ChouCho、「どんな物語にもスッと馴染む」懐の深い声質と表現力、デビュー10周年記念ベスト盤にみる成長の軌跡

 TVアニメ『氷菓』や『ガールズ&パンツァー』など数多くのアニメ主題歌を担当してきたシンガーのChouChoが、デビュー10周年を記念して初のベストアルバム『ChouCho the BEST』を12月8日にリリースした。これまでのシングルに加えて、新曲や提供曲のセルフカバーも含む2枚組全24曲には、彼女の10年間の足跡がギュッと凝縮されている。

「キャラクターの成長を歌で支えたい」溢れる想いに“直談判”で交渉?


 今年7月にリリースされた最新シングル「なないろのたね」は、自身が作詞・曲を手がけた楽曲。特撮ドラマ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』の第1クールEDテーマに起用された。数多くのアニソンを手がけてきた彼女だが、明確に子どもたちも意識した楽曲制作はおそらく初の試みだろう。シンプルなメロディは口ずさみやすく、未来にそっと背中を押すような温かさに溢れた楽曲だ。

 デビュー当時からタイアップ曲の作詞、あるいはアルバムのリード曲や収録曲では作詞・曲もしてきたが、アニメ主題歌の楽曲制作を一手に手がけるようになったのは、劇場アニメ『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』主題歌の15thシングル「kaleidoscope/薄紅の月」(2017年8月26日リリース)の頃からである。

 TV版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』では第1期OPテーマ「starlog」、第4期OPテーマ「Asterism」のほか挿入歌も歌ってきたChouChoは、初の劇場版にあたって「主人公・イリヤの成長を自分の歌でまるごと支えたい」という思いが溢れて止まらず、作詞・曲を手がけたいと直談判したことを明かしている。

 アニメ主題歌を背負う責任は言うまでもないことだが、同作への思い入れも深い彼女のこと。「kaleidoscope」では緩急豊かなサウンドとドラマティックな展開といったテクニックを盛り込みつつ、明るく爽やかなメロディといったキャッチーさを両立。一方の「薄紅の月」は静寂なミティアムバラードと、タイプのまったく異なる2曲で見事に劇場版の世界観を描き切った。何よりこの完成度の高い両A面シングルで、彼女のソングライティングの才能は確実に証明されたはずだ。

エモーショナルな響きと歌声で届ける世界観、ソングライティングのこだわりも


 その後も清涼なバラード曲「風のソルフェ」(TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』挿入歌)、異国情緒ただよう「灰色のサーガ」(TVアニメ『魔女の旅々』EDテーマ)など、タイアップ曲の作詞・曲を次々と手がけるとともに、彼女自身が生み出すサウンドも着実に進化してきた。

 その現在地として注目したいのが、今回のベストアルバムのために書き下ろした新曲の「Aurorise」だ。

 神聖なストリングスの旋律で静謐に曲が幕を開けたかと思いきや、2コーラス目はベースをダイナミックに効かせて始まるという意外な展開。途中のブレイクのアカペラから、一気に高みに飛翔するようにスケール感が加速していく構成に耳を奪われる。

 10周年の集大成、そして新たな未来に向かうベストアルバムのリード曲だけに、一聴してかなりの力を込めた楽曲であることはうかがえるが、事実、この曲にたどり着くまでに2曲ほどボツにしているとのこと。彼女自身、「ここまで難産なのはなかなか珍しい」と振り返っている。

 凝りに凝った構成はソングライターとしてのこだわりを感じさせつつ、それでいてキャッチーさを失っていないのは、まず歌メロがいいこと。そして何より彼女の声質や発声によるところが大きい。

 ハイトーンで歌い上げる楽曲も多い彼女だが、持ち前の澄んだ声の魅力を最大限に引き出しているのがナチュラルな発声だ。声を張り上げることなく、張りと抜けのよさを実現できる声質はときにエモーショナルに響き、ときに癒しとして心に染みる。

 ニコニコ動画で注目を集め、2011年にTVアニメ『神様のメモ帳』OPテーマの「カワルミライ」でデビュー。以来、10年にわたって多彩なアニソンを歌ってきた背景には、どんな物語世界にもスッと馴染む懐の深い声質と発声が、すべての原点にあると言えるだろう。

10年で培ったスキルをベストアルバムに集結、表現者としての挑戦


 そんなChouChoの声の魅力とソングライティングの力量を改めて確かめることができるのが、ベストアルバムに収録されている「Here comes The SUN」。声優・仲村宗悟のデビュー曲で、TVアニメ『厨病激発ボーイ』EDテーマにもなった楽曲のセルフカバーだ。

 アコースティックギターのカッティングから始まるバンドサウンドの原曲から、セルフカバーではアレンジをガラリと変えてピアノを全面にフィーチャー。豊かなストリングスと躍動的なベースが感動を優しくも力強く盛り上げ、ChouChoの伸びやかなボーカルと相まって聴く者の希望にそっと寄り添うような楽曲に生まれ変わった。

 なお「Here comes The SUN」はChouChoにとって初の提供曲であり、仲村をイメージして制作したという。アーティストの魅力を引き出すという新たなチャレンジは、表現者としての彼女をさらに成長させたことだろう。

 デビューから10年経ち、たゆまず進化を続けてきた彼女の歩みはもちろん、未来に踏み出した一歩も詰まったベストアルバム。来年6月には本作を携えたワンマンツアーも決定している。ますます磨きがかかった表現力に、今後も目が離せない。
ChouCho
10周年記念ベストアルバム『ChouCho the BEST』(外部サイト)
12月8日発売
Sponsered by バンダイナムコアーツ

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