万人受けは必要ない
やはりシトロエンは普通じゃない。新たな旗艦「C5 X」はセダンとワゴンとSUVをクロスオーバー……とされており、聞いただけでは中身が全く想像できないクルマだ。というわけで(?)、フランスまで赴いてその謎を解き明かしてきた。
カテゴライズが難しい
フランスのシトロエンは独創的なクルマづくりで知られる。1930年代の昔から前輪駆動車の可能性を信じていたし、1950年代にはサスペンションパーツとして金属がとぐろを巻いたやつではなくオイルとガスを封入したスプリングを採用した。スタイリングも他に似ていない。ステランティスのいちブランドとなった現在では、主要コンポーネンツを他ブランドと共有するため、キテレツ性、もとい独創性は薄まったが、スタイリングにせよメカニズムにせよ、昔からのファンが納得でき、新しいファンも獲得できる絶妙なところを突いていると思う。
そんななか、2021年に登場し、2022年中に日本にやってくるC5 Xは、どちらかというと古くからのファンに寄り添い気味のアクの強い内容で登場した。マツダのSUVと書き間違えそうになるので単語登録した。C5 Xは、まずスタイリングがユニークだ。決してトレンディーではない。「5ドアリフトバック」と呼びたくなる。リアハッチはその角度が最近では見かけないなだらかさだ。車高が高いわけではないが、ロードクリアランスは大径タイヤによって一般的な乗用車よりもしっかりと確保されている。とはいえ前輪駆動なので、各社が派生モデルとしてしばしば設定する“オールロード系”でもなさそうだ。
そして最新のファミリー顔。中央のダブルシェブロンの両端がそのまま上下2本の平行線となって左右に伸び、両端で上下に分かれてそれぞれヘッドランプユニットの一部となる。全幅の広いクルマに適用するとワイドさが強調される。人が両手で顔を左右に引っ張ったときのようだ。とにかくカテゴライズが難しい。セダンでもワゴンでもSUVでもない。近ごろは分類しにくいクルマをクロスオーバーと呼ぶが、車名のXはそういう意味なのだろう。いずれにせよ、これがシトロエンの新しい旗艦なのだ。...