孤高の境地
「ロールス・ロイス・ゴースト」が「シリーズII」へと進化。先進性の強化とともに目指したのは、ブランド史上最もドライバー志向のサルーンだという。ロングホイールベース版の「エクステンデッド」で雲の上の世界を味わってみた。
順風満帆のロールス・ロイス
ロールス・ロイスの販売台数は、ここ5〜6年、軽い増減を繰り返しながら6000台近辺で推移している。コロナ禍に始まり唖然(あぜん)とするような事態の連続で世界情勢が不安定化した2020年代においても、鳥瞰(ちょうかん)的に見れば微動だにしていない。
さらに興味深いのは、彼らが台数的成長に対してガッつくそぶりがないことだ。まず顧客の平均年齢が40代前半と、実は同門のBMWやMINIよりも若い。そんなカスタマーが好んでスペシャルトリムやビスポークプログラムを選んでいるわけで、当然台数あたりの単価も上がっている。ちなみに日本市場では「ブラックバッジ」シリーズの選択率が他のリージョンよりもずぬけているという。つまりビジネス環境的に変革を迫られる課題は当面見当たらないということにもなる。
「ロールス・ロイスって、世相や経済がどう変われど、日本での販売台数はびっくりするくらい変わらず安定してるんですよね」
そんな話をコーンズの営業のお偉いさんから聞いたのは、2000年代のあたまだった。ちょうどBMWの傘下となることが決まり、ビジョンが不透明な頃合いだったが、バブルの浮沈も見届けてきた氏は、現場での手応えをもって日本におけるロールスのロイヤルティーを見極めていたのだと思う。
あれからおおむね四半世紀。台数のみで測ってもロールスのビジネスの規模は十数倍に及んでいる。ブランドのエントリー層を「カリナン」のような目新しいモデルが囲っている背景は想像に難くない。一方で、本流はサルーンにありと考える向きも根強く、海外では前述のような若いカスタマーがオーナードリブンを主目的に「ファントム」を選ぶことも珍しくはないという。...