オトナのためのロードスター
電動式のリトラクタブルハードトップと、専用デザインのリアセクションを持つ「マツダ・ロードスターRF」のスポーティーグレード「RS」に試乗。ソフトトップモデルとは一味違う、走りの魅力をリポートする。
抱きしめたくなるほどカッコイイ
「待っていても、リトラクタブルハードトップ(RHT)は出ませんよ」。現行ロードスター(ND)登場時のYチーフエンジニアはそう言ったが、代わりに出たハードルーフがRFである。
平常時はファストバッククーペ。オープン時も、ファストバックのクオーターパネルが残ったまま。RFとは、リトラクタブル・ファストバックの略だが、正確に言うと、ファストバック部分はリトラクタブル(格納)しない。アルミの天板とリアウィンドウが出入りするときに、垂直に持ち上がり、また戻ってくる。
FRP製のファストバックピースはボディー左右のフィンだけ。つまり、張りぼて。リアウィンドウはミドシップスポーツカーのようにシート背後にほぼ垂直に立っている。昔からミドエンジンフェラーリに見られたのと同じ“つくり”である。
果敢なダウンサイジングを果たしたNDロードスターのボディー全長、3915mmは、4代を重ねるロードスター史上、最も小さい。先代より約10cm短くなった。さすがにそうなると、上屋がぜんぶなくなる先代RHTの収納スペースは捻出できない。電動ハードルーフで、青天井が得られて、トランクルームを犠牲にせず、過度な重量増も招かない。そうした数々の要求に応えてみせたのがRFである。
筆者は、2代目「NB」の時代にひっそりとつくられたロードスタークーペを、スクープ写真にひと目ぼれして衝動買いした過去を持つが、いまのマツダがロードスタークーペを本気でつくると、ここまでやるか! と感慨深い。特にクローズド時のクーペスタイルは、個人の感想ですが、抱きしめたくなるほどカッコイイ。マツダがもっと大きな会社なら、ロードスターとは別のクルマとして出したかもしれない。協業の相手は結局、フィアットになったが、これを最初に見たら、アルファ・ロメオも黙っていなかったのではないか。フロントグリルに盾を付けて、21世紀の「ジュニアZ」。個人の夢想です。...