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「うっせぇわ」コスプレで話題…人気女子大生インフルエンサーが敢えて“就職”を選んだワケ「ショボい存在にはなりたくない」
自分自身の延長にある“偶像”をクリエイトするコスプレイヤー「発信する以上、認められたい」
高嶺ヒナ 私と別ではなく、かといって同じでもなく、私の延長上にあり、私の理想の存在が“高嶺ヒナ”です。私がどれだけメイクをして、髪の毛や服装に気を使っても、それだけでは完璧な高嶺ヒナとはいえなくて。撮影する空間や、その後のレタッチなども含めて、私自身が100%納得できる状態、世の中に送り出しても大丈夫だと思える存在が『高嶺ヒナ』なんです。
――ますます注目を集める“高嶺ヒナ”ですが、もしも世に認知されていなかったら、どんな活動になっていたと思いますか?
高嶺ヒナ 今のスタイルが受け入れられていなかったら、もう少し世の中に迎合するスタイルの高嶺ヒナになっていたと思います。“個性の主張”と“迎合”がちょうどいい塩梅になるよう、徹底的に世の中のニーズを分析したりして。「人から認められなくても自分のスタイルを貫き通す」みたいな考えは私のなかにはないですね。発信する以上、自分の好きなものを認めてもらいたいと思っています。
――バズることへの意識も高そうですね。
高嶺ヒナ 何かを作るうえで個性は大事ですが、突き抜けすぎて誰からも理解されないというのも違うと思うんです。目新しいんだけど、どこかで見たことがあるような既視感も感じさせる。そういったオリジナルの作品こそ、注目度が上がるんじゃないか…というのが、私の持論です。バズることで一時的なものにしたくないので、本当に難しいです。
――そうした考えを実践してきた結果が、現在の高嶺ヒナの人気に繋がっているわけですね。フォトブックの制作にも活かされているのでしょうか?
高嶺ヒナ そうですね。応援してくださる皆さんの年齢層や男女比などを調べて、こういう層に受けて、最終的にこれくらいの売上が期待できます…という分析を資料にまとめ、提出させていただきました。分析の結果通りの部分も多かったのですが、限定版の増刷が決定するなど、嬉しい誤算もありました。大勢の方に手に取っていただけて、本当にありがたく思っています。
アンチの声は“慣れ”「同じ土俵に上がってこない人の声を、必要以上に聞く必要はない」
高嶺ヒナ おっしゃるとおり、素の部分を見せることには抵抗がありました。でも、メイクのページはかなりこだわって作った部分なので、お見せすることを選びました。読んでくれた方に対して嘘はつきたくなかったですし、これまでに発表した作品でも、どこまでが素の私で、どこからが“高嶺ヒナ”なのか? というところに興味を持ってくださった方が大勢いらっしゃったので、種明かしの気持ちもありました。
――こういった活動をしていると、アンチの声も大きいのではないでしょうか?
高嶺ヒナ そうですね。活動を始めた当初は、SNS上での評価や寄せられるコメントに一喜一憂していました。一日中落ち込むこともしょっちゅうでしたが、今は「こんな意見もあるんだ」と、気負わずに受け止められるようになりました。
――そのように心境が変化したきっかけとは?
高嶺ヒナ いちばんの理由は慣れですが、19歳から20歳にかけて、物事の見かたや考えかたが変わったことも大きいですね。同じ土俵に上がって来ない人の声を必要以上に聞く必要はないなと。それで自分の価値が変わるわけじゃない…と思えるようになって。仮にアンチの意見を聞き入れても、その人たちが私を応援してくれるようになるわけではないので。そう思えることで精神的にかなり楽になりました。
――「過去にいじめを受けていた」というエピソードも書かれていましたね。
高嶺ヒナ アンチといじめなら、いじめのほうが理由を分析できるので、解決策は見つけやすいと思っています。これは私個人の意見ですが、いじめをくり返し受ける人は、自分自身にも何らかの原因があるんですよ。だからっていじめはダメですけどね。自分は他人からどういう風に見られていて、どんなところを不快に思われているのか? 自分を客観視して改善策を見つけ出さないかぎり、別のコミュニティに移っても、またいじめられることになるんじゃないかなと。
――ご自身の問題点も分析されたんですか?
