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劇場版もヒット、『コード・ブルー』“一貫”したミスチル主題歌「HANABI」の効力

 山下智久が主演を務める、フジテレビの人気ドラマシリーズの映画化作品『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』が、7月27日の公開から1ヶ月が経った今もなお動員を伸ばし、ロングヒットを記録している。夏休み映画を称したビッグタイトルが次々と公開されるなか、興行通信社による「全国映画動員ランキング」では公開以来、5週連続TOP5入り(1位→1位→1位→2位→3位)。累計実績は8月26日までに動員601万人、興収77億円を突破し、最終100億円超えが現実味を帯びてきた。その一方で、映画のヒットに伴い主題歌に起用されているMr.Childrenの「HANABI」も、各種音楽ランキングを賑わせている。

10年前の連ドラ開始時に主題歌として書き下ろされた楽曲

  • Mr.Children「HANABI」(2008年9月3日発売)のジャケット写真

    Mr.Children「HANABI」(2008年9月3日発売)のジャケット写真

 『コード・ブルー〜』は、2008年7月期に木曜22枠の連続ドラマとしてスタートした。好評を得て、翌年にスペシャルドラマ、2010年1月期には『〜2nd SEASON』(月曜21時)が放送。それから7年後となる、昨年7月期に『〜 THE THIRD SEASON』(月曜21時)として復活。その最終話で映画化決定が発表され、連ドラから約1年を経て劇場版が公開された。Mr.Childrenの「HANABI」は、08年のドラマ放送開始に合わせて書き下ろされた楽曲で、これまでの全ドラマシリーズ(スペシャルも含む)、そして今回の劇場版と、『コード・ブルー』の主題歌として起用され続けている。

 「HANABI」はMr.Childrenの33枚目のシングルとして2008年9月3日に発売され、08年9/15付、9/22付と2週連続で週間ランキング首位を獲得。その後も、新シーズンの放送に合わせ、度々ランキング上位に浮上している。今回の劇場版の公開に関しては、フィジカル(CD)以上にデジタル配信で大きな動きがあった。今年度(2017年12/25付〜)よりスタートした週間デジタルシングル(単曲)ランキングでは、もともとTOP100入り常連の人気曲ではあるが、映画公開1週目の週末を集計期間に含む8/6付で8位に急浮上。その後も、10位(8/13付)→15位(8/20付)→15位(8/27付)→25位(9/3付)と推移し、5週連続でTOP30入りしている。

 また、定額制音楽配信サービスでも「HANABI」はよく聴かれており、週刊エンタテインメント誌『コンフィデンス』掲載の各種サービスの週間ストリーミングランキングでは、この数週間ほど常にTOP20入り。特に「LINE MUSIC」「AWA」「dヒッツ」「Amazon Music Unlimited」といったサービスで多く再生されている。

『コード・ブルー』P語る、「HANABI」は「欠かすことのできない登場人物の一人」

(C)2018「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」製作委員会

(C)2018「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」製作委員会

 映像作品とともに音楽も注目を集めたケースといえば、直近では映画『君の名は。』(RADWIMPS「前前前世」「スパークル」など)やドラマ『アンナチュラル』(米津玄師「Lemon」)などのヒットが記憶に新しいが、それぞれに共通するのは音楽と物語との“親和性の高さ”。

 1作目から『コード・ブルー〜』のプロデュースを手がけてきた増本淳氏は、昨年7月期の新シーズン放送開始時に「HANABI」について、「言うなれば6人目の登場人物というか、あの5人の若者と一緒に1stシーズン、2ndシーズンと歩んできた、もはや『コード・ブルー』に欠かすことのできない登場人物の一人と言えます。新シーズンを始めるにあたり、より高みを目指して変えていくべき部分と、『コード・ブルー』が『コード・ブルー』であるために変えてはいけない部分とがあると感じていました。このHANABIはその変えてはいけない部分の一つであると思っています」と、公式サイトで楽曲への想いを語っているが、このことからも「HANABI」が今回の劇場版をはじめ、『コード・ブルー』の一連のヒットの一旦を担っていると言っても過言ではないだろう。

同じだからこそ、楽しめる変化もある

Mr.Children

Mr.Children

 ポップカルチャー研究者の柿谷浩一氏は、『コード・ブルー』で「HANABI」が発揮する効果について、「この10年間、ドラマが放送されている時も、放送のないシーズンの空白期も、主人公たちが物語の中を歩んできたのと同じく、主題歌もずっと物語と生きてきた。「HANABI」は『コード・ブルー〜』の物語に関わった人全員が共有する「場」や「時間」のようなものとして機能しているともいえます。「チーム」というテーマ通り、途中から加わったキャストも、見始めた視聴者も“繋がれる”のは、変わらない主題歌の素敵なところだと思います。

「命の尊さ」や「仲間」といった大枠は同じでも、作品ごとで描くテーマは異なる。そうした中で、圧倒的な存在感の主題歌が作品を縁どるため、世界観やイメージが同じように見えてしまう恐れはあります。つまり、シリーズ全体のテーマソングであっても、各作品の主題歌に十分ならない。ですが、劇場版とシーズン1を比べてみても分かるように、主題歌をどう使うか、どう響かせるかの“使い方”でもって、そこに巧みな変化を与えているのもシリーズの特色と醍醐味になっています。また主題歌が同じことで、逆にキャストや脚本家の“変化”がより際立つ効果が出ているのも特徴的。「同じだからこそ、楽しめる変化」もある。そこを『コード・ブルー』は、うまく作品の力にしています」と分析する。

 また、10年という時を経てもなお鮮度を保ち続けることができているのは、「分かりやすさの裏で、実は具体的な状況設定がない、“普遍的”な歌詞の特性が大きい」と柿谷氏。そんなMr.Children特有の多義的な歌詞は、作品の感動を見事にサポートしている。「曲自体は切ないラブソングですが、それが物語で流れると、例えば1番の始めは「医師」の日々の苦悩、その後は大切な君を失くした「遺族」の悲哀といった具合に、曲の部分部分が『コード・ブルー』の物語性をうまく捉えた形で聴こえてくる。しかもそれが、桜井和寿の憂いを含みつつ力強い歌声のために、まるで魂の叫びのように届く。それは、作品の人物たちの心の声を伝える、もう1つの“ナレーション”のようです」(柿谷氏)
 ちなみに、映画館には若年層の女性の姿が多く見られ、連ドラ『〜 THE THIRD SEASON』の視聴者がメインの観客層になっているようだが、それに過去シーズンからの古参ファンも加わり、幅広い層の動員に成功しているという。一本筋の通った「HANABI」という楽曲が、“世代を超えた”映画のヒットを支えている。
『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、新田真剣佑、かたせ梨乃、山谷花純、丸山智己、杉本哲太、安藤政信、椎名桔平
監督:西浦正記
脚本:安達奈緒子
全国東宝系にて公開中 http://www.codeblue-movie.com/index.html(外部サイト)(外部サイト)
(C)2018「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」製作委員会

提供元: コンフィデンス

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