「スタジオジブリが好き。特に『となりのトトロ』『風の谷のナウシカ』『ハウルの動く城』。トトロの映画は20回以上観ている」というベッキーさん(35)は、チケットを買いそびれないよう、発売開始日にアラーム設定をしておいたそう。「素晴らしかった。信じられないぐらい素晴らしかった。役者の演技もただただすごいと思った。セットのデザインと動きも美しくて、音楽も本当に良かった。あと、トトロが出てきた瞬間と、猫バスの登場にすごく興奮した」と大満足の様子。夫のペリーさん(35)も「パペットの動かし方が工夫されていたし。大きいトトロだけじゃなくて、小さいトトロもかわいかった」と楽しめたようだ。 
ベッキーさんとペリーさん夫妻(撮影: 吉川侑希)(C)ORICON NewS inc.
家族4人で訪れていた、アンドリューさん(50)、ジュリアさん(50)、ダグラスさん(23)、ギャビーさん(19)。6月頃、広告を見てすぐにチケットを取ったというジュリアさんは、「『千と千尋の神隠し』など、子どもたちが幼い頃から家族で良く見ていた。『ハウルの動く城』など、ジブリ映画が好きなんです」。ダグラスさんも「まさに映画がそのまま舞台になっていて驚いた。本当にそのままなので特に世界観の説明はないため、映画を観ていて良かったと思った」と舞台の感想を話してくれた。 
(左から)ジュリアさん、ギャビーさん、アンドリューさん、ダグラスさん(撮影: 吉川侑希)(C)ORICON NewS inc.
一方、映画の『となりのトトロ』を観ておらず、舞台で初めてこの物語に触れたという兄妹もいた。ハリーさん(30)とアナさん(22)。「インスタグラムで広告を見かけて、普段観劇はあまりしないのに勢いでチケットを買ってしまった」のが8月。「セットデザインなどに興味があるのが一番の理由だけど、スタジオジブリ作品もいくつか観ていて好きだったので、本作を観ない理由と思った」とハリーさん。「全て良かったけど、サツキがメイを探すシーンがすごくパワフルで印象に残った。トトロの姿が舞台上に出てきた時、本当に大きくて驚いたし、メイがトトロに登るシーンが特に好きだった」と興奮気味に話した。「大学でインスタレーションアートを勉強していて、舞台の演出や美術などが勉強にもなると思って興味を持った」というアナさんも「素晴らしかった。映画も観たくなった」と魅了されていた。 
ハリーさん、アナさん(撮影: 吉川侑希)(C)ORICON NewS inc.
友達と観に来ていたエリーさん(26)とヤスミンさん(23)。「『千と千尋の神隠し』を9歳の時に、その後18歳か19歳の時にほかのジブリ作品も観るようになった。『となりのトトロ』を観たのはたぶん3年前で、今回舞台化を知って絶対に観たいと思った。アニメーションを実際の演劇に変換するとどうなるんだろうと興味があった」とエリーさん。「映画でもトトロがかなり大きい設定なのは知っていたけど、本当に大きなトトロが現れて、子どもの頃の夢が現実になったみたいだった。そして猫バスが現れた時は、本当に開いた口が塞がらなかった。信じられなかった。どんな素材で作られているのかわからないけど、本当に猫が動いているような完璧な質感が再現されていて驚いた」と、舞台上の演出を大絶賛。
「観劇は好きだがジブリ映画は観たことがなかった」というヤスミンさんは、「映画を観ていなかったことを恥ずかしく思った。アニメーションが舞台でどういう風に表現されるのかに注目していたけど、想像を遥かに超えていて圧倒された。(映画を観ていないため)ストーリーも設定も何も知らなかったけど、映画を観ていなくても理解できるストーリーだったし、難しくなかった。姉妹がお母さんのところに行くシーンはとても感動的で特に好きだった」と話していた。 
エリーさん、ヤスミンさん(撮影: 吉川侑希)(C)ORICON NewS inc.
「WhatsOnStage Awards」の発表は現地時間2月12日

舞台『となりのトトロ/My Neighbour Totoro』Photo by Manuel Harlan (C)RSC with Nippon TV
今回、インタビューに応じてくれた人たちは全員ロンドン在住。早々にチケットを購入していたこともわかった。取材に協力してくれた前出の吉川さんは、「ロンドンの地下鉄の駅は演劇やミュージカルの広告だらけ。『My Neighbour Totoro』の広告もよく見かけますし、改めて集客への影響力を実感します。イギリスの舞台芸術文化の濃さを表しているのではないかと思いました」と話す。 
ロンドンの地下鉄はこのような舞台の広告でいっぱい(C)ORICON NewS inc.
偉大な劇作家ウィリアム・シェイクスピアを生んだ国、イギリスの人たちの興味を誘い、チケットを購入して劇場に足を運んだ人たちを大満足させている『My Neighbour Totoro』。「この作品に本当の意味で普遍性があるなら(中略)まったく違うカルチャーで育った人たちが違う言語でやっても、きっと世界中の人に伝わるはず」という久石氏の思いは的中。見事に観客の心をつかんでいる。吉川さんも「舞台化するにあたっての演出の工夫、パペットやセットのデザイン・作り込みなど、『WhatsOnStage Awards』ノミネーションが裏付ける実際の舞台のクオリティーの高さも間違いなく人気が人気を呼んでいるのではないかと思います」。「WhatsOnStage Awards」の発表は現地時間2月12日、こちらも楽しみだ。
前出の家族連れ・ジュリアさんは「トトロの演出が良かったし、小さいトトロたちが本当にかわいかった。音楽もパペットも役者も全て最高だったし、かなり人気の演目だから再演するんじゃないかしら」と予想していた。ロンドン再演、あるいは日本公演の実現を期待せずにはいられない。 
舞台『となりのトトロ/My Neighbour Totoro』Photo by Manuel Harlan (C)RSC with Nippon TV