• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • 社会・経済
  • 劇的な変化遂げた携帯市場、“真の民主化”の道のりはどこまで? 楽天モバイル河野CMOに聞く
(更新: ORICON NEWS

劇的な変化遂げた携帯市場、“真の民主化”の道のりはどこまで? 楽天モバイル河野CMOに聞く

モバイル事業未経験での抜擢、どの専門家よりも勝った“ユーザー目線”という最大の知識

――そして近年は楽天モバイルの事業戦略に軸足を置かれています。モバイル事業への参画はどのような経緯だったのでしょうか?
【河野CMO】ある日突然、三木谷から連絡をもらいまして「来週から楽天モバイルもやってくれないか?」と(笑)。その2日後から実際にモバイル事業のミーティングにも参加するようになりました。

――展開が早すぎますね(笑)。河野さんは様々な事業に携わってきましたが、モバイル事業は未経験。専門性も高いので不安が生じたりはなかったですか?
【河野CMO】確かに私にはモバイル事業における知識はありませんでした。でも、1つだけ持っている知識があったんです。それは“ユーザー視点”でした。実際に携帯電話の契約をした際、その手間がどれくらいかかり、どこにストレスを感じたのかという知見は揃っていました。何かを設計する際、専門家の経験や知識はもちろん重要ですが、最終的に誰に向けてサービスを提供するのかが最も重要なことだと思います。一般のお客様が理解できないモノを作っても意味がないわけです。

――消費者目線という知識においては、どの専門家よりも勝っているという自負があったんですね。
【河野CMO】技術や知識は勉強すれば得られるもの。それよりも大切なことはユーザーにより近いという“自分の視点”を信じることだと思ったんです。だからこそ、私のような人間が楽天モバイルに参加し、ユーザー視点の意見を出して変えていけるということが、とても意味があると感じました。
――モバイル事業への参加を指示された三木谷会長の意図も、まさにそこにあったんでしょうね。
【河野CMO】その昔、枕詞みたいに言われていたのが、「君はユーザー代表だからな」でした(笑)。私が会議で「ユーザーはこう考えています」と発言することが多かったからだと思います。それ以来、何かを決定する際に「これでいいと思う?」と意見を求められたら、これは決して私の意見ではなく、私を通してユーザーがどのように考えているのかを尋ねられているんだと思うようになりました。

課題や苦難に直面したとき…「信じる力」で絶対に諦めない

――グループとして提供する各種サービスは、枕に必ず“楽天”が付きます。これはブランドとしての自信の現れでもあるし、だからこそ中途半端なサービスは出来ないという宿命も背負うことになります。モバイル事業も当然ながらグループを背負う最重要サービスですが、わずか3年という短期間でさまざまな整備を行うなか、成功と失敗を繰り返してきたことは想像に難くないです。河野さんは課題や苦難に直面した際、どのように乗り越えてきたのでしょうか?
【河野CMO】これはもう「信じる力」以外にはないです。様々なサービスを構築しても、それを受け止める消費者の方がどう思うかが全てです。自分たちが作っているものをより良くしていく信念、良いいものにするんだという、信じる力だと思います。少し話が変わりますが、楽天はご縁があって、楽天イーグルスという球団とヴィッセル神戸というサッカーチームを運営させて頂いています。結果的にはその2チームとも震災があった場所で誕生したスポーツチームですが、イーグルスも優勝を経験し、先日ヴィッセルもついにJ1で初優勝することができました。完璧な状況などということは無くて、チーム編成も体のコンディションも常に変化が生じるなかで優勝を果たしました。これは会社組織においても同様で、少しでも今日よりも明日が良くなるようと積み重ねることでしたり、闇雲にやるのではなく正確に分析し見極めて、1つ1つの課題を解消する…時間がかかっても、それが一番の近道であるということを改めて感じました。

――チームスポーツに感銘を受け救われることって、やっぱり大きいですよね。
【河野CMO】私も含め、多くの社員が感極まっちゃうぐらいに強い思いがあるので。諦めない。諦めずに信じて、勝つまでやり続ける人にしか、多分、本当の勝利はこないのだなと思っていて。楽天モバイルも皆さんに愛されるサービスをもっともっと進化させたいなと改めて感じました。

――良い意味での諦めの悪さ。泥臭い部分かもしれないけど、その姿勢があればこそユーザーにも想い届くということですね。姿勢の表れという意味では楽天SPUの改定もあり、楽天モバイルユーザーならば楽天市場のお買い物が必ずポイント5倍になるとサービスもスタートしました。
【河野CMO】楽天にとってSPUプログラムは、本当の意味での“楽天経済圏”を象徴するプログラムだと思うんです。増税や物価高騰の状況下において、楽天モバイルユーザーは5%の還元が毎日受けられる。それだけでも一つの安心感に繋がりますし、生活の豊かさにも繋がっていく。これは楽天にしかできないことですし、このサービス特典をもっと体感して頂きたいです。

 世間一般的に見れば、楽天グループ初の女性副社長執行役員といえば、絵に描いたようなエリートに映るだろう。だが、インタビューから受けた印象はそれとは少し異なる。愚直なまでに“ユーザー目線”にこだわり、決して体裁ではなく、“本気”で日本経済の立て直しや活性化を見据える強い志がそこには存在した。時折垣間見せてくれるチャーミングな笑顔とのコントラストで多くの仲間たちを魅了し牽引する。今回の取材調整を担当しくれた、同社の若手女性社員の方々が一様に「河野さんは私たちの目標なんです」と語っていたのが印象的であり、改めて楽天グループの強度が伝わってくる瞬間でもあった。

あなたにおすすめの記事

>

 を検索