度、21世紀にふさわしいかたちへの仕立直しはおこなわれている。だが、その必然性が、ここまでクリアに到達した例はなかったのではないか。