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「これぞ理想のZZ」と絶賛、ド派手カスタムじゃなくても人々を魅了するダブルゼータガンダムの魅力
(写真左)『ZZガンダム』 制作・画像提供/しんほり氏 (写真右)『ZZガンダム Ver.KAZ』 制作・画像提供/KAZ氏 (C)創通・サンライズ
イメージは、ジュドーのZZではなくプロダクトモデル
そもそもZZガンダムについては、あまりいい印象がなかったそうだが、あるきっかけがあり手に取ったという。
「小学校低学年からガンダムシリーズは観続けているのですが、正直なところZZガンダムは、あまりかっこいいイメージがなかったんです(笑)。ところが、ガンプラを本格的に始めて、他のモデラーさんたちが作るめちゃくちゃにカッコいい作例を観ているうちに考えを改め、今回挑戦してみました」
「頭部は奥行のあるちょっとセンチネル(『モデルグラフィックス』誌上で、ガンダムの模型が関連した連載企画)な雰囲気に仕上げたいと思いました」と作品の方向性を決め、明確なイメージを持って制作に取り掛かった。
「個人的にFAZZ(『ガンダム・センチネル』内に登場する、ZZガンダムのフルアーマーシステムの実装を検証するために作られた試験用モビルスーツ)が大好きなので、ZZというよりは、その雰囲気に近づけられればと思っていました。ジュドー・アーシタが搭乗していたZZガンダムとは顔が違うので、プロダクトモデルや2番機、3番機というイメージで作成しました。
また、今回『MG 強化型ダブルゼータガンダム』を使用したのですが、強化型の強化された部分ってわかりづらいよなぁ、と思っていたので視覚的にもちゃんと強化された感が出る様に作成しました」
他モデラーの作例も参考にしながら、とにかくきれいに、丁寧に仕上げることを心がけたというが、この作風には自身の謙虚な姿勢が表れている。
「私は、本当に技術も知識も乏しいので、丁寧に作るくらいしか見せ場がありません。正直なところ、ガンプラを始めた当初はメタリック塗装やシャドー、ウェザリング、何でも挑戦したいと思っていたのですが、完成品の実物を見ているとソリッドでスムースな塗装の方が好みだと気付きました。これから完成品が増えて部屋に並べるなら全体で統一されている方がいいなと思い、その作風を貫いています」
ZZに“キレイ目”カスタムが多い理由「泥くさいシーンや破壊されたシーンが少ないから」
「ZZは、ガンダムに登場する好きな機体のなかでは、下位に位置します。ガンダムのなかでも異色の存在で、変形合体とスーパーロボットの要素が入り、『だいぶ子ども向けだなぁ』と言う印象です。ただ、友人が、『私が作るZZが見たい』と、誕生日にプレゼントしてくれたんです。その要望に応える形で制作しました。個人的にはスタイリッシュな機体が好みなんですが、モデラーとしての技術が上がり、『今なら自分好みのZZに仕上げられるのでは?』と思ったのもあって結果、理想を現実に出来ました」
制作のイメージは、「ZZの改修型」。「特徴的な突起部をさらに際立たせ、誰が何処から見てもこれはZZだとわかる様に心掛けた」という本機は、ZZガンダムらしさを際立たせたカスタムとなっている。
「パチ組みだとドッシリしているのに、下半身がスカスカな印象なんですよね。なので上半身に負けない下半身で、綺麗なXラインが出せるようにこだわって作りました。制作の際、今まで表現出来なかった細部のディテールに説得力を出すところに苦労しました。具体的に言うと、例えば、プラ板で追加の装甲を貼った際のフチの掘り込みや、メカディテールを制作した際の奥行きのある作り、プラモデル特有の接続部の簡易さをなくすなどです」
原作のイメージを生かした作風は、自身のガンプラ制作のこだわりが詰まっている。
「自分の制作スタイルが、1.綺麗な機体、2.ほとんどオリジナルカラーをやらない、なんです。なので、設定色をいかに鮮やかに表現するのを心掛けています。下地色を一番重要視しています。とにかく劇中のガンダムが好きなんですよね。なので、今回のZZのように『誰が見ても◯◯ガンダムだとわかる理想的な形を、自分の持てる技術で最大限にカッコ良く仕上げたいと思って制作しています」
それにしても、この2人だけでなく、ZZガンダムを制作するモデラーは、ウェザリングやミキシングよりも、キレイ目のディテールアップ作品が多い印象だが、これはなぜなのだろうか? 最後に同氏に聞いてみた。
「そうですね…。ZZガンダムは、劇中の中でも泥くさいシーンや破壊されたシーンが少ないからではないかと思います。後は、宇宙が似合うかなと。ミキシングに関してはすごくやりづらいイメージがありますね」