現れた救世主
「メルセデス・ベンツGLC」にスポーティーな「メルセデスAMG GLC53 4MATIC+」が仲間入り。「43」と「63」の中間、AMGとしては松竹梅の竹にあたるモデルだが、今後はそのポジションの重要性がさらに増すことになるという。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
ビジネスの観点から見た専用シャシーの是非
メルセデス・ベンツもメルセデスAMGもいろいろ大変なようである。経営面では2025年に純利益が半減。売上高も10%近く落として、いい数値を出すことができなかった。開発面では電気自動車(BEV)への一本化へ向けた戦略を見直し、「新規開発はしない」と公言していた内燃機(ICE)と内燃機を積むためのプラットフォームの刷新と整理を、どうやら始めたらしい。
実はメルセデスの開発部門のトップだったマーカス・シェーファー氏が退任して、ヨルグ・ブルザー氏が後任の席に座ることになった。新型「Sクラス」の試乗会に参加していた彼に、今後の戦略について聞いてみた。
「われわれはこれまでのSクラスと『EQS』のように、ICEとBEVでプラットフォームもデザインもまったく別のものを使ってきました。自動車開発の観点で理想を追求すれば、そのほうがICEにとってもBEVにとってもベストだからです。しかし、残念ながらビジネスの観点では、それが必ずしも得策ではなかったということが業績として表れてしまいました」
「エンジンを横置きにした前輪駆動をベースとするモデルは、ICEとBEVで同じプラットフォームを共有することが構造的に比較的容易なので、すでに新型『CLA』ではそれを実行しました。エンジンを縦置きにした後輪駆動ベースのモデルは、すぐにICEとBEVでプラットフォームを共有することが難しく、でも両者はだんだんと近づいていって、やがてひとつになるかもしれません」
結局のところ、BMW的なやり方が現時点では正解となり、メルセデスもそれに追従することを余儀なくされたかたちとなった。そんな時にポロッと現れたのが、メルセデスAMGのGLC53 4MATIC+である。...