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ガンダム最新作『水星の魔女』主人公機が旧キットに?「最新キットをあえて“昭和風デチューン”するガンプラの新たな楽しみ方」

「ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」という言葉から着想

――ガンダムシリーズ最新作に登場するガンダムエアリアルを旧キットのように作り上げた作品がSNSで多くの賞賛を集めました。なぜこのようなアイデアで制作しようと思ったのですか?
今日もう9年も前になるのですが、『ガンダムビルドファイターズ』の劇中のセリフで「ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」という言葉に感銘を受けまして。それにあやかって当時、このように最新キットと昔の旧キットを混ぜたような作品を自由に制作したら、周りの方々に大ウケでした。今作もそのアイデアの一環です。作品名は、『旧キット風ガンダムエアリアル』。使用したキットは『HGガンダムエアリアル』と『旧キット1/144ガンダム』で、制作期間は10日ほどです。

――最新キット(HGガンダムエアリアル)と旧キット(1/144ガンダム)では、そのクオリティーや“味”に差があります。どのような点に注意し、どんなことをイメージしながら制作していったのですか?
今日旧キットガンダムが発売された1980年の雰囲気を出そうと、当時のガンダムのプラモデルCMを参考にしていました。…といいつつ、実は1980年当時には生まれてすらいなかったので、当時の情報は完全に聞きかじりなのですが(笑)。とにかく、お互いを混ぜることでそれぞれの特徴を生かしつつ、どのように違和感なく融合させていくかを念頭において制作していました。

――作品のクオリティとして全く違和感はないのですが、最新シリーズの機体が旧キットとして目の前にあるのが、何か不思議な感覚です。融合させるにあたって、こだわったこと、苦労したことを教えてください。
今日旧キットの“味”を、ということで、『HGガンダムエアリアル』に本来ない、旧キット特有のパーツの合わせ目を彫って再現。関節もHGのものを切り落として可動域の少ない旧キットのものに置き換えるなど、構造も旧キット風にこだわりました。塗装はガンダムエアリアル本来の配色で塗っています。苦労した部分は前述しましたが、どちらかに偏りなく、どう違和感なく混ぜていくかでしたね。実際に制作してみて、たまにはこういう作風もいいなと思いました。こだわりを入れれば、(旧キットに)思い入れのある方にはよく分かって頂けるという点も。

「現代のキットはプラモデルというより“組み立てトイ”のように感じる」

――本作を見ると、現代のハイディティール志向の完成度の高さを求めるガンプラシーンへの一石を投じる作品になったように思えます。
今日最新キット・ハイディテールのキットを、あえて以前の年代相応に“デチューン”するというガンプラの新たな楽しみ方を提示できたのではないかと思います。旧キット愛好家の方も多いと思いますので、腕に覚えのある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

――ガンプラ誕生から42年余り。その間、すさまじい進化を遂げてきましたが、ご自身はこの進化についてどのように思われますか?
今日今のキットは特に可動域が物凄く、プラモデルというより“組み立てトイ”という面が大きくなってきたのかなと感じます。高額キットは、精密さや密度・情報量も昔とは比べ物にならなくなりましたよね。デザインの変遷という面でも『水星の魔女』のガンダムエアリアルは特に有機的、より人体に近いデザインになっているように思いました。

――「プラモデルというより“組み立てトイ”」という言葉は、プラモデル、“組み立てトイ”をそれぞれどのように定義し、どんなところからそう感じたのかお聞かせいただけますか?
今日“プラモデル(プラスチックモデル)”は、モデル=模型として見て楽しむ側面が強いものだと思います。対して、“組み立てトイ”と表現したのは、可動域を追求した結果、組み上げたら可動フィギュアのような出来となり、触る・動かして遊ぶ玩具という側面が大きくなっていると感じまして。無論、今のキットを見るものとして楽しむ方がいるのも承知していますし、それを否定するわけでは全くないのですが。

――なるほど、確かにそうですね。そんななか、今日さんは本作で、ガンプラの新たな可能性を提示されたように思いますが、次作以降の構想などはございますか? 
今日以前、中古ショップで手に入れたガンプラを修復・改修する動画をYouTubeに上げたら、かなりの反響を頂きました。どちらかと言えば未開封キットの制作よりも、そちらの方が好みなのもあるので、今後はジャンクガンプラを復活させるという方向性に舵を取ってみようかなと考えています。また、アイデアを思いついたら、たまに今作のような作品も作りたいですね。

――最後にモデラーとしての、今後の目標、夢、野望がありましたら、お聞かせいただけますか。
今日「自分の技術を、求めている人に伝える」という事をしたいです。もちろん力量はプロの方や凄腕モデラーの方には及ぶべくもないのですが、技術を受け継いで、また自分でも出来る・作れるという成功体験を積んでいただいて、模型の楽しさを伝えていきたいですね。

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