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SNSで変身シーンが話題の『仮面ライダーギーツ』外国人アクション俳優が語る、日本活動の壁と環境の変化
子どもの頃から日本アニメオタクだった
トム・コンスタンタイン 僕はイギリス・ロンドンで生まれ育ちましたが、子どもの頃に日本のスーパー戦隊をベースにしたアメリカのテレビシリーズ『パワーレンジャー』にハマりました。そこから『機動戦士ガンダム』『ドラゴンボール』『美少女戦士セーラームーン』『ポケットモンスター』といった日本アニメが大好きなオタクになりました(笑)。
――イギリスでも、日本のアニメ番組が放送されていたのでしょうか?
トム・コンスタンタイン 当時、イギリスで日本アニメはほとんど放送されていませんでした。15年前にたまたま『仮面ライダー555』を観る機会があって、そこから『仮面ライダー』の大ファンになったんです。主人公がスーパーヒーローの『仮面ライダー』になる変身シーンにずっと憧れていました。
――日本語はアニメを観るために勉強したのですか?
トム・コンスタンタイン そうです。日本に来る前にはレッスンを受けましたが、当時はアニメから独学で勉強しました。家族は皆サッカーが大好きですが、僕だけ全く興味がなくて、いつも日本のアニメを観ていました。好きが高じて大学時代には、日本アニメ部を設立しました。
#仮面ライダーギーツ 第14話
— Tom Constantine トム・コンスタンタイン (@TomConstantines) December 11, 2022
を見てくれてサンキュー!
15年前、僕に日本語を学ぶきっかけをくれた作品に出演することができて、しかも、
あの神聖な言葉を言うことができたなんて、
本当に信じられない。
決して忘れない瞬間…
I wore a belt,
said Henshin
in Kamen Rider.
My dream has come true pic.twitter.com/DICVUsdnl8
ゲーム業界から転職で15年来の夢を実現 プレッシャーもあるけれど外国人ファン代表としての気持ちを胸に
トム・コンスタンタイン 大学卒業後はゲーム会社に就職して、ゲームデザイナーになりました。でも、ワーキングホリデービザを使って日本に行きたいとずっと思っていました。30歳までの年齢制限があるので、29歳の時に、思い切って仕事を辞めて日本に来ました。
――俳優活動は来日してからなのですね。
トム・コンスタンタイン 18歳までドラマスクールに参加して演技を学んでいて、その後も趣味で芝居は続けていました。でも、来日前は仕事としての俳優経験はありません。ボクシングと武道はやっていましたが、アクション俳優としての経験値は、ほぼゼロの状態でした。
――日本でいきなり俳優活動を始めたのでしょうか?
トム・コンスタンタイン 8年前に来日して、始めは業界経験のあるゲームの仕事がメインでした。コジマプロダクションのゲーム『デス・ストランディング』のローカライゼーションを手がけたりしています。俳優は副業になればいいと思ってエキストラの仕事から始めて、『パワーレンジャー』や『仮面ライダー』シリーズを手がける坂本浩一監督の撮影現場で、英語が得意なアクション俳優の方と知り合いになりました。そこから演技やアクションのレッスンを受けながら、人脈を広げていきました。
トム・コンスタンタイン 東映撮影所で台本を受け取って、エレベーター前でチラっと読んだら、僕が演じるジョンも『仮面ライダー』のひとりで変身するシーンが書かれていて。「えっこれは現実?」と初めは何が起こっているのか理解できませんでした。それから周りに誰もいないことを確認して、思いっきりガッツポーズしました(笑)。
――家族や友人も喜んでくれたのでは?
トム・コンスタンタイン 友人たちに自慢したかったのですが、ジョンが『仮面ライダー』であることは明かされていなかったので、それから放送まで2ヵ月くらい誰にも話せなくて。でも、放送前日に「今週は大事だから絶対観て」と友人に連絡しました(笑)。オンエア後はスマホがずっと鳴りっぱなしで、皆すごいって驚いて、一緒に喜んでくれて。15年来の夢が現実になりました。
――世界中の『仮面ライダー』ファンの憧れや目標の存在になったのではないでしょうか。
トム・コンスタンタイン 放送後の反響は予想以上に大きかったです。SNSのフォロワーも増えました。ただ、まだまだ俳優として活躍しているわけではないので、注目されたり期待されたりすることは嬉しいのですが、同時にプレッシャーも感じています(笑)。“仮面ライダー外国人ファン”の代表としてこれからも頑張りたいです。