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飲食店、ドラッグストア、給食会社…コロナ特需で弁当業界に伸張、弁当・惣菜専門店はどう生き残る?
弁当業界のコロナ禍での実態「実は売上は伸びたんです」
とくに伸びたのは駐車場がある店舗。「人と接したくないコロナ禍において、車での移動で安心して外出して買われる方が多かった印象です。当時、マクドナルドさんのテイクアウトが人気との報道がありましたが、あの時、弊社も外食したいけどできないので、テイクアウトを楽しみたいというお客様にご利用いただきました。同じように拡大し始めた宅配サービスも、宅配料が別途かかるにも関わらずニーズがありました。これも最小限の人との接触で済みますし、Uber Eatsさんなどが好評なのも同じ理由だと思われます」
逆に低迷したのはオフィス街だ。「リモートワークが増え、オフィス街は以前より人が少なくなりました。逆に住宅街のほうは多少ニーズが上がった印象です。」と同担当者。これに関してはコンビニの売上状態とほぼ同じであるようで、「都心のオフィスにある店は今もコロナ前の売上には戻っていない状況です。」と残念な胸の内を明かす。
余儀なくされた苦肉の策 盲点だった問題点の試作に半年をかけ現在もトライアンドエラー
ビュッフェ式の販売からパック詰め商品の販売にしたことで、どれぐらいの総菜の量が入っていると客が買いたいと思うか、さまざまな試作が行われた。
想像してみて欲しい。『オリジン弁当』はバックヤードに厨房があり、そこで調理している商品が多い。出来たてを食べてもらいたいという想いがある。オーダー弁当は注文を受けて一つ一つ作る、量り売りの総菜も別に作っていく。ここで厨房では「パック詰め」の作業が加わった。
パック詰めになったことで、出来たての総菜を急いでパック詰めするとフタに水滴がついてしまうデメリットも。これに同担当者は、「水蒸気が出ないよう冷ます時間が必要になりました。作業時間が増えたため、今後は時間の効率化が課題です。」
現在パック詰め総菜も好調。衛生面のほか、トングを使わないため、手に荷物を持ったままお総菜を手に取ることができるのでより手軽に。伴ってそれが買い物の“時短”にもなっており、メリットは大きい。
『オリジン弁当』がコンビニのすぐ側にある理由は?
「弊社は、台所代行業。味が濃すぎるとツマミにはいいですが、毎日食べるには飽きが来てしまいます。余計な添加物は使わない。毎日食べられるご家庭の味を目指しています。これで差別化を図っており、好評のおにぎりにしても厨房でお米を炊くのは当然、秘伝のノウハウでふんわりと一つ一つ握っています。ただ、弊社はあくまでも弁当店。お客様には、お酒はコンビニで、お寿司はチェーン店で、という自由な使い方をして頂きたいと考えています。オーダー弁当は注文を受けてから調理して、出来たてをお出しするので多少お待たせしてしまっています。店内でお待ちになるお客様もいれば、その間に、弊社にないものを他で買われる方もいらっしゃるのです。もちろん、お待たせしない出来たての作り置き弁当も店内に取り揃えていますので、お急ぎの方はこちらも活用していただきたいです。」
テレビ東京とのデカ盛り弁当共同開発や1790Kcalというパンチのきいたカロリーの肉トリプル丼などの話題作りも欠かさない。「テレビやSNSで話題になるような商品づくりやイベントも行っています」
「これからも時代とお客様のニーズに合わせた商品と店づくりを続けます」と同担当者。レッドオーシャン化が進む中で競合と張り合うのではなく、共存し、そこからヒントや最適解を探っていくのが同社の流儀なのだ。
(文/衣輪晋一)