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市場参入から丸4年…楽天モバイルの現在地 “競争と共生”で成される「携帯市場の民主化」への道とは? 鈴木CEOに聞く

家族プログラムや青春プログラムを矢継ぎ早に実施「“もともと十分に安い”ことを改めて再認識して頂くため」

――2020年からの楽天モバイルの本格的な参入で、ようやく市場競争や市場原理がもたらされたという印象をユーザーも持った。そのきっかけを作ったのは楽天モバイルの参入でした。17年に市場参入に表明した際、「携帯市場の民主化」を掲げていましたが、同スローガンを鈴木さんはどう捉えていましたか?
【鈴木CEO】それまでの携帯市場には、消費者に選択肢がなかった。どこの携帯事業者も同じようなプランで同じような価格。テレビCMも似ているし、店舗の作りもほとんど同じ。結局、同じようなものが3つあって、どれを使っても同じという印象を消費者に与えてきた。ある意味、消費者の選択肢を奪っているマーケットだったと思います。だからこそ「携帯市場の民主化」というスローガンは、携帯市場に“新たな選択肢”を提供するという意味なんだと捉えました。

――楽天モバイルの参入で、“当たり前の”市場原理がやっともたらされたと感じるユーザーも多かった。現に価格競争も始まり、携帯代に月1、2万を払っていたのが遠い昔に感じます。
【鈴木CEO】結果的に携帯電話代として月2000円ほど下がっている。これを全世帯で計算すると、年間4兆円ほどになります。この4兆円が新しい投資に回ったんじゃないかなと僕は思っていて。例えば、浮いたお金で新しい金融商品を買ったりすれば、それは新しい投資に向かっているわけですよね。経済の中でお金が回るようにしたという貢献はすごく大きいと思います。

――新しいことをやると、批判の方が大きく捉えられてしまいますよね。ただ、近年は風向きも変わってきた印象はあります。第4のキャリアとして楽天モバイルが市場に入ったことで価格破壊が起こったことは素直に評価すべきだという声も増えた。2月からスタートした「最強家族プログラム」への高評価や法人契約の伸長も、それを物語っていると言えます。
【鈴木CEO】法人契約に関しては、1年強で1万社のお客様を獲得できたというのは1つの成果だと思っています。「最強家族プログラム」もお客様からの反応も上々です。これまでも十分に安いプランを提供してきましたが、「最強家族プログラム」をローンチして、シンボリックなプランはやはり必要なんだな、ということを改めて感じましたね。“家族”という文字から与えるインパクトは、我々が想定したしていた以上に大きかったと思います。

――3月12日からは、22歳以下を対象とした「最強青春プログラム」もスタートしています。先ほど、鈴木さんも仰っていましたが、すでに十分料金が安いのにさらに安くしていくという戦略に至った経緯は?
【鈴木CEO】低価格という部分がまだまだ伝わっていなかった、浸透しきれていなかったという部分があると思うんです。そこで「最強家族プログラム」や「最強青春プログラム」などを改めてローンチすることで、改めて注目される。「もともと十分に安い」ことを改めて再認識いただけたのではと考えています。

――一方、安さだけではなく、質も向上させていかなくてはならない。特に社会インフラを担う通信事業ならば、ことさらユーザーから注視されます。サービス向上と低価格を維持するバランスを現在はどのように見ているのでしょうか?
【鈴木CEO】当然、価格とそれと見合うサービスの品質はビジネスの両輪だと思っています。低価格だけではなく、通信のカバレッジや品質といった部分もかなり改善に改善を重ねてきています。第三者機関のさまざまなリサーチレポートを見ても、楽天モバイルがNo.1を獲得しているカテゴリーも多い。これからも価格とサービスレベルの両輪でビジネスを回していくという考え方は変わりません。

――新たに割当されたプラチナバンド(700MHz)への期待感も非常に大きいです。そういった期待感にどう応えていくのか、鈴木さんの思いを教えてください。
【鈴木CEO】通信品質の改善は当然やっているのですが、それを評価いただくのはユーザーの皆様です。「本当に良くなった」と認識していただくために、お客様の声を積極的に取得し、常にモニタリングをしています。実際に使っていただいているお客様の声がどれだけ変わるかというところを我々は一番見ていますので、そこは手前味噌にならないように常に意識しているポイントです。

携帯市場にこそインクルーシブ(共生)な構造が必要「市場全体の底上げは4キャリア全ての命題」

――鈴木さんが以前から「競争ではなく共存。誰にでも平等にチャンスが与えられる社会を目指す」ことを進言されています。1982年に社会人になり、様々な経験を通して、なぜこのような考えに至ったのでしょうか?
【鈴木CEO】私が新入社員だった当時は、とにかく競争に勝つことが一番正しいんだという社会でした。競争が進歩を生むと言われて育ったんです。でも、今の日本をフラットに見ると、新しいマーケットを“皆で作る”という発想があってもいいのではないか? 人口は減少するので携帯市場全体の加入者数は劇的には伸びない。そうすると、通信の世界においても新しいマーケットを想像していく必要がある。そこは競争だけではなくて、共に作るような考え方があってもいいと思う。

――技術や情報を独占することによる優位性を重要視するのがこれまでの考えだとすると、鈴木さんが見据えているのは、共有することで全体の底上げや新しい取り組みが生まれる可能性だと。まさにインクルーシブな考え方であり、携帯市場にこそ必要な構造だなと思います。
【鈴木CEO】仰る通りです。社会インフラだからこそ、よりインクルーシブな考えが必要だと思います。全体を底上げすることで、ユーザーの皆様により快適な生活をご提供する。これは4キャリア全ての命題です。ビジネスの観点から見ても、例えば、1兆円のマーケットで競争するよりも、新たに10兆円のマーケットを作り出して、そこでみんなで切磋琢磨するほうが遥かに成長できる可能性がある。これからはそういう視点も積極的に取り入れるべきだと思います。

――ただ、一方では、“共存”や“共栄”が、単なる“模倣”に着地してしまう可能性もはらんでいます。つまり与えられるのみで、そこに創造性を持たないような模倣品のみが蔓延ってしまう状況です。受け身の姿勢では新しいものは生まれない。そのバランスを鈴木さんはどう考えますか?
【鈴木CEO】おそらく日本のような少子高齢化のなかで、今後大きな成長が見込まれないマーケットにおいては、“コピー型”で生き残っていける会社は非常に少ないと思います。だからこそ新しいマーケットの創造が必要だと思います。

――この議論は生成AIを取り巻く環境とも似ているのかなと。短絡的に見ると、生成AIがなんでもやってくれるという考えになり、人間が考えることを放棄してしまうことにもなりかねない。でも賢く最新の出来たる技術を活用している企業は、その距離感が絶妙です。
【鈴木CEO】そうですね。ですから、僕はどちらかというと、AIの社会が進むと、より直感力などが重要になってくる気がします。AIの裏をかくくらいの直感力がむしろ重要になってくる。我々も引き続きDXには注力していきますが、進化したデジタル技術を駆使しつつ、いかに楽天独自の新しいサービスを矢継ぎ早に提供できるのか? その取り組みが刺激となり、より一層の“携帯市場の民主化”につながっていくと考えています。

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