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「誰か迎えに来て…」飼い主の死で置き去りにされた猫、なんとか救われるも「ボランティアも無限ではない」
亡くなった飼い主、他の家族は“かめちゃん”を置いて引っ越した
その家の近辺には個人でボランティアをしている人がいて、TNR活動や野良猫たちの保護をしていた。だが、かめちゃんは飼い猫であるということで、その救いの手からも漏れた。そのボランティアの人が、引っ越した家族に「迎えに来てほしい」とお願いをしたものの、それは叶わなかったという。
いくら中外自由に飼われていたといっても、かめちゃんは老猫。しかも、皮膚の疾患などを引き起こす真菌も抱えている。ごはんをもらい、安心して生活できる家をなくしたかめちゃんが、とても外で生きていけるとは思えなかった。
そこで、ボランティアの人たちはどうにかしてかめちゃんを保護をしようと奮闘。一時的に保護をする場所がなかったため、以前『ねこけん』の保護猫を迎えたある家族の実家に相談した。快諾したその家族は、真菌があるかめちゃんのために隔離スペースを用意。こうして、かめちゃんはなんとか安息の場を得ることができたそうだ。今はまだ、緊張で人がいるとご飯を食べないというが、静かに見守られているかめちゃんが元気を取り戻す日は近いだろう。
引き取り依頼は富裕層からも、「老人ホームに入るから飼えなくなった」
「コロナ禍の影響で職を失ってしまい、お金がなくなって安い物件に移り住む人は増えています。ですが、それまでと違い、新たな住まいはペット不可。だから『引き取って』という依頼はよくあります。ほかにも、困窮して家賃を滞納していて、猫の医療費はとても払えない、という人も。『ねこけん』としても、譲渡する際は経済的な面でも条件をつけていますが、なかなかそういった事例は減りません」
そしてもう一つ、深刻なのが高齢化の影響だ。独居老人が寂しさを紛らわすために猫を飼う、というのはよくある話。ところが、その飼い主が亡くなってしまうと、猫たちの行き場がない。かめちゃんも、そのようにして置き去りになってしまった。
「そうして、『猫をどうしよう』という相談もよくあります。これは決して貧困層だけの話ではありません。裕福な方で、『老人ホームに入るから猫を飼えなくなった』という依頼も多いんです。たしかに、ペット可のホームはあまりありません。今後は、飼っている犬猫と共に暮らせるホームがより必要になってくると思います」
飼っていた人が亡くなり、それ以外の家族や親戚が引き取れなければ、猫は野放しにされるか、殺処分されてしまう。人間の都合で飼ったはずなのに、そんな運命しか待っていないとは、あまりに悲しいことだ。最後の砦として保護ボランティアはいるが、「ボランティアも無限ではない」と、溝上代表も頭を悩ませる。「限界になる前に、先々の準備をしてほしい」。動物と暮らす人、迎えたいと考える人は、ぜひ「もしも」のことを考えた対応をするべきだろう。
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