最強の二番手
新しくなった「N-WGN」にはホンダ車初の予防安全装備が搭載された。もちろん社会安全が第一だろうが、売れに売れている「N-BOX」に追いつけ追い越せとハッパをかける目的もあるはずだ。内外装を専用仕立てにした特別仕様車で、その仕上がりを試す。
ノンターボとは思えない走り
クルマを受け取ってしばらく走っていると、なんだかしっくりしない。思っていたのと違う。試乗車は「ホンダN-WGN Lスタイル+ ビター」である。ベース車は標準車の上級グレード「L」だから自然吸気エンジンのはずなのに、加速が力強く軽快に走るのだ。ターボのはずはないのだが、と思い書類を確認すると、やはりエンジンは自然吸気。最高出力は58PSである。
つい最近ノンターボの「ダイハツ・ムーヴ キャンバス」に乗り、力不足でもどかしい思いをした。その記憶が残っていたので、N-WGNの軽やかな走りに意外さを感じたのだ。両側スライドドアのセミハイトワゴンとヒンジドアのハイトワゴンでは、かくも大きな差がある。重量と空力性能の違いが、ドライバビリティーに多大な影響を及ぼしているようだ。ムーヴ キャンバスのエンジンが52PSと控えめな出力であることも関係しているだろう。
N-WGNには2019年のフルモデルチェンジで試乗していて、そのときも自然吸気で十分だと感じていたことを思い出した。ハイトワゴンというジャンルは、バランスのよさが光る。軽自動車という規格内で、実用性と走りをうまく両立させている。1993年に「スズキ・ワゴンR」がつくり出し、1995年に「ダイハツ・ムーヴ」が続いた。N-WGNは2013年に「Nシリーズ」の第4弾として発表された最後発モデルである。
Nシリーズは大好評で、ホンダの稼ぎ頭になった。2011年に発売されたスーパーハイトワゴンのN-BOXが始まりで、10年後の2021年にシリーズ累計販売台数300万台を達成している。慶賀の至りではあるが、ホンダの悩みはN-BOXの人気が突出していることだ。300万台の3分の2にあたる200万台以上がN-BOXで、極端な偏りがある。2022年の1月から9月までの累計販売台数も、N-BOXの15万1594台に対し、N-WGNは3万2130台。状況は改善されていない。...