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『コード・ブルー』が邦画No.1 18年邦画シーン、3つの明るいトピック

興収92億円を突破した『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(C)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

興収92億円を突破した『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(C)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

 漫画実写大作の不振など低迷が続いていた近年の状況から一転、18年は『万引き家族』『劇場版コード・ブルー』『カメラを止めるな!』というタイプの異なる3つのヒットが生まれ、明るい話題が邦画シーンを賑わせた1年だった。

久々のドラマ映画のスマッシュヒット 歴代邦画実写5位へ

※18年11月末の実績

※18年11月末の実績

 その口火を切ったのが、是枝裕和監督の『万引き家族』。5月に開催された『第71回カンヌ国際映画祭』でコンペティション部門最高賞のパルムドールを受賞。97年の今村昌平監督『うなぎ』以来の21年ぶり快挙に日本中の注目が集まり、連日テレビ情報番組の話題を席巻するとともに、その2週間後という絶好のタイミングで封切られ、興収45億円を超えるヒットとなった。是枝作品最大のヒットとなるとともに、エンタメ大作とな異なる人間ドラマが、どこまで興収を伸ばすかも注目された。

『万引き家族』(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

『万引き家族』(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

 夏には人気ドラマを映画化した『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』が、久々のドラマ映画のスマッシュヒットとなるとともに、18年の邦画No.1となる大ヒットとなった。同作は、08年7月期の連続ドラマ『〜 1st season』、翌年のスペシャルドラマ、10年1月期の『〜 2nd season』のあと、7年を経て『〜 3rd season』が17年7月期に月9枠で放送され、二桁ドラマが少ないなか平均視聴率14.6%を獲得。過去シリーズを観ていない、新たなファンも多く獲得していた。

 その1年後に映画化された今作は、『〜 3rd season』の視聴者がメインになったうえに過去シーズンからのファンも加わり、幅広い層の動員に成功した。もともと人気の高いドラマだったが、ドラマから10年が経ち、登場人物たちが年齢を重ねて成長していく長いスパンの連続性のなかで、ファンの関心も高まった。時間を開けた映画化が奏功した大ヒットとなった。興収は92億円を突破し、邦画実写映画ランキングでは『天と地と』(1990年)を抜いて歴代5位にランクインしている。

自然発生的な口コミ拡散が発端となった異例のロングヒット

 そして、18年のもっともエポックメイキングとなった作品が、『カメラを止めるな!』。監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールが、オーディションで選んだ無名の俳優、新人監督の起用で製作費300で制作したインディペンデント映画が、6月23日より都内2館で公開がスタートすると、連日満席となり、アスミック・エースによる全国拡大公開が決定。同時に、SNSなどの口コミとネットニュースで話題が拡散し、その盛り上がりをテレビなどメディアが取り上げるようになると、瞬く間に一般層までその話題が広がっていった。

 自然発生的なSNSによる口コミ拡散が発端となり、その作品性とともに話題の連鎖が増幅していき、異例のムーブメントとなった今作。11月末でも上映は続くロングランになるとともに、累計上映館数はメジャー大作なみの340館にのぼり、興収30億円、動員220万人を超える誰も予想できなかった新しい形態の大ヒットとなった。

 作品ジャンルもまったく異なるこの3作のヒットは、邦画の底力を示すとともに、シーンを活気づけている。19年以降につながるいい流れが生まれた1年と総括できるだろう。

提供元: コンフィデンス

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