高嶺ヒナ 私は協調性がまったくなくて…。自分のしたいことを最優先し、人に合わせることをまったくしなかった結果、いじめに発展してしまったんです。同じことをくり返したくない、惨めな思いをしたくない…という気持ちが芽生え、自分のことを客観的に分析するようになったのは、いじめの経験があったからだと思います。
――つらい経験が、いい形で高嶺ヒナのプロデュースに活かされているわけですね。
高嶺ヒナ そうですね。「今ある私で何ができるのか」「自分の特性を最大限に活かすためには」を考えるようになりました。たとえば、私の好きなロリータファッションは、小柄な体格だったら、もっとわかりやすくハマったと思うんですが、ないものねだりをしても仕方がないですよね。自分の好きなものと、自分が持っている容姿をすり合わせて、今の“高嶺ヒナ”にたどり着いたんです。でも、ないものねだりは完全にはなくならないんですけどね。
“完璧”な活動のための“就職”「高嶺ヒナが好きなことだけをするために、生活費を稼ぎたい」
高嶺ヒナ 高嶺ヒナとしての活動も大事なのですが、同時に私の人生も長く続いていくんだということを念頭に置いています。ひとつの物事だけにのめり込むより、いろんな道を知っておいたほうが絶対にいいし、今後の活動においても可能性を広げるきっかけになると思ったので、そういった選択をしました。とはいえ、“高嶺ヒナ”としての活動がメインで就職がサブというわけではなく、どちらも真剣に取り組むつもりでいます。
――インフルエンサーとしてだけでなく、デザイナーとしても活動されているのに、あえて未経験のIT企業を選んだことには意味があるんですか?
高嶺ヒナ せっかく会社に属すのであれば、そこで一から新しい経験をしたいと考えました。それに企業としても中途半端にノウハウのある若手ってちょっと扱いにくいんじゃないかなって。新卒の立場を生かして、しっかり学ばせていただこうと思っています。そこで得た知識は“高嶺ヒナ”としての活動にも活かしたいですし、その逆のパターンもあり得るので、いろいろ学んで双方に活かしていけるといいなと考えています。
――なるほど。就職が“高嶺ヒナ”の糧になるかもしれないわけですね。
高嶺ヒナ そうですね。高嶺ヒナが世に知られるのは嬉しいことですが、一過性のものにしたくない、ショボい存在になりたくないという想いも強くて。
――長く活動するためにも、自分の人生も大切にしたいということでしょうか。
高嶺ヒナ そうですね。“高嶺ヒナ”一本でやっていこうとすると、“やりたくない”と感じるお仕事も引き受けざるを得ない状況になるなと思っていて。でも、私は高嶺ヒナのそんな姿を見たくないし、これまでに築き上げてきたイメージを汚したくないとも思っていて。高嶺ヒナには、本当にやりたいことだけをやらせてあげたいので、日々の生活に必要な収入は“生身の私”が稼がなければ…という気持ちも、大きく影響しています。
――就職を目前に控えた現在の心境や、今後の展望などをお伺いできますでしょうか?
高嶺ヒナ 今まで以上に忙しくなるので、高嶺ヒナとしての活動は控えめになると思います。でも、長期的な計画で「彼女を活躍させてあげたい」と考えています。同時に生身の存在である私も、いろんなことに挑戦して、もっと見識を広めていき、高嶺ヒナの考えかたや哲学、生き方にもきっと反映したいと思っています。これからの展開にもご期待いただけると嬉しいです。
●作品情報
・タイトル:高嶺ヒナ 1stフォトブック/『Lalka 〜偶像少女〜 HINA TAKANE PHOTOBOOK』
・発売日:発売中
・定価:2,750円(本体:2,500円)
・出版社:扶桑社