クリス松村が語る“音楽愛” 「ネットに頼らない」音楽番組作りの流儀
実際に見て聴いた音楽と手元の資料で、音楽を正しく伝えたい
「本当にラジオみたいな内容の番組です。構成作家さんと相談して、トークの内容は私に任せてもらっていますから、私の記憶と家にある(音楽やランキング等の)資料を確認しながら毎回話を進めていきます」(クリス松村/以下同)
「一番初めに音楽に興味を持ち、好きになったのは、イギリス・ロンドンに住んでいた子ども時代。1960〜70年代の英国ロックを、それが何かもよくわからないまま、リアルタイムで聴いていました。そして帰国すると、日本では歌謡曲の世界が広がっていました。キャンディーズの3人がキラキラの衣装で高らかに歌っている姿を見て、“こんなに面白い世界はほかにはない!”と一気に視界が開けました。それからは、雑誌『平凡』(マガジンハウス)の端っこに掲載されていた「オリコンランキング」を目を皿のようにして見て、先代の小池(聰行)社長のラジオ番組もよく聴いていました。今、私の家には、『コンフィデンス年鑑』も『ビルボード』も、発表初期の頃のものからずっととってある。私は自分が実際に見て聴いて知った音楽と、私の手元にあるレコードや資料とで、音楽を正しく伝えたい。大好きな音楽に関して妥協はしたくないんです」
最初はしっかりとリスナーの耳を育て、いずれはジャンルを超えた試みも
正直、他の民放キー局なら、過去の映像を使って割と自由に音楽番組も作れるが、TOKYO MXには残念ながらその蓄積はない。同番組はその分を補って余りある、クリスのトークで音楽を伝えるのだ。
「子どもの頃は、自分なりの『今週のベスト10』を作って発表していました。いきなりフランク・シナトラが入っていたりして(笑)。番組でもそういうジャンルを超えた試みはしたいと思うけど、最初は土壌作り。しっかり聴き手の耳を育てないと。みんながよく知るミュージシャンを取り上げながら、アプローチを変えて紹介していきます。例えば、西城秀樹なら「YMCA」じゃなくて「若き獅子たち」を流すみたいな。でも独りよがりにならないよう、ゲストを迎えて私自身も学びながらやっていきたいですね」
「音楽を愛して集めることは、文化を紡ぐこと」とも語るクリスの音楽番組。業界人こそ観たい、観るべき番組だ。
文:和田靜香
◆クリス松村
オランダの政治都市・ハーグで誕生。日本に帰国後も、学生時代にアメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、フランス、オーストリア、ポルトガル、エジプト、ギリシャなどの各国、各都市をまわる。タレントとしてテレビで活躍する一方、邦楽・洋楽問わずの音楽好きが高じて、テレビやラジオの番組監修、CDの音楽解説、航空会社の機内放送オーディオプログラムの構成、ナレーションなども手がけてきた。“音楽家=おんらくか”タレントとして、活躍の場を広げている。
オランダの政治都市・ハーグで誕生。日本に帰国後も、学生時代にアメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、フランス、オーストリア、ポルトガル、エジプト、ギリシャなどの各国、各都市をまわる。タレントとしてテレビで活躍する一方、邦楽・洋楽問わずの音楽好きが高じて、テレビやラジオの番組監修、CDの音楽解説、航空会社の機内放送オーディオプログラムの構成、ナレーションなども手がけてきた。“音楽家=おんらくか”タレントとして、活躍の場を広げている。