食べる量は変わらないのに太りやすい――その一因が「食べる速さ」にあるかもしれない。血糖値とインスリンの関係から、肥満のメカニズムをわかりやすく整理する。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
肥満を防ぐうえで、インスリンが鍵を握る
体重が増える原因は、食べすぎだけではない。
何をどのように食べるかによって、体の脂肪のため込みやすさは変わるとされている。
その中心にあるのが、血糖値とインスリンの関係だ。
インスリンは血糖値を下げるホルモンだが、同時に余分な糖を脂肪に変えて蓄える働きも持っている。
つまり、インスリンが大量に分泌されるほど、脂肪がため込まれやすくなる可能性がある。
早食いが肥満につながるメカニズム
――『医者が教える栄養学的に正しい最高の食事術』(田中越郎 著)より
早食いをすると、食べた糖が一気に消化吸収され、血糖値が急激に上昇する。
それに対応するために、膵臓は大量のインスリンを分泌する。
この「血糖値の急上昇→インスリンの大量分泌」というサイクルが、脂肪をため込みやすい体の状態をつくる一因とされている。
同じメニューを食べていても、食べる速さによって血糖値の上がり方が変わる。
これが、早食いの習慣が肥満リスクと関連するとされる理由だ。
ただし、肥満の原因は食べ方だけでなく、遺伝・生活習慣・ストレスなど複数の要因が絡み合っており、個人差も大きい。
「ゆっくり食べる」は、シンプルだが効果が期待できる習慣
食べる速さを意識することは、特別な食事制限や高価なサプリメントを必要としない。
よく噛んで食べることで、血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの過剰な分泌を抑えられる可能性がある。
また、ゆっくり食べることは満腹感を得やすくする効果も期待できる。
食事の内容を変える前に、まず食べる速さを見直すこと――
それが、著者が示す肥満予防の出発点だ。
持病がある場合や、すでに体重管理に取り組んでいる場合は、医師や栄養士に相談のうえで実践してほしい。
今日から試すなら、食事中に一度箸を置き、いつもより少しゆっくり食べることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)