ORICON NEWS
「占いに求めるものは?」批判あれども市場は1兆円規模に、オンライン化の一方で「AIより“生の人”を求める」
収入源に追い込まれた占い師にもメリット、「占い師ランキング」で業界の常識破る
「スマホでできる対面占いの利点は、コロナ禍の中わざわざ占い師のもとに出向かなくても、自宅で相談できたことです。同時期に、テレビ番組が仕掛けたブームで占いに対する心理的距離感が縮まったことも加わって、占いがカジュアルなものとなり、需要が高まったと感じています」(川野辺氏)
一方、チャットやビデオ通話を利用した占いは、占い師にとってもメリットが大きかった。人と会うことを制限されたコロナ禍、“占いの館”などの閉店や収入減に追い込まれていた占い師にとって、オンラインは時間や場所にとらわれずに効率的に営業ができるメリットがある。これを可能にしたことで、ユーザーに比較的に安価でサービスを提供できるようになった。
「ユーザーと占い師、双方にとってメリットがないとなかなかこのビジネスは成立しない」と川野辺氏。その言葉どおり、デジタルコンテンツの占いの需要は下がるなか、チャットやビデオ通話による対面占いの有償ユーザーは2017年から2022年までで5.5倍に増加。仕掛けた川野辺氏も、「まさかこんなに広がるとは」と驚きを隠せない。
現在、『LINE占い』には1600人の占い師が所属しているが、ユーザーはこの中から「まず相談したいカテゴリーを選び、その中で価格と評価、レビューを見て、自分にマッチする人を探すケースが多い」とか。そして、大きな選択のポイントが「占い師のランキング」だ。
「ネットで商品や店舗を選ぶ際、ユーザー数や評価を反映したランキングは欠かせない情報ですが、この業界においては占い師を順位付けするという行為はタブーでした。なので、ランキング実現のためには、実は苦労がありましたね。IT化が進む中で、ユーザーが選びやすく、可視化されたプラットフォームを提供していきたいことを説明し、納得してもらいました」
ChatGPTで占いの精度も上がる? でも「システムが進化する分『生の人を求める』」
「今後、自動で結果が出るデジタルコンテンツの占いは、ChatGPTなどを使うことでより精度が上がることが予想されます。ただ、今の傾向を見るに、それだけでユーザーは満足しない。システム面が年々進化していく分、『生の人を求める』という気持ちはより高まっていくのではないでしょうか」
スマホがあれば、いつでもどこでも占えるようになった現在。誰にも言えない悩みを占い師に相談する人も、より増えていくだろう。ただ、川野辺氏の言うとおり、占いとは「ひとつの指針であり、手段」。悩みを抱えたときのアドバイスとして、選択肢のひとつとして活用できれば、さらにカジュアルに楽しめるのではないだろうか。
(文:河上いつ子)
■LINE占い(WEB)(外部サイト)