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年末年始に利用客が急増するコンビニトイレ、近年は「アートトイレ」で利用マナー向上を模索

 年末年始、帰省や旅行など道中でお世話になるもののひとつに「トイレ」がある。高速道路であればサービスエリア、街中であれば、コンビニを利用する人も多いのではないだろうか。サービスエリアは休憩施設という性質上、公共トイレを併設しており、その利用に疑問はない。一方のコンビニはあくまでも小売店だ。つまり我々はコンビニにトイレを「お借りしている」状況にあるが、どことなく公共トイレに近い印象を持っている。コンビニトイレが身近になった理由を探った。

コンビニトイレ開放で「立ち小便」が減少 街のマナー向上に一役

 コンビニ各社の中で、最初にトイレの貸し出しを行ったのはローソンだ。

「ローソンでは1997年、コンビニエンスストアチェーンで初めてトイレを開放しました。当時、お客様から“いつでも気軽にトイレを利用したい”というお声が寄せられていたこともあり、お客様の利便性を考えた上での決定でした。今では多くの方にご利用いただき、特に長期休暇中や年末年始など外出の機会が増える時にニーズが高まります」(ローソン)

 現在、全国のローソン店舗では1日に約100万人(※)がトイレを利用するという。多くの人にとって助かるサービスだが、年中無休・24時間営業のコンビニでトイレを開放することは、簡単な決断ではない。清掃や備品などの負担に加え、水道代もかかる。

「トイレの開放はサービスの一環という位置付けのため、開放するかどうかは店舗の判断なりますが、お客様の利便性向上に加え、商品のついで買いが期待できることから、本部としてトイレ開放を加盟店に推奨しています。当社独自の店内施設利用者のデータ調査から、トイレ利用者のうち商品を購入することなく退店したお客様の割合は約40%であることがわかっており、トイレをご利用するついでに商品を買われるお客様も一定数いらっしゃいます」
 
 客も喜び、売上にもつながる。さらに、この取り組みは、副次的効果もあった。街中での立ち小便が減ったのは、一説では公衆トイレとコンビニが増えたからだといわれている。かつては街中で「立ち小便禁止」の看板をよく見かけたが、近年ではほとんど見かけない。このようにコンビニのトイレ開放は、街のマナー向上にも役立っていた。

アートトイレ設置後に、店舗の清掃やメンテナンスの回数が減る効果

 ローソンでは2022年11月から、さらなる取り組みを始めている。一部店舗のトイレをアートで装飾する「アートトイレ」の実施だ。

「1997年に始まった“トイレ開放”ですが、清掃や備品・水道代などの負荷が大きくなっているのも実情でした。そこで、お客様や従業員の皆さんにトイレの重要性について考えていただくことを目的に、これまでに、北海道、東京都、神奈川県、佐賀県にある6店舗のトイレを『アートトイレ』として装飾しています。」
  • ローソン馬車道店のアートトイレ

    ローソン馬車道店のアートトイレ

  • ローソンダイワロイネットホテル横浜公園店のアートトイレ

    ローソンダイワロイネットホテル横浜公園店のアートトイレ

 “ありがとう”“感謝”をテーマとしたアートデザインは福祉施設のアーティストによるもののほか、一般公募で採用されたものもある。アートトイレ設置後は、客の利用マナーの向上により店舗の清掃やメンテナンスの回数が減るなどの効果が確認できているという。

 現在、全国ローソン店舗のトイレ扉部分には、QRコードつきのアートステッカーの掲出も始まっている。スマホでかざすと、トイレにまつわるクイズ動画を見ることができる。クイズは、トイレの大切さと使用者・清掃者双方に感謝を伝える内容だ。

コンビニトイレは、高齢者や障がい者など、外出時のトイレに不安を抱えている人にとっても重要な役割を担っている。防犯においても非常に貴重だ。公衆トイレでは「怖い」と感じる人も多いだろう。

 便利、マナー向上、さらには公衆トイレにはない安心感を兼ね備えたコンビニのトイレ。利便性が高いゆえに、このサービスが廃止にならないよう、マナーよく、きれいに、正しく使ってもらいたいものだ。

(※)ローソン実施の実験で測定した「店舗利用人数」「トイレ利用率」などを基に同社にて試算したトイレの利用人数

(取材・文/衣輪晋一)

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